新人アイドルすみれちゃん

五条と七海の任務にオマケでくっついて行ったすみれは今、高専の秘密部屋に続く扉の前にいた。北海道でたんまり買った虎杖へのお土産を持って

五条がすみれを抱き上げて、部屋の地下へと続く階段をその長い脚でトントントンと降りていくと雰囲気を出すためなのか室内を暗くして映画観賞に没入している虎杖がいた

テーブルの上には映画のお供の定番、ポテチとコーラ。呪いの王、虎杖の身体に住まう宿儺がその味に飽きてすみれの呪骸を乗っ取りに来た原因である

「悠仁ぃ〜」

「……」

「?」

「うんうん、ちゃんと集中してるね。僕が話かけても微動だにしないか」

五条が話かけてもピクリとも動かずにジッとテレビの画面を見つめ続ける虎杖に五条は抱き上げていたすみれを下ろすと虎杖の両肩に手を置いた

「っ!?」

ビクッと身体を揺らした虎杖はバッと振り返った

「なーんだ、先生とすみれかぁ〜。ビビらせんでよ〜」

「ビビってもツカモトに殴られなくなってるじゃん。優秀、優秀。さすが僕の生徒だね」

「で?先生、なんか用?」

「地下室に引きこもり生活の悠仁に北海道りょこ…任務のお土産〜」

「りょ?え?先生、今、旅行って言った??!」

「イッテナイヨ」

「さとるとななみんとね、すみれの3人で行ったんだよ。ほっかいどー」

小さな手で人差し指、中指、薬指の3本立ててすみれは言った

「えー、いいなぁ…北海道。てかななみん?誰?」

「僕の後輩、そのうち会わせてあげるよ」

「ななみんね、すっごくカッコイイんだよ!すみれ、ななみん好きっ」

「マジ?先生とどっちがカッコイイ?」

「んとね…」

虎杖が聞くとすみれチラチラと五条に視線をやった。もちろん五条はもちろん僕だよね!という顔をしていたけれどすみれは虎杖に近づくと五条ではない方の名前を言った

「…ななみん」

「マジかーー!」

「ゆーじ、さとるにはシーだよ」

「任せて。俺、口は堅いよ」

ニッと笑った虎杖にすみれも口角を上げたのだがそんな虎杖の横っ面を突如としてツカモトがぶん殴った

「いってぇーーーー!なにすんの!」

「あーあ、悠仁ってばダメだねぇ」

「なんで?!」

「ゆーじ、痛い?」

「これくらいヘーキヘーキ、すみれってば心配してくれんの?サンキュ」

ツカモトに殴られた頬を擦りながら、虎杖は顔を歪めて自身を見上げるすみれの頭を撫でた

「そうだ、悠仁」

「なに?先生」

「ちょっと確認なんだけどさ、死んでる時に宿儺と何か話したかい?」

「話?」

「心臓を治すにあたって条件とか契約とか持ちかけられなかったかってこと」

「あー、なんか話した気はするんだけど思い出せないんだよなぁ…」

「…そう。じゃあ、僕用事あるから。行くね」

虎杖とすみれは階段を登って出ていく五条を見送った

「先生、どうしたんかな」

「さとる?」

「ハッ、小僧。本当に覚えてないか。良い良い」

「え?宿儺??」

宿儺の声が虎杖の耳に届くもそれはいつものように自身の頬から聞こえるものではなく、随分と下から聞こえてくる

虎杖が視線を落とすとツカモトを締め上げているオリヴァーの姿があった

床をタンタンと叩いて降参の意思を示しているツカモト(熊)とギリギリと締め上げているオリヴァー(兎)に虎杖は目を丸くした

「すくなの勝ちっ!」

「え?ちょっと、なにしてんの?!」

「暇だったのでな。この呪骸の身体でどれだけ動けるのか試していたのだ」

短い腕を曲げてムキッとボディビルダーのようにポーズを取る宿儺が乗っ取ったオリヴァーに今度はツカモトが飛びかかる

「ちょちょちょっと待てって!」

オリヴァーに飛びかかったツカモトを虎杖は引き離すとツカモトに呪力を込めるとツカモトはゆっくりと瞬きをしてスピーと鼻ちょうちんを作って眠った

「ふぅ…」

「ハッ、つまらんやつめ」

「いやいや、宿儺と喧嘩するために借りてる呪骸じゃないからね!?」

「ゆーじー!ととろ見よ〜ととろ!すみれ、ととろ見る〜」

先程までオリヴァーとツカモトのじゃれ合いを煽っていたすみれはすでにテレビの前に移動していてテーブルに広げられているblu-rayをガサガサと漁っていた

「んもー。はいはい、準備すっからちょっと待って」

虎杖がデッキからblu-rayを取り出してすみれが希望したトトロをセットしようとする傍らですみれはリモコンのボタンをピコピコと押していた

パッと画面が変わると一人の女性が画面いっぱいに映った

「????」

「いきますよー♡たんたかたーん☆」

「????」

「たんたた??かん???」

「たんたかたんじゃね?」

「んむぅ。ゆーじ、この人だぁれ?」

「さぁ?アイドルかなんかじゃね?」

「ほぉ…かわいー」

画面に映ったのは高身長アイドルの高田延子、通称高田ちゃんと呼ばれている女性だった

「ゆーじ!ゆーじ!すみれもコレやる!」

「え?トトロは?」

「ととろはあとにするー」

「もー、じゃあコッチ座って」

「はーい」

虎杖はすみれを手招きしてソファに座らせるとすみれの後ろに立ってすみれの白銀の髪に触れる

サラサラとしたすみれの髪を2つに分けて虎杖はツインテールを作り上げた

「すみれ、痛くない?」

「だいじょーぶ」

「うん、オッケー」

「ありがと、ゆーじ」

ぴょこぴょこと動くすみれのツインテールは垂れたうさぎの耳のように見えた

「えへ、ゆーじ、ゆーじ。すみれかわい?」

「めっちゃかわいいよ」

「のばらとめぐみに見せにいくっ」

「俺がやったってナイショだかんね」

「ん!」

新人アイドルすみれちゃん
「たんたたかーん☆」
「すみれ、めっちゃかわいい…五条先生に送ろ」
「さとる?」
「そ、すみれコッチ向いてたかたんビームしてみて」
「たんたたかーん☆」
「うおっ、電話かかってきた」

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