染み込んでいる言葉
里の門を潜ってから少し、タズナさんのスピードに合わせて波の国を目指す。
Cランク任務ということもあり、他の里の忍びと戦う心配がないからから、緊張感はない緩やかなスピードだった。
皆との、初めての長期任務。
未だにずっと、任務関連以外のことでお話ししたことのないサスケくんをチラリと見る。
同じチームになったのだから、もう苦手のままでもいられない。
(水溜まり……?)
ナルトくんやサクラちゃんの出す和やかな空気に紛れながら、話し出す内容やタイミングを伺っていたが視界に入り込んだ水溜りに思考がストップする。
(雨なんて降ったっけ…?)
不安を感じてカカシ先生を見ると、何故かニッコリと微笑まれてしまった。
そしてそのまま通り過ぎるカカシ先生をみて、「考えすぎだ」と通り過ぎたその時だった。
ーピチャ
ただの水溜りのはずなのに、私たちが通りすぎた後なのに、耳に入ってきた水の音にすぐさま振り返れば二つの影がこちらを見つめていた。
『カカシ先生!!!』
慌てて叫んだ時にはもう遅く、カカシ先生は鎖に囚われていた。
「1匹目」
その言葉とともにカカシ先生の身体がいくつにも分かれ宙を舞う。
サクラちゃんの叫び声、ナルトくんのカカシ先生を、呼ぶ声もとても遠くに感じた。
これは、
私の知っている"死"のイメージではない。
ナルトくんに襲いかかる他国の忍にサスケくんが駆け出すのが見える。
ならば、私がすることは守ること。
タズナさんの前でクナイを構えるサクラちゃんは震えている。
初めての実戦だ。恐怖心があるのも無理はない。
ー大丈夫、絶対に守るよ。
空っぽな記憶の中に唯一染み込むこの言葉が脳内を駆け巡っている。
「おじさん下がって!!」
『水陣結界…!』
『「!!」』
薄い幕がサクラちゃんと敵の間に降りるのと同時に、サスケくんがサクラちゃんの前に飛び出してきた。
サクラちゃんを守りながら戦おうとしていることがすぐにわかる。
サスケくんも目の間に降りた結界を見て驚いたようにこちらを見ていた。