05


"ねぇ、A組の上鳴くんに告られたってマジ?"
"うん。昨日の夕方。"



ーーーあの時の、あの言葉が頭から離れない。

電気があの子に告白…?

一体、いつなんで…なんて、そんな想いばかりが巡っている。

私は…私は一体どうなってしまうんだろう。



『……どう思う?梅雨ちゃん。』

その日の夜、私はまた梅雨ちゃんのお家にお邪魔していた。

今度は"誰にも内緒にして、"と念入りに釘を刺して。

これまでの経緯のおさらいをしてから今日会ったことを話す。

梅雨ちゃんはそれを聞きながら終始不安げな顔をしていた。



「ーーそうね。上鳴ちゃんに直接聞くのが一番だとは思うけど…」
『だよね…』

はぁ、と小さく溜息。

本人に聞けたらどれだけ楽か。

(いや、楽、じゃないな…ただはっきりするだけ、だ)

電気から突き付けられる答えはイエスかノーの二択しかない。

けれど…それを聞くのがとても怖い。



「名前ちゃん、もし…もし、上鳴ちゃんが浮気をしていたら、どうするつもり?」
『どう、って……』

ケロ?と首を傾げながら眉を下げる梅雨ちゃん。

私は"浮気"という二文字の重さに言葉を詰まらせる。

(浮気…してるのかな…)

女の子に声をかけるくらいなら普段の電気もしていたけれど、告白となると話は大分変わって来る。

あの子がオーケーを出せば私は彼にとっての二番目ということになるし、二股されることにもなるのだ。

…もしくは私たちの関係がここで本格的に終わるのかもしれない。

(電気と別れたくない……でも、)

あんな風に喧嘩しちゃったし、普段から他の女の子の話ばっかりだったし。

電気は私と別れたかったのかもしれない。



『ーー私、電気と別れる…。』

電気が誰かを好きになってしまったんだったら、私は彼にとってただの障害だ。

あの男のことだ、告白したはいいものの、喧嘩した私とは話しにくくてまだ伝えられてないだけだろう。

全部、私からケリを付けよう。

電気が本当にあの子の事を好きなんだったら早く別れてあげなくちゃ…。



「本当に?」
『………うん。』

震えた声が情けない。瞼が熱くなってほろりとあたたかいものが流れる。

梅雨ちゃんはそれをじ、と見つめながら私の背中をゆっくりと撫でてくれた。



(好き、だったよ電気…)

(馬鹿なところも、正直すぎるところも、)

(たまにちょっとだけ格好いいところも、全部…)



『全部、好きだった……。』

それを最後に私は電気への恋心をしまい込んだ。