恋のため息

三人でのご飯会の帰り道。

私はデク君と帰り道を共にしていた。

(あぁ…断らんくて良かった。)

夕方、お気に入りの喫茶店でお茶をしていたら突然なったスマホのバイブ。

液晶画面に"轟くん"の文字を見つけた私は思わず心の中でガッツポーズを決めてしまった。

デクくん、飯田くん、轟くんの三人とは定期的にご飯会と言う名の反省会を不定期でよくやっている。

だから、その内の誰かからの電話は"ご飯会のお誘い"だと相場が決まっているのだ。

そして、そのご飯会が終わった後には"家が近いから"とこうしてデク君が家まで送ってくれる。

私はそれがすごく楽しみで。

私にとっては"ご飯会=デク君と帰れる"という一大イベントなのだ。

(けど…咲子ちゃんともうちょっとゆっくり話したかったわぁ…ゴメン!咲子ちゃん!)

私は最近仲良くなった咲子ちゃんに心の中で小さく謝罪をする。

また近いうちに、彼女に会いに行けたらいいな。

来週あたり、また顔を覗かせに行こう。






「ーーーはぁ…それにしても、ね。」
「ふふ、あの轟くんが女の子に"片思い"やもんね!」

"まさかあの轟くんが"と言いたげに感嘆の息を吐くデクくんに私も賛同する。

あの轟くんが好きになる子ってどんな子なんやろ…会ってみたいわ…。

「どんな子なんだろうね、その子。」
「いまうちも考えてた!」

好きな人と同じことを考えていた。

ただ、その事実だけがこんなにも嬉しい。

私は高揚していくテンションに合わせて声高らかに提案した。

「轟くんの家に遊びに行った時とか会えんかな!?いつもいる、っていうお夕飯時に"こんばんわー!"って」
「えぇっ!?う、うーん…轟くんなら事情を話せば会わせてくれそうな気もするけれど…」

苦笑いをするデクくんの困った顔も好き。

そんなこと、本人に行ったらなんと言われるだろう。

私はくすくすと小さく笑ってから一呼吸おいて、「でも」と続ける。

「ーーーきっといい子なんやろね。」
「うん、それは僕も思う。」

轟くんが好きになる女の子。

どんな子なんやろう…。

全然想像もつかんわ…。

「いやぁ、本当高校ん時から知ってる分轟くんに好きな人が出来るなんてほんと信じられんわ…。」
「ふふっそうだよね…」

あはは、と弾けるように笑うデクくんに、思わず心がほぐれる。

私はこんな幸せな気持ちを誰かに話したくてたまらなくなった。

(咲子ちゃんなら…相談に乗ってくれるかなぁ…)

ふと、思い浮かんだのは可愛らしい友人。

お茶子は隣の青年との微妙な距離感に心ときめかせながら小さくほくそ笑んだ。