伏黒恵は発見された

午前とお昼を挟んで午後の数時間、今日は虎杖、釘崎、俺の3人で三つ巴の体術訓練だと担任である五条先生に言われた

特級の名を冠する五条先生は本来は高専内をプラプラしてていい人じゃない

現に五条先生の同級生であった夏油先生も五条先生と同じく特級の名を冠する呪術師の一人であるため今日は泊りがけの遠方任務だと朝すれ違った時に聞いた

…悟から聞いているかもしれないけど、10年位前に一度、非術師さるん"ん…非術師の術師に対する扱いについてクーデターを起こしてね。その時一定期間の謹慎と術式封印っていうペナルティを喰らったんたけど去年もちょっとプチンときちゃってね。2回目だから上に目をつけられているんだ、溜まったもんじゃないよ

と笑いながら言っていたが、その笑みはどす黒い何かが見え隠れしていたので大変ッスねと当たり障りなく返すので精一杯だった

1つ上の乙骨先輩も最近見ないなと思っていたらどうやら五条先生に言われて海外にいるらしい…ホントに大変だと思う

それもこれも聞いた話ではもう一人の特級呪術師がちゃらんぽらんだからというのは有名な話である

体術訓練を終えて、俺はさっさとその場を後にした。あの場に留まっていれば、絶対に釘崎に捕まるからだ。現にすでに虎杖が捕まっていた

「…疲れた」

現時点で俺たち1年の中でずば抜けて体術のセンスがある虎杖との訓練は受け身の取り方や攻撃の往なし方、カウンターを仕掛けるタイミングなどタメになるものが多い。あれは天性の才能なんだろう。俺も中学の頃、近所の不良共相手には負けなしだったが虎杖には勝てなかった。俺の術式は簡単に言ってしまえば影を媒体にした式神を使うもの

…必然的に式神使いは体術が苦手だと思われがちで真っ先に狙われるからね

…体術が苦手だと勝手に思い込んでいたヤツが自分に突っ込んできてその相手をカウンターで伸したら気持ちいいだろう?間抜けな奴らの鼻っ柱をへし折ってやればいい。だから体術はやっておいた方がいいよ、伏黒

と呪霊操術使いの夏油先生が前に言っていた

その時の夏油先生の顔は、あっやっぱり夏油先生は五条先生の同級生だったんだなと思う位何かを企んでいる五条先生にそっくりだった

部屋に戻って汗をかいたシャツやズボンやらを脱いでシャワーを浴びる

シャワーを浴びた後に俺は電池の切れたロボットのように倒れ込むようにしてベッドに横たわった

このあとは五条先生と一対一で訓練をする予定があるのだが、流石に…

「…疲れた」

そのまま俺は眠気に抗えずに目を閉じた

次に俺が目を開けたのは自身のスマホが音を立ててその存在を知らせていたからだ

「…ごじょ…うせんせ…」

ハッと一気に覚醒する。そうだ、五条先生との訓練だったことを思い出して慌てて電話に出ると五条先生は怒っていないのかいつもの軽い口調で俺の名前を呼んだ

「あっ恵ぃ〜?」

「すみません。五条先生、寝てました」

「このあとなんだけどねー、ちょっと急用が出来ちゃったから今日の訓練ナシ。悪いね」

「は?え、あ、別に大丈夫ッスけど」

俺の返事を聞くや否やすぐにプツリと音を立ててスマホは切れた

唐突に予定がなくなってしまいどうしようかと考える

もう一度寝るという気分ではない

「腹、減ったし食堂でも行くか」

自室を出て食堂で何か軽く食べられるものはないかと冷蔵庫を開けるも残った材料で何が作れるのかさっぱりわからない

さてどうするかと考えているとガヤガヤと廊下が騒がしくなってきた。その声はおそらく虎杖と釘崎、あと聞き慣れない声が1人分だった

食堂のドアがガラッと開いて予想していた人物たちが食堂に入ってくる

「伏黒はここかぁ!」

「うるさ…なんの用だ、お前ら」

「伏黒ぉ、よくも私の連絡を無視したな!証拠は上がってんだ!」

釘崎が声を荒らげながらドスドスと音を立てて俺に近づいてくる

…釘崎からの連絡なんてあったか?と思い自身のスマホを取り出すと釘崎からの電話もあれば虎杖からも着信がありLINEのメッセージも何件か来ていた

「…すまん」

ここは素直に謝るのが正解のはず、変に反論すれば釘崎の怒りの炎がさらに燃え上がるだけだ。正直余計な体力は使いたくない

「めぐみ!」

「…誰」

突如、虎杖でも釘崎でもない第三者に名前を呼ばれて視線を下げると上から下まで真っ白で小さい女子がいた

「すみれ、五条先生からの預かりもん

そう言われて俺を見上げてくる少女と視線を合わせるとその少女もじっと俺を見つめてきた

「似てるな、五条先生に」

「伏黒もそう思うよな!でも五条先生の子どもってわけじゃねーんだと」

「さとるはすみれのパパじゃないよ!」

真っ白な少女すみれは虎杖の声に反応して振り向くとタッと虎杖に駆け寄って虎杖の太モモあたりにギュッと抱きついている

「懐かれてんな、虎杖」

「ははっ、俺はすみれとちっちゃい頃遊んだことがあっから」

「ちっちゃい頃?」

「んー、10年位前?」

「ちょっと!虎杖。10年前ってすみれどう見てもまだ5歳いくかいかないかくらいよね?10年ってどう考えても生まれてないじゃない」

釘崎が最もな事を言っていて俺もコクンと頷いた

「あ、そうだったわ」

「釘崎には言ってなかったっけね、すみれってさ実は人間じゃないんだよね。この事ナイショにしておいて。すみれが人間じゃないってことが上層部に知られたらすみれ高専ここには居られなくなるっぽい」

「はぁ?!なんでそんな大事なこと言わないのよ!」

釘崎が虎杖の制服のフード部分を掴んでグラグラと揺さぶっている

「だからぁ〜ゴメンって」

「のばら、すみれがニンゲンじゃないとキライ?」

すみれにそう言われた釘崎は揺さぶっていた虎杖のことをその瞬間に突き飛ばしてすみれを抱きしめていた

「バカね!ニンゲンじゃなくたってすみれはすみれでしょ!私の友達よ」

「へへ、すみれのばら好き」

女子同士の絆が深まったところで俺は釘崎に突き飛ばされた虎杖に近寄った

「大丈夫か?」

「んあ?ヘーキヘーキ、ところで伏黒は食堂ここで何やってたん?」

「何って腹、減ったから何か食べようかと」

…それ以外に何がある??

「へー!で?何食べんの?というか伏黒、料理出来たんだなっ」

虎杖が冷蔵庫のある方へ歩いて行くので、その後ろを着いていく

虎杖が冷蔵庫を開けて中身を見て

「んー、コレならチャーハンとか出来そうたけど?」

…そんな簡単だろ?みたいな顔で見んじゃねー。俺にはムリだ

「ゆーじー、すみれお腹すいたー」

すみれが虎杖の元に戻ってくる

「チャーハンならパパっと作れっけど…」

「ちゃーはん?食べる!」

「オッケ!伏黒は腹減ったって言ってたし食うだろ?釘崎ぃ〜、チャーハン食う?」

「チャーハン?なに、虎杖作れんの?」

「爺ちゃんとの2人暮らしが長かったからね〜。必然的に飯は俺の仕事」

「料理男子、ポイント高いわね」

ボソッと呟いた釘崎に悪かったな、料理出来なくてと反論しようかと思ったが飲み込むことにした

伏黒恵は発見された
ほいよ!おまちど!
んまぁー!ゆーじ!おいしー
美味しいわね
…うまっ
褒めてもなんも出ねえよ

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