反比例する気持ち
翌日、いつもであれば、集合時間といえばぴったりか少し遅れるくらいにに到着するリナだが、集合の30分前には指定された場所についていた。
普段から暇があれば机に突っ伏したり、芝生に寝転んだり昼寝をしているため、誰もいないこと良いことに集合場所の木の根元に腰をかけ目をつぶれば驚異のスピードで、リナは眠りに落ちた。
そんな様子をリナの苦手なサスケに、寄りかかった木の上から見られているとは少しも思っていなかったのだろう。
もしサスケがいたことに気がついたのであれば、どぎまぎとした気まずい雰囲気に耐えきれず昼寝どころではなかったはずだ。
しかし、運良くサスケに気がつくこともなく昼寝を始めたリナの様子を見てサスケは呆れたようにため息をついた。
スースーと規則正しく行われる呼吸を聞いて、サスケは静かに木の上から降りる。
サスケはこうして眠るリナが一度寝るとなかなか起きないことを知っていた。
それはアカデミーを共に過ごした全員が知っていることではあったが、サスケはもっと前から知っていたのだ。
あの日から、明確に距離がひらきどう接したら良いかわからなくなってしまった彼女と、こうして同じ班になるのはサスケにとって、少々面倒なことだった。
一族の復興と兄を殺すこと。
それを成すために強くならなければいけない。
そんな中、彼女が自分のそばにいることが気難しくてならなかった。
そんな気難しい感情等は裏腹に、彼女の髪の上に落ちた葉をサスケはとても優しい手つきで退ける。
サクラやイノでなくても、その表情を見たら赤面するであろう、そんな優しい表情だった。
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「ちょっとリナ!そろそろ起きなさい!」
『ん〜・・・』
ゆさゆさを体を揺さぶられて、リナはゆっくりと目を開く。
視界に飛び込んで来たのはピンク色だ。
「大遅刻のカカシ先生がきたんだから、アンタも起きないと遅刻扱いにするわよ!」
『サクラちゃんおはよ〜』
「もー!女の子なんだから、こんなところで寝ちゃダメでしょ?ほら葉っぱついてる!」
テキパキと、寝起きのリナの髪の毛を整えるサクラとされるがままにしているリナに、約束の時間に何時間も遅れてやって来たカカシはゆっくりと近づいた。
「おはようリナ、そろそ始めたいんだけどいい?」
全員がこちらを見ている様子に、さすがにまずいと思ったのか、カカシの問いかけにリナは頭をブンブン縦に振り頷いてみせた。
告げられた内容は、カカシから鈴を奪うこと。
「もし、昼までに俺からスズを奪えなかった奴は昼飯抜き!」
朝飯抜きと指示をされた意味を4人は理解した。
しかし、集合時間には早めに来れたものの朝がめっぽう弱いリナは寝ぼけて、食パンをかじったことを思い出していた。
「スズは1人1つでいい。2つしかないから・・・必然的に1人は丸太行きになる。」
カカシの手元でスズが音を鳴らすたびに、少しずつ緊張感が漂っていくようだった。
「スズを取れない奴は任務失敗ってことでここで失格だ!」
つまり、この中で2人はアカデミーへ戻ることになる。
『(やっとここまで来たのに・・・・)』
リナはグッと握りしめた拳に血液が流れるのを感じていた。
なんのために、ここまでやって来たのか。それは忍びになるためであり、忍びになって実現すべきことがあるからだ。
こんな場所で立ち止まるなんてことは、自分を許せなくなる。
「手裏剣も使っていいぞ。俺を殺すつもりでこないととれないからな」
『(だからって、勝てるわけない・・・)』
そう。リナはアスマとの修行の中で、上忍の強さを知っていた。
自分の力が、カカシ相手に通用しないこともわかっていた。
カカシにの「ドベ」発言に怒って、ナルトがクナイを向けるが目に見えない速さでカカシがそれを制す。
だから、止められたナルトはもちろん、サスケやサクラがそのスピードに驚く中、リナは少しも驚くこともなく、冷静にその様子をみているだけだった。
「やっとお前らを好きになれそうだ・・・」
勝てるわけがない・・・・でもそれは、弱気なだけで諦めたわけではないのだ。
「スタート!!」
出された合図と同時に、リナは勢いよく地面を蹴った。