五条悟を尾行せよ
ケバブに夢中になった俺とすみれは見事に伏黒とはぐれてしまった
「ゆーじ、めぐみいなくなった」
「んー、どっちかっつーと俺たちが伏黒の前から消えたんだよなー」
ひとまず伏黒にすみれとゲーセンに向かうとだけLINEを入れて近くにあったゲーセンへと向かった
すみれと一緒にプリクラを撮ったり太鼓の達人をやったりしているとお待ちかねの伏黒が息を切らしながら俺たちの所にやってきた
「おい」
「伏黒っ!いやー良かった!合流できて」
「ゲーセンだけじゃわかんねーよ。ゲーセンの名前書けよ。コンビニ並にあるってオマエ言ってたよな?そのコンビニ並の件数からオマエたちの居るゲーセン探すのどれだけ大変だと思ってんだ」
「いやーすまん!」
さすがに申し訳ないと思い俺は自販機で伏黒の分のコーラを買って手渡した。ちなみにすみれには紙パックのいちごオレをあげた
そしてゲーセンの一角にあるベンチに腰をおろして俺たちは一息ついた
「はぁー。ゲーセンってスゴいなぁ」
「満足したならそろそろ出るぞ」
伏黒のもう出るぞ発言にちゅーちゅーと隣でいちごオレを飲んでいたすみれが俺の服をグイグイと引っ張ってゲーセンの入り口を指さした
「どったの、すみれって、あ!伏黒っ、アレアレ」
「あ?なんだよって…五条先生?」
「だよな?あれ五条先生だよな?」
「さとるぅ〜」
俺たちの視線の先には全身黒ずくめでいつもの目隠しをしたままゲーセンの中に入ってくる担任の姿があった
「え?五条先生なにやってんの?」
「UFOキャッチャーっぽいな、お菓子がめっちゃ入ってるやつ」
「なんで?お菓子食べたくて1人でゲーセンきてUFOキャッチャーやる?五条先生ならお菓子ランドとか通販で爆買いしてんじゃねーの」
「いや俺に聞くなよ、知らねぇよ」
「あ、諦めた」
「早っ」
五条先生はお菓子が取れなかったことに不機嫌そうに口を尖らせるとそのままフラリとゲーセンを出ていってしまった
「どこ行くんだろ」
「は?」
「だってさ、五条先生たぶんオフじゃん?何気に俺、先生が休日とか暇な時って何してるか知らねーなって思って」
「五条先生が休みの時は普通にすみれと一緒にいるに決まってるだろ」
「さとる、お休みじゃないよ」
「え?」
「さとる、お休みの日は目隠しじゃなくてサングラスだもん。すみれと遊んでくれる時はいつもそう」
すみれに言われて五条先生が休みという確率は低くなってしまったがそれでも五条先生の行動にめちゃくちゃ興味が湧いた俺は伏黒とすみれにある提案をした
「尾行しね?」
「びこー?」
「…」
「すみれが近くにいるときの五条先生はよく見てるからわかるけどさ、すみれがいない時の先生って最近じゃレアじゃん?見てみたくね?」
「…はぁ」
なんだかんだ伏黒もやっぱり五条先生の休日(仮)が気になったんだろうな。ため息をつきながらも俺たちと一緒についてきた
見失ったかと思った五条先生は案外すぐに見つかった。その手にはクリームとティラミスにマカロン、チョコスプレーまで振ってマシマシになった子供の夢を叶えたようなクレープを持って
「すっげ…見ただけで胃もたれしそう。あれ伏黒出来る?」
「まずやろうとも思わねぇよ」
「ゆーじー、すみれもアレ食べたい」
「まじ?!ってそーいやすみれも先生に似てめっちゃ甘党だった」
ケバブを食べていちごオレも飲んでいたというのにすみれはすでにお腹をくぅと鳴らしている。明らかにこの体躯の少女が食べる領域を超えている
「すみれ、これは五条先生に気づかれちゃいけないんだ。だからクレープはまたあとでな」
「むぅ…」
頬を膨らませたすみれの手を引いて俺と伏黒とすみれは五条先生の後を追った
「あのクレープ…もしかして呪術的訓練かなにかなのかな」
「バカ言え、あんなんで強くなったら世の中の甘党術師みんな最強じゃねぇか」
五条先生の後ろを俺と伏黒とすみれでコソコソとついていくと五条先生はある店の前で立ち止まりその店の中へと入っていった
「真空管専門店」
「また随分マニアックな店に入ったな」
「てかさ、ぶっちゃけ真空管ってなに?名前は聞いたことあるけど」
「電気部品。古いラジオとかオーディオとかに使われてる」
「え、五条先生ってオーディオマニアだったの?」
「いや、あの人は音楽が聞けるならYou Tubeとかでもいいタイプだろ」
「あー、わかる」
「おい、五条先生出てきたぞ」
店から出てきた五条先生は紙袋を持っていて何かを購入したらしい
「やべ、五条先生見失う!」
急いですみれを抱き上げて俺と伏黒は五条先生が消えた人混みに飛び込んだ
「すみれ、五条先生いた?」
「んー、さとるいなーい」
「おい。あの背のやたら高い黒ずくめの人、五条先生じゃないか?」
「でかした!伏黒!」
「んむー。めぐみに負けたー」
「なんの勝負だよ」
伏黒より先に五条先生を見つけたかったのかすみれが頬をぷっくりと膨らませて足をバタバタと揺らした
「五条先生ってさ、バスケめっちゃ強そうじゃね?」
「2メートル近くあるからな。まあバスケやってる姿は想像できねぇけど」
「同感」
やっと見つけた五条先生を今度こそ見失わないようにそして先生に俺たちの尾行がバレないようにと気を使いながら追いかけていく
五条先生が次に入った店は中古のオーディオショップで俺たちは通路からこそっと顔を出す。五条先生は紙ジャケットのアナログレコードを物色しているようだった
「伏黒はああ言ってたけどさ、やっぱり五条先生ってマニアなんじゃねーの?バッハ見てるぜ?」
「あの人がクラシックに興味あるように見えるか?」
「いんや。オルタナティブロックとか聞いてそう」
「だろ?ぜってーおかしい」
そのあとも五条先生の行動を盗み見ていると五条先生は手に取った古い洋画BGM集のLP盤を買っていた
次の場所へ向かおうとすると今まで大人しくしていたすみれがグズりだした
「ゆーじー。すみれ飽きたー。もう帰るー」
「え?!良いところなのに?!」
「すみれ、さとるのところ行くー!」
「だとよ。どうするんだ、虎杖」
「えー、んー。すみれ、あとちょっとだけ!あとちょっとだけ五条先生追いかけたら合流しようぜ」
「ほんと?」
「おう!ほら五条先生あのビル入ったし俺たちも行こうぜ!」
「おい!虎杖っ!ちょっと待てっ」
「いらっしゃいませ!ご主人様っ!お嬢様っ!」
「「え…」」