ようこそ、ヒミツの特訓部屋へ

悠仁が生き返った

これは願ってもないことだった

「あー、報告修正しないとね」

「いや、このままでいい。また狙われる前に悠仁には宿儺の力をある程度扱えるようになる時間が欲しい」

「ん?」

「記録上悠仁は死んだままにしておいて」

「じゃあ虎杖がっつり匿う感じ?」

「いや交流会までには復学させるよ」

「なんで?」

「簡単な理由さ。若人から青春を取り上げるなんて許されてないんだよ。何人たりともね」

硝子に悠仁の死を書類上そのままにしておいて欲しいと頼んだ僕は悠仁とすみれを連れて高専内の地下室に連れてきた

すみれが壁にあるスイッチをパチンと付けると電球が部屋を照らした

その部屋にはテーブルとソファが1つずつ、そしてテレビが置いてあった

「うぉーー!なにここ!秘密基地じゃん」

「悠仁は死んだままになってるからねー。寮の自室には帰してあげられないからしばらくは此処で生活してもらうよ」

「ここ、すみれがさとると隠れんぼする部屋!」

「え?そーなん?」

「違うよ、すみれが傑に怒られてへそ曲げた時に逃げ込む部屋」

「へ?」

「ま、嘘だけど。ここは僕とすみれしか知らない特別な部屋なのはホント。でココからが本題ね」

「うす!」

「近接戦闘に関して悠仁が頭一つ抜けてるってのは前に言ったことがあるよね?今、悠仁がやるべきことは呪力の制御。そして呪術に関する最低限の知識だね」

僕が悠仁を顔を見るとそこにはニコニコと笑みを浮かべる悠仁がいた

「どうしたの?」

「いや、やっぱさ修行つけて貰うなら五条先生がいいと思ってたから嬉しくって。俺は伏黒よりちょっと体術が上手いだけで結局は弱かった。それどころか伏黒を殺しかけた」

悠仁は俯いて手をぎゅっと握るとふっと力を抜いて顔をあげた

「強くなりたい。俺に最強を教えてくれ」

「フッフッお目が高いね〜悠仁」

「先生、自分で最強って言ってたじゃん」

「さとるは最強!すぐるも最強!2人は最強!」

すみれが冷蔵庫から缶ジュースを2本取り出して壁際のテーブルにコトンコトンと置いた

「プリキュア?」

「悠仁、プリキュア知ってるの?まぁいいや。では、まずあちらの缶ジュースをご覧ください」

僕は悠仁の視線を誘導すると右の缶ジュースに呪力をぶつけ左の缶ジュースには術式を発動して缶ジュースを捻り潰した

パンっと弾かれた缶とベキベキと音を立てて潰れた缶に悠仁が驚きの声を上げる

「おおっ!」

「あ!すみれのジュース!!さとるとゆーじにあげようと思ったのにぃ〜」

「また買ってあげるから」

ぶすっと頬を膨らませたすみれの頭を撫でる

「右の缶が呪力、左の缶が術式を使ったんだよ」

「うーん?なる…ほど?わからん」

「そうだね〜。呪力は電気、術式は家電にしようか。電気だけだとちょっと使い勝手が悪いでしょ?だから家電に電気を流して様々な効果を得る。呪力をぶつけただけの缶と呪力を術式に流して発動させた呪術で捻ったもの。ワカッタ?」

僕が説明すると考えこんだ悠仁はピコンと閃いたようだ

「つまり!これからチョベリグな術式を身につけると!」

うーん、悠仁…その答えは残念

「いや、悠仁は呪術使えないよ。簡単な式神とか結界術は別として基本的に術式は生まれながら体に刻まれてるものなんだよね。だから呪術師の実力は才能がほぼ8割って言われてる」

「じゃあ、すみれは?」

「すみれ?すみれはもともと人間じゃないしこっちで生まれたワケじゃないから術式は持っていなかったよ。でも言ったでしょ。生まれながらに刻まれてるってことは生まれたときに刻まれてなければ後天的に手に入ることもたまにある」

…すみれに関しては僕の六眼でもわからないことが多い。おそらく何かしら拒絶のチカラを持っていると思っているけどどうかな

コチラ側に戻って来たとき、すみれは言っていた

僕と傑はバイバイした

でもホントはさとるもすぐるも離れたくなかった。だって二人で最強だから。片方が欠けちゃダメなんだよ。だからすみれはヤダって言った…と

「じゃあ俺って才能なしってこと?!」

ガーンっという効果音と共に床に仰向けに倒れた悠仁は燃え尽き症候群のように真っ白になっていた

そんな悠仁をツンツンと突っついてるすみれ

「ゆーじ?大丈夫?」

「俺もサンダーとかファイヤーとかパワーボムとかできると思ってたから」

…今は使えないんだ。そのうち悠仁の体には宿儺の術式が刻まれる。キミは後天的に術式を手にするタイプなんだよ。教えてあげないけどね

「できないことはガン無視してこ!君の長所をさらに伸ばす!悠仁の体術に呪力を上乗せする。今までもやったことあるけど宿儺を取り込んだことで君の呪力は以前にも増して増えた。下手な呪術よりこういう基礎でゴリ押しされた方が僕は怖い」

僕がそういうと悠仁はキランと目を輝かせてガバッと体を起こした

その勢いに驚いたすみれが尻もちをついていた

「ん?あ!それなら俺もうできるぜ!あの時なんとなくコツは掴んだんだ」

「そう、じゃあやってごらん。できないから。僕のココに」

僕はそういって悠仁に自分の手のひらを見せて指示を出した

「先生、ケガしても知んないよ」

「いいから、はよはよ」

自信満々の悠仁は肩を回して勢いよく僕の手のひらに拳を打ち付けた

パンという軽い音

僕はそのまま悠仁の拳を自身の手のひらで包み込んだ

「篭ってなかったねー呪力」

「なんで?!」

「呪力の源は負の感情だよ。悠仁の言うあの時は怒りや恐怖に満ち溢れていたんだろうね」

「あ!呪力を使うときは常にブチ切れてなきゃいけないってこと?!確かに伏黒のやついっつもキレ気味だった!」

「チガウヨ」

トンチンカンなこと言い始めた悠仁に僕はさらに言葉を続けた

「みんな僅かな感情の火種から呪力を捻出する訓練をしてるんだ。感情が大きく振れたとき呪力の無駄遣いをしないようにね。まあ訓練方法はいくつかあるんだけど、悠仁にはかなりしんどいのやって貰おう」

「え?ど、どんなやつ」

僕の言葉にビビりまくってる悠仁に見えるようにblu-rayを広げる

「映画鑑賞!」

「映画…鑑賞?」

「そ、名作からC級ホラー。地雷のフランス映画まで、起きてる間はぶっ通しでね。もちろんただ見るだけじゃあないよ。コイツと一緒に見るんだ」

僕は持っていた学長の呪骸を悠仁に手渡した

学長の呪骸、ツカモトはスピースピーと鼻ちょうちんを作って眠っている

「何?このキモカワイイ人形。すみれのオリヴァーと似てんね」

「カワイイか?ちなみにそれも夜蛾学長の呪骸だよ」

「あー!やっぱり?趣味が同じ!ってそういやすみれのオリヴァーはどこいったん?」

「オリヴァーは治療中なのー。腕千切れちゃったから」

「マジか」

「まじー」

「…で?全然要領を得ないんだけど?俺、何すればいいの?」

「焦らない焦らない、そろそろだよ」

五条の言葉に不思議に思った瞬間、虎杖が抱えていた呪骸がカッと目を開き虎杖に渾身のアッパーを食らわした

「いっでぇえええええ!」

「その呪骸は一定の呪力を流し続けないと目を覚まして今みたいに襲ってくるよ」

「先に言ってよ、先生」

「それじゃつまんないでしょ。さっきも言った通りここにはいろんな映画が揃ってる。ドキドキハラハラ、ワックワク、泣けて笑えて胸くそ悪くなれる。まずはその呪骸を起こさずに映画を一本無傷で観通すこと。これがどんな感情下でも一定の呪力出力を保つ訓練、多すぎても少なすぎてもダメ」

そういうと五条は呪骸を拾い上げて虎杖に渡す

虎杖は五条から受け取った呪骸に呪力を流すも少し足りなかったのか虎杖の中でバタバタと暴れだした呪骸に少しだけ呪力の出力を強めるとスピーと鼻ちょうちんを作った

その様子にホッと息をついたが気が緩み呪骸に注がれていた呪力が乱れる

目ざとく呪骸は察知し鼻ちょうちんがパチンと割れると虎杖はビクリと反応をした

「今は悠仁でも出せる程度の微弱な呪力に設定してあるけど徐々に大きな出力が必要になってくるから常に気を抜かないように!」

「これじゃあ抜きたくても抜けねーよ」

再び眠りについた呪骸に虎杖はふぅ…と息を漏らした

「じゃ悠仁、何から観る?これなんてオススメだよ。ヒロインがムカつくんだけど最後派手に死ぬの」

「すんげぇネタバレ」

「さとるー。すみれ、ととろみたい!ととろ!」

「トトロ〜?あったかなー。でも観るのは悠仁だから悠仁に聞いてごらん」

「ゆーじー、ととろみるー?」

虎杖を見上げるすみれに悠仁はデレっとした

「最初はアクショ…」

そのスキを呪骸は決して見逃さない

ツカモトは虎杖の顔面に華麗な裏拳をキメた

「もーーーー!もぉーーーー!」

床に叩きつけられたツカモトはバインバインと弾んだあとスチャッと体操選手のように着地を決めた

「はい、イライラしても呪力は一定だよ、悠仁」

ようこそ、ヒミツの特訓部屋へ
「さて僕は用事あるから悠仁ガンバッテ」
「さとる、すみれは?」
「すみれはお留守番」
「むぅ…」
「悠仁と映画観ててもいいし、
恵たちの所に行ってもいいよ
ただし!悠仁が生きてることは内緒ね?
あと最初は悠仁、殴られまくるだろうから
お出かけが僕はオススメかな」
「すみれ〜伏黒たちの様子見てきてよ。
俺頑張るからさ」
「うん」

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