先輩ズとエンカウント
伏黒と釘崎は特に会話をすることもなく二人肩を並べて歩いていた
伏黒はいつ虎杖が死んだという事実を釘崎に伝えるべきかタイミングを見計らっていた
一方、釘崎も自分が手当を受けて高専に戻ってきたあと伏黒がいて虎杖がいないという現実にどこかで虎杖になにかあったというのを感じていた
「めぐみー、のばらー」
「すみれ!どこ行ってたの!心配したでしょーが」
駆け寄ってきたすみれを抱きとめる
「すみれ、五条先生は?」
「さとる、用事あるって出ていった」
「そうか」
「…で、伏黒。アンタなんか言うことあんでしょ」
伏黒は釘崎の言葉に迷う。いずれ分かることだがそれでも今伝えていいものなのか…悩んだ末、伏黒は釘崎に伝えることにした
「…虎杖が死んだ」
やっぱりな…釘崎は自分の感が当たっていたことに特に驚きはしなかった
「長生きしろよって…自分が死んでたら世話ないわよ。…アンタ仲間が死ぬの初めて?」
「同級生は初めてだ」
「ふーん、その割に平気そうね」
「…オマエもな」
「当然でしょ。あって1か月も経ってないのよ?そんな男が死んで泣き喚くほどチョロい女じゃないのよ…」
伏黒は横目で釘崎の顔を見た
唇を噛み締めて明らかに我慢している様子をみて思う。嘘つくのが下手だなと
「すみれは泣かないのね。虎杖と前から知り合いだったじゃない」
「???ゆーじ?ゆーじは死…むぐっ」
すみれは虎杖が死んでないことを知っている。ヒミツの特訓部屋で映画を観てることも
五条に内緒だと口を酸っぱくして言われていたのに生きているよ?と口を滑らそうとしたすみれの顔をどこからともなくやってきたオリヴァーが飛びついてなんとか防いだ
顔面に貼り付いたオリヴァーのせいで息ができずにバタバタと手足をバタつかせたすみれに慌てて伏黒がオリヴァーを剥がした
「ぷはぁ!」
オリヴァーは伏黒に摘まれたまま首をブンブンと振って短い腕をクロスさせていた
「あ…」
そこですみれはやっと五条に言われていた事を思い出した
…すみれ。悠仁が生きていることは僕と傑、硝子、伊地知の4人だけの秘密だよ。わかった?
…めぐみとのばらは?
…恵と野薔薇にも内緒にしておいて
…でもめぐみものばらもゆーじのオトモダチ
…ちゃんと悠仁が強くなったらまたみんなで一緒にいられるから少しの我慢だよ。できる?
…でき、る
…恵と野薔薇の前では悠仁に会えなくて悲しいって顔をするんだよ
…わかった
すみれはどうやって伏黒と釘崎の話を逸らすか考えた。泣く?でもゆーじは生きてる…。そして思いついた。この話をしたらすぐるがめちゃくちゃ食い付いたこと
「あのね、のばら。ゆーじ、すみれのことハツコイって言ってたよ!」
「えーーー?!」
「そういえば言ってたな。虎杖のやつ」
「なにその面白い話!詳しく聞かせなさいよ!」
「いや、でも虎杖の沽券に関わるっていうか…仮にも故人のプライベートを俺が勝手に喋っていいのかっていうか…」
「はぁ…めんどくさい男ね!」
釘崎が伏黒の言葉に大きなため息を着いたとき伏黒、釘崎、すみれたちの前に一人の女子生徒が現れた
「なんだ、元気そうじゃないか。恵。やっぱりあの噂はデマかよ」
「禪院先輩」
「私を苗字で呼ぶんじゃ…」
「真希、真希!」
「あ?」
女子生徒は自身の名前を呼ばれて振り返ると木の影からパンダと一人の男子生徒が顔を出していた
そしてパンダは女子生徒が言い放ったデマだったのかよという言葉を否定した
「マジで死んでるですよ、昨日!一年坊が一人!正道が言ってた。冗談抜き!」
「しゃけ」
「は や く い え や!
これじゃ私が血も涙もないやつみたいだろ!っていうか恵だって元気そうじゃねーか!」
「実際そんな感じだぞ?!そりゃ、空元気ってやつだろ」
「ツナマヨー」
自分たちの目の前でギャーギャーと口論を始める同じ制服を来た生徒たちに引き気味の釘崎は名前を呼ばれて知り合いであろう伏黒に説明を求めた
「…何?あの人たち」
「二年の先輩」
最初に話しかけてきた女子生徒は禪院真希
呪具の扱いなら学生一
おにぎりの具で喋る男子生徒は狗巻棘
呪言師
見たまんま
パンダ
「…………」
「あと一人、乙骨先輩って唯一手放しで尊敬出来る人がいるけど確か今は海外」
「アンタ、パンダをパンダで済ませるつもりか」
「実際、パンダだし」
「パンダ!!!」
すみれがパンダを指差して弾丸のように飛びついた
「お、元気な嬢ちゃんだな。パンダさんだぞ〜」
すみれが飛びついてもビクともしないパンダはそのまますみれを肩車すると両手を合わせた
「いやー、スマンな。喪中に。だがお前たちに京都姉妹校交流会に出て欲しくてな」
パンダの言葉に釘崎の頭にハテナが飛ぶ
「京都姉妹校交流会ぃ?」
「京都にあるもう1校の高専との交流会だ。でも2、3年メインのイベントですよね?なんで俺たちが?」
「その3年のボンクラが停学中なんだよ。人数が足んねえからオマエら出ろ」
「交流会ってなにすんのよ。スマブラ?wii版なら負けないわよ」
「今どきwii版やってるやつ居ないだろ。時代はSwitchだ。で、交流会だが東京校、京都校それぞれの学長が提案した勝負方法を1日ずつ2日間かけてやる。つってもそれは建前で1日目は団体戦、2日目は個人戦って相場が決まっている」
「団体戦、個人戦って…戦うの?!呪術師同士で??」
パンダの説明に釘崎が驚きの声を上げると真希はニヤリと口角を上げてそれを肯定した
「ああ、殺す以外なら何してもいい呪術合戦だ」
「だから殺されないようにミッチリしごいてやるぞ」
ムキッと力こぶを作ったパンダに肩車をされていたすみれはスルスルと器用に降りてきてその腕にぶら下がっていた
「おお〜!」
「っていうかそんな暇あんの?人手不足なんでしょ?呪術師って。ウチの担任ほとんど居ないわよ 」
「今はな。冬の終わりから春までの人間の陰気が初夏にドカッと呪いになって現れる。つまり繁忙期ってやつ」
「年中忙しいって時もあるがボチボチ落ち着いてくると思うぜ」
「へぇー」
「で?やるだろ。仲間が死んだんだもんな」
真希の言葉に伏黒と釘崎は顔を見合わせて1つ頷くと2年の先輩たちを見た
「「やる」」
-私は-
-俺は-
-強くなる、そのためだったらなんだって-
伏黒と釘崎の脳裏に過るのは虎杖の後ろ姿だった
「でもしごきも交流会も意味ないと思ったら即やめるから」
「同じく」
「ハッ」
「まあこんぐらい生意気な方がやり甲斐あるわな」
「おかか」
「めぐみ、すみれもこーりゅーかい出られる?」
いつの間にかパンダの側から伏黒と釘崎のもとに戻ってきたすみれに問われ伏黒は2年の先輩たちを見た
「すみれは…どうなんですか?禪院先輩」
「どうって…そもそも誰だ?見ねえ顔だな」
「すみれ」
「いや、名前じゃなくてよ」
「そもそもすみれって1年生なの?」
「ガーン」
「まあ俺たちと勉強してるし1年生かもしれないけどそもそもすみれは呪術師じゃなかった気がする」
「じゃダメね」
「えーーーー!なんでー!」
伏黒のズボンをグイグイと引っ張って抗議をするすみれに伏黒は困り果ててどうしたもんかと考える
「五条先生に聞いてみたらどうだ?」
「さとる?」
ひねり出した答えは丸投げだった
「五条先生がいいって言ったらいいんじゃないか?」
「わかった!すみれ聞いてくる!すみれもめぐみとのばらとこーりゅーかいでる!いこ、オリヴァー!」
ぴゅーっと風のように高専の校舎へ走っていくすみれに釘崎は伏黒の脚を蹴飛ばした
「ちょっと…アンタ何適当な事言ってんのよ」
「じゃあ釘崎、あの期待に満ちた眼差しで見られてNOって言えるか?」
「…無理ね」
「だろ」
「おい、だからさっきの子どもは何だって聞いてんだよ」
真希がイライラとしながら再度伏黒と釘崎に問うと二人は声を揃えて言い放った
「「五条先生の子どもよ/です」」
「はあ?!アイツの子ども?!」
…めんどくさい時はこれで済ますことを覚えた伏黒と釘崎だった
「さとるー!すみれもこーりゅーかいって…いない」
「おや?すみれどうしたんだい?
悟ならまだ帰ってきてないよ」
「すぐる、あのねすみれもこーりゅーかい出たい」
「交流会か、懐かしいね
でもすみれは交流会には出られないよ」
「なんで?」
「すみれは呪術師ではないからさ」
「じゃあすみれが呪術師になったら出られる?」
「うーん、ダメ…だと思うよ」
「すぐるのバカ!すみれも出るの!」
「バカとは…すみれヒドいな。私も傷つくよ」
「あれ、なんですみれ怒ってるの」
「さとるっ!」