こーりゅーかい参加決定

数時間前、悟が生き返った虎杖くんとすみれを連れて何処かへ行った。虎杖くんは書類上死んだままになっているし高専内にの寮に戻すことは出来ないから悟の秘密部屋で匿うんだろうけど…

「さて、どうしたものか…」

「さとる!すみれもこーりゅーかい出たい!…ってさとるいない」

教員室にすみれが勢いよくガラガラと扉を開けて入ってきた

「おや?すみれ、どうしたんだい?そんなに慌てて。悟ならまだこっちには帰ってきてないよ」

どうやらすみれは悟を探してこの部屋にやってきたらしいが残念なことに悟は戻ってきてはいなかった

「すぐる、あのねすみれもこーりゅーかい出たい」

「交流会か、懐かしいね。もうそんな時期なのか。でもすみれは交流会には出られないよ」

「なんで?」

「すみれは呪術師ではないからさ」

すみれは正式な呪術師ではない。呪術師として登録されればすみれにもいずれ任務が割り振られるようになるだろう

だが任務が割り振られるということはその分、私や悟の目の届かない所に行く機会が増えるということだ。今回の虎杖くんのことでもわかったように上層部は気に入らないことがあれば任務を通して手を出してくる

「じゃあすみれが呪術師になったら出られる?」

「うーん、ダメ…だと思うよ」

座ってる私のもとに近づいてきたのでその小さな身体を抱き上げて太ももの上に横向きで座らせる

「すぐるのバカ!すみれも出るの!」

「バカとは…すみれヒドいな。私も傷つくよ」

プンプンと怒っていますという吹き出しがすみれの頭の上に見えた気がした。あれだよどーぶつの森みたいな…

「あれ、なんですみれ怒ってるの」

「さとるっ!」

次に教員室に入ってきたのはすみれが今か今かと帰りを待ち望んでいた悟だった

「なになに?すみれってば。ちょっと離れただけなのに寂しくなっちゃったの?僕のこと大好きだね〜」

悟が私の方にやってくるとすみれは私の上から悟の顔を見上げた

「あのね、さとる」

「なに?」

「すみれ、こーりゅーかい出たい」

「ダメ」

「なんで?!」

「だってすみれは術師じゃないでしょ」

やはり悟もすみれを交流会に出すつもりはなさそうだね。京都校は保守派筆頭の楽巌寺学長が率いる学校だ

すみれはただでさえ悟に容姿が異常なほど似ている。それに加えて特異な呪力を見てなにもしてこないという方があり得ない

「すみれも!こーりゅーかい出るの!」

「ダァメ」

「すみれも術使えるもん〜」

私の足の上からぴょんと降りたすみれは見覚えのある印をその小さな手で組んだ

-やみよりいでてやみよりくろくそのけがれをみそぎはらえ-

すみれが放った言葉は普段私たちが使っている帳を下ろす詠唱だった

しかし私たちが見たのは帳は帳でもその本質が明らかに異なる帳だった

「これがすみれが言っていた白い帳か…」

「なに、これ」

すみれが下ろした帳はすみれ自身を覆っている

興味本位で悟がその帳に触れるとバチッと悟の手を弾いた

悟も悟で目元を覆っている布を乱暴に外して帳を見ていた

「ぅー。さとるもすぐるもすみれキライぃ〜」

私も同じようにすみれに触れようと手を伸ばしてみるも悟と同じようにバチッと弾かれてしまった

「困ったな…どうしようか?悟」

「すみれが僕を嫌う?いやあり得ないでしょ」

「まったく、何二人してすみれのこと虐めてんの」

「硝子」

「しょーこ」

教員室に入ってきた硝子はすみれに近づくとすみれを抱き上げた

「なんで硝子は弾かれないの」

「それは私がすみれに嫌われてないからに決まってるでしょ。アンタらと違って」

「う…」

「で?すみれはなんで怒ってるの?」

「さとるもすぐるもこーりゅーかい出ちゃっダメって言うの」

「あー、そのことか。すみれは学生じゃないからな」

「しょーこもこーりゅーかいダメって言うの?」

うるうると目元を潤ませるすみれに硝子は慣れた手つきですみれの頬をムニムニと揉む

「交流会自体には出られないけどすみれ私の手伝いをしないか?」

「しょーこのお手伝い?」

「私も忙しくてね、すみれが手伝ってくれたら嬉しいなー」

「する!すみれ、しょーこのお手伝いするっ」

言葉巧みにすみれをその気にさせる硝子に私も悟も口をあんぐりと開けて呆けた

「すみれ、何すればいい?」

「そうだな、怪我をした生徒の手当てが私の仕事なんだが…すみれは出来ないし」

「できる!」

「え?」

自身を反転術式で治せる術師は何人か居るのは知っているが硝子のように他人を治すことの出来る術師は多くない。だからこそ硝子は前線には出ずに重宝されているのだ

「え?すみれ反転術式使えるようになったの?いつのまに?僕、初耳なんだけど?マジで?」

「んむーーーーーー」

私たちの前で力み始めたすみれの様子を見守っていたがすぐに力尽きてぽすんと尻もちをついた

「ビックリした…あれで出来ちゃったら上層部に隠す言い訳考えないといけないとこだった」

「ははは」

「む?」

「すみれ、力んだって出来ないよ。反転術式で怪我を治すコツはひゅーんひょいだ」

尻もちをついて首を傾げるすみれに硝子は屈むと人差し指を立ててひょいと指を振ってみせた

「出たよ、硝子の感覚論」

「あれで理解できたら悟も反転術式の治癒のコツ、すぐに掴めたのにね」

「うっせ…すみれには治癒の力はあると思ってるんだよね。ただ上手く使いこなせてないだけで素質はあると思ってる」

「あのアメのことだろ?」

「そ、あのアメは内傷っぽいけど外傷を治す力があるかはもう少し見てみないとわかんないな」

目元のマスクを戻して悟は腕を組んだ

こーりゅーかい参加決定
「じゃあすみれは私の助手だ」
「しょーこの助手!がんばる!」
「頼りにしるよ。すみれ」
「ねぇ、すみれ。まだ僕のことキライ?」
「さとるのこと?すきぃー」
「抜け目ないな」
「すぐるもすきぃー」
「はは、私もだよ。すみれ」

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