退屈なヤツは嫌いだ

「なんで初対面のアンタと女の趣味を話さないといけないんですか」

「そうよ、ムッツリにはハードル高いわよ」

「オマエは黙ってろ。たたでさえ意味分かんねー状況が余計にややこしくなる」

「京都校3年、東堂葵。自己紹介終わり。これでお友達だな、早く答えろ。男でもいいぞ」

「のばら、めぐみ…」

東堂の気配に圧されたすみれが伏黒の後ろからひょこっと顔を出す

「性癖にはソイツの全てが反映される。女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん。俺はつまらん男が大嫌いだ。交流会は血湧き肉躍る俺の魂の独擅場。最後の交流会で退屈なんてさせられたら何しでかすか分からんからな。俺なりの優しさだ、今なら半殺しで済む。答えろ、伏黒恵。どんな女がタイプだ」

「(釘崎は丸腰だし、今はすみれもいる。揉め事は避けたい)」

「アレ夏服かなー、ムカつくけどいいなぁー」

「なつふく?」

「そういえば、すみれもいつもと違う服よね。どうしたの」

「さとるが今日は暑いからコレ着なさいって」

伏黒は後ろで話している釘崎とすみれを見ながらこの状況を乗り切る方法を考えていた

-人を許せないのは悪いことじゃないよ、それも恵の優しさでしょ-

そんな伏黒の脳裏には姉、津美紀の言葉が流れた

「…別に、好みとかありませんよ。その人に揺るがない人間性があればそれ以上は求めません」

「悪くない答えね。巨乳好きとかぬかしたら私が殺してたわ」

「…♡」

「うるせぇ」

はっきりと答えた伏黒に釘崎と真依が感心した姿を見てこの場を乗り切れると伏黒は思ったがただ一人、この男だけは違った

「やっぱりだ。退屈だよ、伏黒」

東堂の目から涙が流れた瞬間、何かを感じ取った伏黒は咄嗟に後ろにいたすみれを釘崎に押し付けた

「め、、」

伏黒との距離を一気に詰めた東堂はそのまま左腕を振り抜いた

両腕でガードはしたものの東堂の力に負けた伏黒はそのままふっ飛ばされた

「伏黒!!」

「あーあ、伏黒くん、かわいそっ」

駆け寄ろうとした釘崎を羽交い締めにした真依は言葉を続けた

「2級術師として入学した天才も1級の東堂先輩相手じゃただの1年生だもん。あとで慰めてあげよーっと」

「似てるって思ったけど全然だわ。真希さんの方が100倍美人。寝不足か?毛穴開いてんぞ」

「口の利き方…教えてあげる」

釘崎の挑発にのった真依は手にしたリボルバーを釘崎の脇腹に押し付けた時も真依の制服をグッとすみれが引っ張った

「のばら、いじめちゃだめ!!のばらからはなれて!!おばさん!」

「おばっ、なんですって?!わたしは今年17よ!!」

「すみれ!私は大丈夫だから、真希さんたち呼んできて!」

「でも」

「いいから!早く!」

釘崎に言われたすみれは引っ張っていた真依の制服から手をを離すと弾かれるように校庭へと走り出した

「全くなんなのよ!人をおばさん呼ばわりして!ま、いいわ。呪術師を続けるなら喧嘩を売る相手を選ぶってこと教えてあげるわ。1年」

---------------------

「ぱんだ、まき、とげ、、、どこ?」

すみれは2年の先輩たちを探して走っていた。こういう時に限って探し人たちはなかなか見つからないのだ

走ること数分、やっとパンダの後ろ姿を視界に捉えたすみれはその体躯に抱きついた

「うぉっ」

「ぱんだぁ」

「どした、どした?すみれ。そんなにボロボロ泣いて。パンダさんと離れたのが寂しかったのか?」

「は?そんなわけないだろ。1年で飲み物買いに行っただけだろうが」

真希は持っていた長物でパンダのアタマを殴った

「痛っ、もー動物虐待反対」

「めぐみ、、が、のばら、、が」

泣きながら話すすみれの話はなかなか要領を得ない。見かねたすみれの呪骸であるオリヴァーが口を開いた

「おい、このままだと伏黒恵が死ぬぞ」

「?!」

突然喋りだした呪骸に真希と棘は目を見開くも同じ呪骸であるパンダは大して驚きもしていなかった

「なぁんだ、やっぱりオマエさん喋れるやつか」

「おい、今なんて言った?」

「伏黒恵が死ぬぞと言ったのだ」

「どういうことだ」

「オンナ、貴様の血縁だろう。ソイツともう一人が伏黒恵とカナヅチ娘にちょっかいを出しているのだ」

「…クッソ。真依か」

「どうする、真希?」

パンダに問われた真希はアタマをガシガシとかくとパンダと棘に指示を出した

「私は野薔薇の所へ行く。パンダと棘は恵の方だ」

「おぅ」

「しゃけ」

「すみれは…」

真希は未だにグズグズと泣いているすみれをどうしようかと考えているとオリヴァーがシッシと真希たちを追い払う仕草をした

「手遅れになる前に行け。小娘は俺がなんとかしよう」

オリヴァーの言葉に真希たちは直様駆け出した

「泣くな、すみれ。伏黒恵は大丈夫だ」

「でも、でも」

「伏黒恵とカナヅチ娘はアイツらに任せて俺たちも行くぞ」

そういうとオリヴァーはピョンっとジャンプしてすみれの腕の中に収まった

「小娘、鼻水はつけるなよ」

「つけない〜」

退屈なヤツは嫌いだ
「さとる〜」
「あらら、すみれ。目、真っ赤じゃん」
「めぐみがケガした」
「硝子が居るから大丈夫だよ。それより!」
「?」
「たかたんビーム☆僕にもやって!」
「???」
「悠仁にもやったでしょ!はやく!」

|

小説Top|Top