「オイ…」
『………』
「オイ!」
『はっ!』
「これは一体どういう事だァ…?」
『あっいやぁ…えーっと…』
轟が部屋に入ったあとの園生は魂が抜けてしまったように固まってしまっていた。
そんな園生をきっと睨み付け、声をかければ彼女は肩をびくりと震わせこちらを振り向く。
おどおどとした反応に爆豪は小さく舌打ちをした。
「なんだ"料理の師匠"って…」
『うっ…!』
園生の声にはぁ、とため息をつけば。彼女は申し訳なさそうに「ごめんなさい」と呟いた。
コイツ嘘つくの下手すぎだろ。それに騙されるアイツもアイツだが。
『で、でもさっきも言った通り嘘も方便ってやつです!あんな状況を抑えられるの…ああ言うしか思いつかなくて…』
「…………」
眉を下げながらそう言う園生に爆豪は"確かに"と静かに納得する。
高校の時の自分なら売り言葉に買い言葉ですぐに個性を発言させていたかもしれないが、サイドキックとなった今はそうはいかない。
周りへの被害やその場にいた園生のことを考えれば結果的にはこれで良かったのだ。
「ーーにしても"料理の師匠"はねェだろ」
『あっやっぱり駄目でした?』
「ったりめーだわ」
(本当に馬鹿だ、この女)
あはは、と無理をして笑う園生。爆豪はそれに素っ気なく返した。
笑ってはいるが、轟に対して嘘をついてしまった事を悔やんでいるに違いない。
園生は平気で嘘をつけるタイプの人間には見えないし、これから嘘を吐き続ける勇気もないだろう。
(無理しやがって…この馬鹿が)
爆豪は小さく舌打ちをした。
「おい、バカ女。」
『はい!…って、えっ!私バカ女で決定なんですか…?』
肩をびくりと震わせて、自分を指さすバカ女。その滑稽な姿を睨みつつ、俺は腕組みをしてからこう言った。
「今日から俺がお前に飯の作り方教えてやる」
『……えっ』
「そしたら"嘘"じゃなくなるだろ。」
『……………は?』
俺の提案に、園生は目を丸くさせぱちりと目を瞬かせた。
『い、いまなんて…』
「だから俺がお前の料理の師匠になってやるっつってんだよ!!」
『えええーーーー!!!』
『い、いいんですか…!』
「良いっつってンだろーが!!」
俺は面倒になって片手を爆破させる。けれど園生の顔はさっきよりも晴れていて。
『ありがとう…!爆豪さん!』
「…おう」
その眩しい笑顔に、その柔らかな雰囲気に。
爆豪は声を荒げることもなく言葉を返すのだった。