"良かったらヒーローのお話聞かせてね!"
そう言って、一瞬"しまった"と言う顔をしたあの女。
その顔を見て、俺は情けない幼馴染の顔を思い出した。
小動物のようにびくびくとしておきながら、なんだかんだ言って馴れ馴れしく自分に話しかけてくるあの幼馴染を。
「……ケッ」
予期せぬ来客が自分の部屋へと帰った後。
爆豪は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しごくごくと仰いだ。
気に入らない。
気に入らない。
言葉通り、轟について知っていることをつらつらと言ってしまった自分も。それを聞いていたあの女も。
(園生咲子…)
隣に住む変な女。
ただそれだけだ。これから先何のかかわりもなくなるだろう。
「せーせーするわ。」
そう言って爆豪勝己は空になったペットボトルをくしゃりと潰した。
潰れたペットボトルの口を付けていた淵に水滴が残る。
その丸い水滴には外から差し込んだ夕暮れ時特有のオレンジ色が映し出されていた。