夕食は3人で
隣の萩原宅から戻ってきた俺は腕に抱いたあおいを洗面所に連れていき一緒に手を洗う。
「ちゃんと洗ったか?」
「うん、あわあわでピカピカにしたよ」
ニコニコと笑い両方の手のひらを俺に見せるあおいを再び抱き上げると俺たちの後ろに控えていた萩原と場所を交代する。こいつは勝手に手を洗い終えればリビングにやってくるだろうと洗面所に萩原を一人置き去りにしてすみれをリビングのソファに下した。
キッチンに戻るとせっかくのオムライスが案の定冷めていた。俺たち大人はまあ若干飯が冷たくても構わないがあおいには温かい飯を食わせてやりたい。
もったいないがオムライスから玉子を菜箸で剥ぎ取り1枚を口に放り込む。残り2枚はとりあえず別皿に乗せておく。そして3人分のチキンライスをフライパンに戻して炒めなおす。そしてリビングに顔出した萩原に文句をつけた。
「ったく、てめぇがいつまでもグズグズしてっから冷めちまったじゃねーか」
「悪かったって。謝るから。ところでさ、なんかつまみとかないのー?」
悪びれもなく言い、我が物顔で冷蔵庫を漁り始めた萩原の尻を蹴り飛ばす。
「いてっ!もー!痛い!」
「知るか、バーカ」
「陣平ちゃんはお口が悪うございますね〜」
「萩原ぁ…お望みならその口すぐにでも聞けなくしてやるからな」
「…」
ビクリと肩を揺らした萩原は下手くそな口笛を吹きながら俺が剥がした玉子を摘まみ上げて口に放り込むとそのままあおいの座るソファへ向かおうとするので待ったをかけた。
「手ぶらでどこ行く気だ。運べ」
「へーい」
オムライスが盛り付けられている皿を両手に持ち萩原がリビングに向かう。俺はあおいの分の皿と飲み物が入ったプラコップを持つと萩原の後を追いかけた。
リビングに行けばすでに萩原があおいをソファから下して子供用の椅子に座らせていた。
あおいの目の前に湯気が見えるオムライスの乗った皿を置けばキラキラとした目であおいが俺を見上げる。
「パパ!食べてもいい?」
右手に子供用のスプーンを握りしめたすみれに問われて俺はOKをだした。
「いただきまーす」
スプーンに乗せたオムライスを小さな口いっぱいに頬張る娘に頬が緩む。その顔を萩原に見られていたらしい。スプーンを行儀悪く咥えてニヤニヤと俺に視線をぶつけてくる萩原の頭に俺は拳骨を落とした。
「もー!なんなの?今日のお前、いつにもまして乱暴じゃん」
ギャーギャー喚く萩原をを無視して俺はあおいの隣に腰をおろす。
「うまいか?」
「うん!おいしー。ありがと、パパ」
娘の頭に手をのせて優しく撫でる。えへへと笑うあおいに俺もオムライスを口に放り込んだ。
「あおいちゃーん、俺にあーんしてほしいな」
「あ?」
「ん?いいよ。けんちゃん、あーん」
「萩原さんよぉ、よっぽど死にてぇらしいな?」
「パパもあーんしてあげる!」