雪うさぎとオリヴァーの目覚め
「さ、僕の可愛い生徒たち!今日はこれから課外授業だよ!はい準備して!行くよっ」
1年の教室のドアを勢いよく開けると教室の中には通常サイズの机が3つと明らかに小さな幼児用の机が1つ
幼児用の机を悠仁、恵、野薔薇が囲んでいた
「なあなあすみれ、学長から貰ったオリヴァー起きたん?」
「んとねー、ちょっとだけなら動いた…気がするけどよくわからない」
「学長の呪骸のセンスって独特よね。すみれが持つとギャップがスゴいわ」
「そもそもすみれの術式って傀儡操術なのか?」
「か…いらい…?」
「違うんじゃね?」
「違うんじゃない?」
「違うのか」
「「「うーん…」」」
僕の声掛けを無視して悩む、恵、悠仁、野薔薇の三人に夜蛾学長から貰った呪骸を手に首を傾げているすみれ
「ちょっとちょっと!キミたち!僕が来てるの気づいてるよね?!」
手をパンパンと叩いて生徒たちの注目をひく
「あ、さとるだー」
「あ、さとるだーじゃなくて!すみれってばちょっと前までは僕のこと見つけるとさとるぅ〜って飛びついて来てたくせに最近冷たいんじゃないっ?!」
「うっわ…めんどくさ」
「彼女かよ」
「というかなんで五条先生が高専にいるんですか?アンタ今日任務だから自習だって朝、言ってましたよね?」
そういうと恵は教室の黒板を指さした。そこには僕の字でデカデカと自習っ!!!と書いてあった
「そんなの僕が最強だからに決まってるでしょ。任務なんてちょちょいのちょいさ」
「嘘ね」
「嘘だな」
「…はぁ」
「さとるのうそつきー」
「んまぁっ!なんなのこの子たちは!そんな態度ばかり取っていると課外授業の帰りにご飯奢ってあげないから!」
そういうと現金な野薔薇と悠仁はスクッと立ち上がって僕に駆け寄ると露骨にゴマすりを始めるから面白い
そして僕はすみれを含めた四人を連れてとある廃墟にきた
「ところでさ課外授業ってなにすんの?ここ?見るからに出ます〜って感じじゃん」
「ん?今日の課外授業は此処にいる呪霊を悠仁と野薔薇、二人で祓っておいで。あと悠仁、宿儺は出しちゃダメだからコレ貸してあげる」
「うっす」
悠仁に真希から借りてきた屠坐魔を手渡す。宿儺をその身に宿してから悠仁は呪力操作が以前よりも下手くそになってしまった
…これは、誤算だった。もともと悠仁の戦闘スタイルは呪力云々というよりもフィジカル、体術が主だった。そこに宿儺の強大な呪力を上手いこと乗せられたら呪術師としてもっと強くなれると思っていた
だが、実際は自身の扱えるようになってきていたはずの呪力を乗せた攻撃ですらポンコツになってしまった
…あれ?!え?ちょっ…先生ぇ!なんか俺、弱くなってない??!
…んー、僕も驚いてるよ。悠仁、弱くなったねぇ
…笑い事じゃねーんだけど?!
…まっ、なんとかなるっしょ!
ってことがあったのが数日前のこと。特級呪物両面宿儺の器になってしまった悠仁の秘匿死刑が決まったのも
悠仁の死刑執行には無期限の猶予をつけさせたけど、どうしたもんかねぇ
…チッ、野暮な年寄り共め
「さとる?」
すみれの声でふと飛んでた意識が戻ってくる
「すみれと恵は僕と一緒に悠仁たちの帰りを待ってること」
「俺も行きますよ。二人だけだと心配ですし」
「いいから、此処で大人しくしてなさいっ」
そういうと恵は大人しく廃墟が正面に見える位置のガードレールに寄りかかり手遊びを始める
「めぐみ、めぐみ!」
タタタっとすみれが恵に駆け寄るのを見て僕の所には来てくれないのかぁ〜とちょっと寂しくなったりした
「みて!さとるもコッチみて!オリヴァー動いたっ!」
すみれの声に視線を
「おっ、動いたねー」
六眼で呪骸を見るとうっすらとすみれの特徴である白い呪力で出来た核らしきものが見えた
…一体何を核にしたんだか。ま、核さえ呪骸の中に入ってればそれを起点にしてすみれの呪力で半永久的に動かせるな
「上出来っ!さすがだね」
すみれの頭を撫でると、んふっと笑うからホント可愛いやつだ
まだ上手に歩けないオリヴァーは酔っぱらいのようにあっちへフラフラこっちへフラフラとしていて危なっかしい
「夜蛾がくちょーのキャシィみたいに上手く歩いてくれない…」
すぐにむすぅっとしたすみれをなんとなく抱きあげた
「さとる?」
「だいじょーぶ、すみれのオリヴァーもすぐに呪力が安定して夜蛾学長のキャシィみたいに動くようになるよ」
「ホント?」
「ホント、ホント。僕、嘘はつかないから」
「すみれ頑張る」
僕の腕から降りたすみれはパタパタとオリヴァーの元に戻って再びポワポワと呪力を流し始めた。このチカラはどちらかと言えば治癒に近いんだよなぁ
「んー!」
「先生、虎杖たち戻ってきましたよ」
恵の声にすみれから廃墟へ視線を移すとギャーギャーと騒ぎながら悠仁と野薔薇が出てきた
…ホントに賑やかな子たちだこと
「前にも言ったけどコンクリを素手でブチ破るとかありえないから!!アンタはそれしか能がないのかよ!」
「今回も鉄コンじゃなかったんだって!コンクリぐらい男ならいけんだろ?!伏黒だってやればいけるって」
「…できるかよ」
「宿儺の指喰って馬鹿力に磨きがかかったんじゃない?!」
「はいはい、そこまで」
パンパンと手を叩いて悠仁と野薔薇の口喧嘩に終止符を打たせると悠仁も野薔薇もまだ言い足りないのかお互いにふんっとそっぽを向いてしまった
「ゆーじものばらもケンカしちゃヤダー!」
すみれが悠仁と野薔薇に駆け寄っていくとその後ろをヨタヨタとオリヴァーがついて歩いているのを見て悠仁が見つけて目を丸くした
「すげぇ!すみれ、オリヴァー歩いてるじゃん!」
「出来たの!」
「悠仁と野薔薇も無事呪霊を祓ったし
すみれもオリヴァー起こせたしお祝いしようか」
「ビフテキ!」
「シースー!」
「…またかよ」
「どこでもいいよ〜早く決めて〜」