気に食わないやつ

ーーーピンポーン

「…久しぶりだな爆豪。」
「ンだよ」

間延びしたチャイムの音に急かされて、玄関を開けてみれば。

そこには先ほど園生と話題に出ていた轟の姿があった。

喜怒哀楽を感じさせない表情に爆豪は構わず舌打ちする。

昔からコイツの事は気に入らなかった。

スカした顔も、体育祭の時の事も。仮免の時だってそうだ。

爆豪はじりじりと胸の内が燻り出していくのを感じながらわしわしと乱暴に頭を掻いた。

「お前もここ引っ越してたんだな。園生から聞いた。」
「だったらなんだよ」

今日は面倒くさい日だ。

隣に住む女に頭を下げられたかと思えば今度はその張本人のコイツ。

いつまで経っても本題に入らない轟に、爆豪は苛立ち交じりに"はよ用件言えや"と轟に尋ねた。

「お前が園生に吹き込んだんだな、事務所の事や親父の事。」
「は?」

地を這うような低い声に、一瞬爆豪の動きが止まる。

(あの女、コイツと"仲直り"だか出来たんじゃねぇのか?)

不機嫌を丸出しにしたままの轟に爆豪は若干の面倒くささを覚える。

やはりあの女に何もするべきじゃなかったと爆豪はうっすら後悔をした。

「あのうるせークソ女がお前の事知りてぇっつったから…」
「園生の事そう言う呼び方すんのやめろ」

今度こそ、はっきりと露になった轟の怒り。

爆豪はそんな轟に一瞬虚を衝かれたような気がした。

しかし、感じたことのない轟の違和感が"何"であるか大体の検討がついた爆豪は目を静かに細める。

「ハッ随分入れ込んでんだな、お前」
「……………」

爆豪のその言葉に、轟は否定も肯定もしなかった。

しかし爆豪はその反応を見てにたりと笑う。

「なんもしねぇーわ。あんなモブ女なんか」
「信じていいんだな。」

若干眉をひそめながら訝し気に尋ねる轟。

その疑いの眼差しにブチッ!!とキレた爆豪は「信じろや!!」と片手を爆破させてみせた。

「…テメェあの女と話したんか」
「あぁ、園生がお前のおかげだっつってた。」
「ケッ」

聞いておきながら轟の声に爆豪はくだらない、といわんばかりに唾を吐く。

(なにが"俺のおかげ"だよ)

"お話聞かせてね!"

爆豪は瞳を伏せながらまた隣に住む少女の事を思い出していた。


………………

(園生咲子…)

(変な女…)