美々子と菜々子と雪うさぎ
「夏油さま〜!やっぱり私帰りたい〜」
「…菜々子」
「だってだって〜。夏油さま以外の呪術師なんて興味ねぇし!アタシ達には夏油さまさえ居てくれればそれでいいもん。美々子もそう思うでしょ?」
「夏油さまが私達を此処に連れてきたのにはきっと理由がある」
「むぅ…」
高専内を歩く私の後ろをついてくる2人の女子。容姿は似てはいないが彼女たちは双子である
彼女達の名前は美々子と菜々子
私が任務で訪れたのは地図にも載らない集落でその場所で術師という理由で虐げられていた彼女たちを私が引き取った
「此処にはキミたちと同い年の呪術師がいるんだ。美々子も菜々子も私以外の呪術師と交流することも大事なことだよ」
「そんなのアタシらには必要ないし〜」
こうして何度か彼女たちに高専で勉強をしないかと説いているのだがなかなか彼女たちはその首を縦には振らないのだ
ちょうどその時、廊下の曲がり角からひょこっと白い塊が飛び出してきた
「あ!すぐるっ!」
「や、すみれ」
ぽすんと私に抱きつくすみれに私の後ろにいた彼女たちが興味を示さないはずがない。私の後ろからにゅっと左右それぞれ顔を出した
「夏油さま〜、誰ぇ?」
「誰」
私だけだと思っていたのに虎杖でも伏黒でも釘崎とも違う存在にすみれの小さな身体がピシリと固まる
…普段は人見知りなんてしないはずなんだけどね
「すみれ、この2人は美々子と菜々子というんだ。2人とも私の大事な家族だよ。いつか紹介したいと思っていたんだ。ほら2人も挨拶して」
「菜々子でぇす」
「美々子」
「…すみれ」
「「「………」」」
…このあとどうしたらいいのという視線を3人揃って私に向けてきた。まったく…キミたちはどうしてガードが硬いんだろうね。美々子と菜々子は境遇のせいだろうがすみれは…悟の影響かな?
「…ふぅ。それで?すみれはどうしたんだい?」
「すぐる、あのね」
チラッチラッと私の背後にいる美々子と菜々子が気になるのかすみれの視線が泳ぐ
「あーーーー!それ!限定品じゃん!」
私の左側にいた菜々子がすみれが持っていたスマホケースを指さして声を上げた。キーンという音の衝撃に思わず耳を塞いでしまった
…すまないね、菜々子
「菜々子、うるさい」
パチパチと瞬きを繰り返すすみれに菜々子が距離を一気に詰めてすみれのスマホケースを再度、指さした
「これ!菜々子と一緒じゃん!ほらっ」
菜々子の手にあるスマホはすみれが持っているスマホケースととても良く似ていてすみれのケースはクリアだが菜々子ケースは黄緑色をしていた
「すみれのとおんなじ!これね、さとるがくれたの!」
両手で首から下げているスマホを菜々子に見せてニコニコと笑っているすみれに菜々子も自身のスマホを見せてニッと笑ってオソロじゃん!と喜んでいた
「珍しいのかい?そのケースは」
菜々子とすみれに近づくと菜々子はバッと私の方を振り向いていかにすみれのケースが珍しいものかを説明し始めた
「珍しいってもんじゃないですよ!夏油さま!ほらココ!よく見てください!シリアルナンバーと持ち主の名前が彫ってあ…え?」
「どうしたの?菜々子」
「美々子。限定品のケースってさ、こんな目立つ石ついてたっけ?」
「ついてない」
すみれの持つケースには蒼と紅のキラキラと輝く石がうさぎのちょうど眼の位置についていた
「すみれ、それは悟に貰ったと言っていたね?」
「うん!すみれにプレゼントってくれた!」
すみれの言葉に私は納得した。ああ、全て悟の仕業だ。限定品だけでは飽き足らずに自身の六眼とすみれの瞳の色の宝石をつけてたのだろう。
僕のモノだと。誰にも盗られないように…。
「そうか。それでそのスマホをどうしたいんだい?」
「あのね、すぐるとお話出来るようになりたいの」
「私と?」
「うん、あとおねーちゃんたちも」
「アタシら?」
「ダメ?」
「どうする?美々子ぉ」
「いいと思う。夏油さまも友達作りなさいって言ってるし」
「オッケー!んじゃ交換しよ!夏油さまも!」
菜々子が慣れた手つきでパッパッと連絡先を交換していく。それに倣うように私もすみれと連絡先を交換した
「はい、困ったときはすぐに連絡してきなさい」
「困ったときだけ?」
「はは、どこでそんな言葉覚えてきたんだい?何時でもいいに決まってるだろ」
「ありがと、すぐる。いっぱいお電話してい?」
「もちろんさ」
すみれの真っ赤な瞳が私を見上げていて私が頷くと嬉しそうに細められた
「おねーちゃんたちもありがとう」
「ねーねー、そのおねーちゃんっていうのやめね?もうアタシら友達でしょ!アタシの名前は菜々子。んで」
「美々子」
「ナナちゃんとミミちゃん」
「「よろしく」」
「うん!」
「あー!夏油さまぁ!お店閉まっちゃう」
「もうそんな時間かい?」
「何処かに行くの?」
「菜々子がどうしても行きたいお店があるらしくてね
すみれも行くかい?」
「すみれ、ゆーじたちに用事ある」
「そうか、じゃまた今度一緒に行こう」
「夏油様ぁ〜!はーやーくー」
「はいはい」