クラスメイトNの話

中学2年、2学期のスタート。
ただのクラスメイトBである私は、1人と女の子と出会った。

夏休みが明けてみんなが挨拶を交わし、夏休みの思い出を振り返り談笑する中、一つの話題が舞い込んできた。


「転校生が来るらしいぞ!」


とたんに周りは騒がしくなり、男か女かとか、イケメンか美女か。これから出会うであろう転校生の話で持ちきりになった。


思春期真最中の男の子からすれば堪らないであろう会話にも自ら参加することもなく、姿勢良く座っている轟はとってもクールだ。




「なー!轟はどっちだと思う?」



そんな轟に容赦なく話しかけるお調子者の中田。轟なら「興味ねえ」とか言ってさらりとかわすだろう。そう思い中田を心の中で小馬鹿にしていたが、予想外の反応が返ってきた。



「女だった」

「え!?だったって何?え?轟あったん?」

「職員室まで送った」

「まじかよー!!!!!可愛い!?可愛かった!?」

「………………小さかった」

「なんだよ小さいって!!おーい!!みんな!!女子だ!女子がくるぞー!!!」


クラスメイト達に転校生が女の子であることを伝えに走る中田を見ても、轟の表情は変わることはなかった。


「なんか、珍しいねー。轟がそんな風に話すのって」

「そうか………?」

「うん、珍しい。てか何よ、小さいって。身長??」

「……背は低かった。」

「ふーん、まあゆーてまだ中2だもんね。私たち。仲良くなれるかなー?」

「………なれるだろ。」

「え、ますます珍しいね。どうしたの轟くん。」

「……なんか、動物ぽかったから。」

「へー、楽しみだわ。」


そんなクール代表の轟くんとのローテンポの会話の意味に、数分後納得することとなる。









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『はじめまして!藤本ひかりです!父の仕事の関係で、東京から引っ越してきました。これからよろしくお願いします!!』

教室に入ってきた小さな女の子を見て、轟のいいたかったことをすぐ理解した。
パッと見れば小学生くらいにしか見えないその身長から、人懐っこそうな笑顔。

新しいおもちゃを与えられた子犬のように、転校先のこのクラスに興味津々といった様子で目を輝かせていた。

幼さを充分に残す屈託のない笑顔に、クラスの半分以上が癒されていること間違いなしだ。


「そーだな、席は中田の隣が空いてるな……」

「え!!まじすか!?よっしゃー!!!!」

「おいおい、まだ何も言ってないぞー」

「やー、気分あがちゃって!!」

アホな中田と先生のやりとりに、クラスの男子や女子からも野次飛び交い、どっとクラスが湧く。
クラスの笑い声に釣られて、ニコニコしながら聞く転校生の藤本ちゃんは、やっぱり可愛い。


「すまんな、藤本。悪いやつじゃないんだ。仲良くしてやってくれ。」

『楽しそうなクラスで嬉しいです!!』


これは、轟があんな反応するのも無理もない。
まだ出会ってから5分も経っていないのに、クラスの空気が柔らかくなる。
先生でさえとても緩んだ顔をしていた。

全くもって邪気を感じさせない1人の小さな女の子に、私も既に解されていた。






そんなクラスメイトBの話。
-私、猫島美衣子。よろしくね。





シャローム