雪うさぎのすまほでびゅー

「すみれ〜」

「なぁに?さとる」

呪術師ではないすみれは基本的に高専内で留守番をしていることが多い。今日も今日とてオリヴァーと留守番のすみれに僕は声をかけた

テテテと軽い足音で僕に近づいてきたすみれとえっちらおちっらと相変わらず危なかっしい足取りですみれの後をついてくるオリヴァーに目隠しを少しずらしてオリヴァーの呪力を見る

そこにはすみれの白い呪力しか見えず今日は宿儺のチカラは入ってないなと確信した

…宿儺がオリヴァーの中に入っていたらあんなマヌケな走り方は絶対にしないだろうしね

「すみれにプレゼント買ってきたよ」

「プレゼント?」

なぁに?なぁに?と僕のズボンを引っ張るすみれの視線は僕が持っている小さな箱に釘付けである

「はい」

「開けていいの?」

「いーよ」

すみれが小さな手で僕が渡した箱を開けると箱の中身を見たすみれの瞳がキラキラと輝いた

「すまほだ!さとるっ!これ、すみれの?!」

「そうだよ、すみれの。これで僕とも傑とも硝子ともすぐに話せるようになるからね」

「ゆーじとのばらとめぐみも??」

「もちろん、すみれの知ってる人みぃんなだよ」

くふくふと真新しいスマホを口元にあてて笑うすみれに僕はもう1つの箱を手渡した

「???」

「すみれはきっとすぐスマホ落としそうだからね。ケースとネックストラップも買ってきたよ」

「うさぎ!オリヴァーと一緒っ!」

うさぎ型のクリアカバーとネックストラップをすみれのスマホにセットしてすみれの首にかけてあげるとほわぁとすみれはマヌケな声を上げた

「すみれ、ここ。この緑色のアイコンをタップして僕の名前を触ってごらん」

「あいこ…ん?たっぷ???」

なんだそれはという顔のすみれに僕は見本を見せるとすみれは見よう見まねでその小さな手に余るスマホを左手で持ち右手でポチッと緑が特徴のアイコンをタップする

「さとるの名前しかない」

「そりゃそうだよ、だから僕以外の人たちの連絡先ゲットしておいで。これが今日のすみれの宿題ね」

「ん!」

「友達登録の仕方はみんな知ってるから教えて貰うんだよ。わかった?」

「わかった!」

「で、みんなの連絡先をゲットしたら僕に電話して?電話はココね」

電話のマークを指さしてすみれに教えると小さな指がポチッとマークを触る。すると僕のスマホがブーブーっと着信を知らせた

「ほら、すみれから電話がかかってきた」

「おぉ…」

「もしも〜し」

「も、もしもし」

「イヤイヤ、すみれビビリすぎ。前にゆーじのスマホで僕と電話したじゃん」

はっと思い出した顔をしたすみれの小さな頭をグリグリと撫でて電話を切る

「んじゃ、スタートね。頑張って」

コクンと頷いて談話室を出ていくすみれの後を置いていくなと言わんばかりにオリヴァーがポテポテとかけていった

すみれの足音が聞こえなくなると僕は自身のスマホを取り出して硝子に電話をかけた

「もしもし、硝子ぉ?今、すみれがそっちに行ったからよろしく〜。大丈夫、大丈夫。すぐ済む用事だからさ」

†‥家入side‥†

医務室で先程解剖が終わったばかりの書類を書き上げていると白衣のポケットに入ったスマホが鳴った

ディスプレイには"五条"の文字

「…出なきゃダメか?」

出なくても問題はないとは思うが出なかったら出なかったでクソほど面倒なことになるのは長年の経験で嫌というほど知っている

つまり出たほうがこれからの予定を五条に潰されなくて済むということ

通話のボタンを押すと呑気に間延びした声で五条が私の名前を呼んだ

「もしもし、硝子ぉ〜?」

「なんだ」

「今、すみれがそっち行ったからよろしく〜」

「は?私は今日は忙しいって言ってあっただろう?!」

書類の上を走らせていたペン先がミシッと変な音を立てる

「今日はって、硝子いっつも忙しいじゃん」

「分かってるなら邪魔すんな」

「大丈夫、大丈夫。すぐ済むから」

プッという音と共に通話が切れディスプレイが黒に変わるとほぼ同じくらいにパタパタと走る音が私のいる部屋の前で止まりコンコンという小さなノック音が聞こえた

私は書いていた書類を裏返してノックをした本人を招き入れる

「開いてるよ」

「しょーこ?」

「どうした?すみれ。五条に虐められでもしたか?」

「んーん!あのね、しょーこ!すみれ、さとるからスマホ貰ったの。だからね…」

ああ、五条が言っていたすぐに済む用事とはこのことかと理解した。つまり五条は買い与えたスマホの連絡先を増やして来いとでもすみれに言ったのだろう

すみれの両手には余るうさぎ型のケースがついたスマホを私に向けて差し出しているすみれに私はポケットに入っていた自身のスマホを取り出した

「連絡先、でしょ?」

「うん!」

「やり方は分かる?」

「さとるがみんなから教えて貰えって」

「アイツ…ホントに仕方ないやつだな。ゴメンねすみれ。このあと仕事が立て込んでてゆっくり教えてあげる時間がないんだ。詳しい操作は虎杖達に教えて貰いな」

「はーい」

私はすみれからスマホを受け取るとパパッと連絡先を登録してすみれの首にスマホをかけ直した

「よし、虎杖たちに教えて貰ったら私にもメッセージを送っておいで。待ってるから」

「うん!頑張ってすみれ覚えてくるねっ!ありがと!しょーこ」

雪うさぎのすまほでびゅー
「あ!すぐる〜!」
「おや、すみれどうしたんだい?」
「みてみて!すみれのスマホ!さとるから貰ったの」
「夏油様ぁ〜その子誰ぇ?」
「菜々子、小さい子いじめちゃダメ」
「えー!美々子も気になるでしょ?」

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