しょーちゃんとあの子について

寮の食事スペースで好物のざる蕎麦を食っていると不意に誰かに見られているような感覚に陥った。不思議に思い口に運ぶ箸を止めキョロキョロと辺りを見渡すも俺を見ている者はいなかった。

…気の所為か?

箸を持ち直して再び蕎麦に口に運ぼうとするとやっぱり感じる誰かの視線。意味が分からず僅かながらに首を傾げれば着ていた服のすそがクンっと引っ張られた。

…お?

引っ張られたことで視線を下に向けると、少し前に緑谷が相澤先生から頼まれたのだと連れてきた女の子が俺に空色の瞳を向けてジッと見ていた。

「どうした?なにか用か?」

「なに食べてるの?」

「これか?蕎麦だ。温かくねぇやつ」

「そば」

「食うか?」

「いいの?」

レナを自分の太ももの上に座らせると、その小さな口に少量の蕎麦を運ぶ。ツルツルと吸い込まれていく蕎麦を食べている張本人は空色の瞳が嬉しそうに輝いていた。

「おいし」

「よかったな、もっと食うか?」

「んーん。しょーちゃんの分なくなっちゃうからごちそうさまする」

「そうか」

「ありがと、しょーちゃん」

そう言って俺の太ももから器用に降りたレナはタタタと寮の共有スペースを駆け抜けて行った。飯田あたりに怒られないといいが…。そう思いながら俺は残りの蕎麦を食べることにした。


しょーととあの子について
コラ!レナくん!危ないから走ってはダメだぞ!

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