呪いの王だって寿司食いたい
りっぱ寿司に着いた僕と傑とすみれと1年ズはどの席に座るかと話していた
「悠仁たちはテーブル席でしょ。んですみれと野薔薇に回転寿司レクチャーしてあげてよ」
「先生たちは?」
「僕ぅ?僕と傑はカウンターかなぁ。いいよね?傑」
「私は構わないよ」
「んじゃ、それで!行こーぜ!すみれ、伏黒、釘崎っ!」
悠仁に抱き上げられたすみれが片手でオリヴァーの両耳を鷲掴み、もう片方の手を僕と傑に向けてヒラヒラと振っているのを見て僕と傑も手を振り返した
オリヴァーがめちゃくちゃイヤそうにすみれの手から抜け出そうとしていたことには目を瞑っておいた
…まだまだぎこちないけど動けるようになってるっぽいな。もともと動けていたのにワザと動けないフリをしていたか…。それはないか、すみれのだし
「すみれは随分と一年生達に慣れたんだね」
「ま、元々悠仁とは知り合いだったみたいだからね」
「そうなのかい?それは私たちとは別にということかな?」
「違う違う。話を悠仁に聞いたらどうやら僕たちの所に居た時と同じ時期に悠仁と近所の公園で遊んでたっぽいんだよね。ホント僕とは違った意味で何でも出来ちゃうから」
「そうだね。実際、私もすみれには助けられてるよ。そうでなければ今頃…」
「傑、それ以上は言うなよ」
「すまないね」
僕は傑の会話を途中で止めさせ、悠仁たちが視界にギリギリ入る位置のカウンターを選んで二人で腰を下ろした
「今日は悟の奢りってことでいいのかい?」
「はあ?僕と同じ特級様が何言ってんだよ。てかこんな所でいいわけ?奢るならもっといいトコ連れてってやるし」
「コラコラ、悟」
傑は僕を嗜めると慣れた手つきで湯のみに緑茶の粉末を入れお湯を注ぐと即席のお茶を作り僕の前にコトンと置く
「なんだよ、傑。手慣れてるじゃん」
「はは、美々子と菜々子と何度かね」
「そういや、その双子は高専に連れて来ないの」
「私は何度か声をかけているんだけどね。なかなか頷かないんだ」
「夏油様ぁ〜って傑のこと崇拝してんのに変なの」
思い出せる範囲で双子の真似をし、ズズっとお茶を啜ってひと息つくとギャーギャーと騒ぐ悠仁たちを見やる
「悠仁、コミュ力オバケだしなんだかんだ上手くいくと思うけど?」
「私もそう思うよ。彼女たちにはもっと他の術師と関わることを覚えて欲しいんだ」
「ま、双子の気が変わったら連れてきなよ。学長も拒まんでしょ」
そして僕は目の前を流れる皿を一つ手に取り、皿の上に乗っていた寿司をポイっと口に放り込んだ
†‥虎杖side‥†
「すみれ!すみれ!こっち!」
「おい。虎杖、もっと静かにしろ。他の客に迷惑だろ」
「これが回転寿司…ホントに寿司が回ってんのね。虎杖っ!新幹線はドコ?!」
「ほわー」
五条先生と夏油先生の二人と別れて俺たちは案内されたテーブル席へとやってきた
レーン側に俺と釘崎が座り、俺の隣にすみれ、釘崎の隣に伏黒が座った
全員分の湯のみにお茶の粉末を入れてお湯を注ぎ1人1人の前に置いていく
「サンキュ」
「いいって」
「アンタってこういうことサラッと出来るんだから恐ろしい男ね。なんでモテないのかしら」
「うっせぇ。すみれ、熱いから気ぃつけてよ」
すみれの前にも湯のみを置くとすみれはコクンと頷いてから両手で湯のみを持ちふーふーと息を吹きかけてチビチビと飲み始めた
レーン上部にあるタッチパネルのやり方を釘崎に説明すれば目を輝かせてあれやこれやと注文を始めるのでその様子をすみれと見て笑う
「釘崎、そんなに一度に頼んで食べれんの?」
「大丈夫よ!伏黒は何を頼むの?」
「なんでもいいだろ」
そういうと伏黒は自分スマホをポチポチと弄っているのでスマホでオーダーをしてるんだろうなぁと思って次は俺とすみれの番だなとすみれを俺の太ももに移動させる
「ゆーじ?」
「すみれも注文してみ?」
「でも、すみれお寿司初めてだからどれがいいかわからない…」
「んー、初めてっていきなり魚とか食わしていいんかな?どう思う?伏黒」
スマホでオーダーを終えた伏黒に聞いてみると
「玉子とかいなり寿司とかそういう子供向けやつからにすればいいんじゃないか?」
と返ってきたのですみれにタッチパネルで玉子といなり寿司を探させてポチッと確定ボタンを押させるとすみれが俺の方を振り向いた
「ゆーじ!ゆーじは何を食べるの!」
タッチパネルが思いの外楽しかったらしく早く打ちたいですと顔に書いてあるのがわかった
「じゃあ…」
「マグロとやらを押せ、小娘」
「え?」
俺がすみれに注文を頼もうとすると宿儺が俺の頬に突然現れてすみれに注文をつけていた
「おい!宿儺っ!何やってんだよ」
「黙れ、小僧。俺も寿司とやらが食いたい」
反射的にパチンと頬を叩いてもいつものごとくしれっと手の甲に移動されただけだった
「すくなもお寿司食べるの?」
「俺が生きていた時代は寿司といえば保存食だったからな。米と一緒に食うものは興味がある」
「え?宿儺が生きてた時代って寿司って寿司じゃなかったのか」
「ゆーじ、ゆーじ。マグロってどれー」
すみれに聞かれてバカ正直に宿儺が食べたいと言っていたマグロを教えて注文させると宿儺はまたすみれに別の注文をつけていた
「小娘」
「なあに?」
「呪骸を持っていただろう、寄こせ」
「オリヴァー?」
なんで?という顔をしながらすみれはオリヴァーをテーブルの上に乗せた
「おい、宿儺。なんでオリヴァーが必要なんだよ」
「小僧の中で食べても小僧がいい思いをするだけだからな。癪に障る」
「はあ?」
「小娘、呪骸の口を開けさせろ」
「オリヴァー、あーんってできる?」
すみれの声に合わせてオリヴァーがゆっくりと口を開けけると宿儺が俺の指を勝手に動かして指に呪力を貯めるとオリヴァーの口に突っ込んだ
オリヴァーはそのままモグモグと口を動かして俺の指に乗っていた宿儺の呪力を吸い取る
「…なんか、呪骸に指をしゃぶられてるとかすげぇ変な気分になんだけど」
「キッショ」
「あ、それ俺の」
新幹線に乗って届いた寿司を食べて始めていた釘崎がボソっと呟き、伏黒は我関せずで寿司を食べ続けていた
「ほらすみれの玉子といなり寿司届いたわよ」
「ありがと、のばら!」
釘崎に寿司の乗った皿を手渡されてすみれはいつの間にか伏黒が頼んだフォークを貰い玉子に突き刺すとパクっと食べた
「んぅーおいしーーー!これおいし!ゆーじ!ゆーじにもあげるっ!あーんして」
すみれのお願いにあーと口を開けると俺の指を咥えていたオリヴァーがペッと指を吐き出すとスクッと立って俺の口に入るはずだった玉子をむしゃむしゃと横取りして食べた
「あ」
「オリヴァー!それ俺の玉子なんだけど?!てか呪骸って寿司食うの?!」
「煩いぞ、小僧」
「え?宿儺??」
オリヴァーの口から発せられたのは間違いなく宿儺の声でそんな俺たちの驚きを無視してオリヴァー(中身:宿儺)は机の上で呑気に屈伸をし始めた
「ふむ、なかなか悪くないな」
「嘘だろ」
「マジ?」
釘崎も伏黒も口に入れようとしていた寿司を落としていた
「え?宿儺、もしかして俺の身体から出てった!?」
「そんなわけなかろう、一時的に切り分けただけだ」
いつのもごとく俺の頬にクパッと口を現した宿儺に俺たちは声を上げた
「「「えーーーーー!」」」
「ちょっとちょっと、キミたち
もう少し静かに食べれないの?」
「だって五条先生ぇー」
「さとるっ!オリヴァーがすくなになった!」
「は?」
「オリヴァーの中に宿儺が入り込んだみたいです」
「は?!」
「まったく悟。キミまで騒いで」
「なんだ、ゾロゾロと不愉快だ」
「うわ…悠仁の時と同じで混じってるじゃん」