筆記試験






久しぶりに訪れた大きな校舎を前に、試験前の緊張よりも懐かしいと思う気持ちの方が大きかった。
周りを歩く受験生は緊張からか、顔が強張っている。

懐かしさが勝ったからか、周りの人たちの表情がしっかり見えるほど、なんだかとても落ち着いていた。


最初に筆記試験で、後から実技の試験。
実技試験のために指定された教室に着けば、まだ着席している人は3人だった。

受験番号が表示された席に着席して、電源を切るために携帯を取り出せば数件のメッセージが届いていた。


美衣子ちゃんと轟くんだ。
轟くんからメッセージが来るなんて意外だったので少しびっくりしてまう。


[頑張れ!ひかりなら絶対大丈夫!怪我しないようにね!]


昨日一般入試の試験を終えたばかりの美衣子ちゃん。からシンプルな激励の言葉に口元が緩む。
よく使うキャラクターのスタンプを送って、轟くんのメッセージを開いた。


[待ってる。]


合格を確信するかのような言葉に、ぐっと胸が熱くなった。
「すぐ行く!」とメッセージ付きのオールマイトスタンプを送った後に、電源を切って携帯をしまい、代わりに筆箱を取り出す。

人も少しずつ集まってきている。

試験前は割り切って、参考書は見ないタイプだ。

窓の外から続々と入ってくる受験生たちを遠目に見つめる。

体格とか特徴的な部位を見ながら観察を続けつつ、個性について想像をするのはもはや特技の領域まで来ていた。
1人ずつ目線をうつしていけば、転びそうな男の子を女の子が助ける姿が目に入ってきた。


ああ、やっぱりここはヒーロ科だな、なんて思ったら頬が緩んでしまう。


例のあの子は試験に間に合うんだろうか。
そういえば男の子か女の子なのか、聞き忘れたなと思い返す。

No.1ヒーローが認めた人物だ。きっと合格するに決まってる。
仲良くなるためには、まず入学することが最優先事項だ。


まずは、合格の一歩へ近づくための筆記試験。


入ってきた試験監督の先生を視界に入れながら大きく深呼吸をした。








シャローム