猫を濡らす/r





夜の帳(とばり)が下りた頃。 拠点の談話室では、暖炉の火が静かにはぜていた。ダリアンは今夜、夜警の仕事を引き受けており、家の中には彼女とセレスの二人だけだった。
(……ふむふむ。なるほど、こういう構造に……)
彼女は、セレスが持ち込んだ分厚い医学専門書を、こっそりと拝借していた。薬学士として人体の知識は必要不可欠だが、いま彼女が開いているページは、治癒や薬効とは少し趣が異なる――人体の、より「根本的」な仕組みについて書かれた章だった。
知識としては知っている。だが、詳細な図解と共に解説されると、どうしても好奇心が勝ってしまう。
「……随分と熱心だな、俺の小鳥は」
「ひゃっ!?」
不意に背後から、吐息がかかるほど近くで声がした。 彼女は悲鳴を上げそうになりながら本を閉じ、慌てて振り返る。いつの間に移動したのか、セレスが薄紫の瞳を細め、彼女の顔を覗き込んでいた。
「セ、セレス! い、いつから……!」
「君が、その図解に見入って、頬を染め始めたあたりから、かな」
「〜〜〜っ!」
顔から火が出るようだった。彼はすべてお見通しだったのだ。
「ち、違う、これは薬学士としての人体研究で……!」
「ほう? 人体研究、ね」
セレスはくすり、と喉を鳴らすと、彼女が隠そうとした本を優雅な仕草で取り上げた。そして、わざとらしく彼女が開いていたページを開く。
「……ふむ。『快楽の伝達経路と、それに伴う肉体の反応』……。確かに、人体研究には違いないな」
「か、返してよ!」
彼女は手を伸ばすが、セレスは軽く身をかわし、彼女を壁際へと追い詰める。
「おや、何をそんなに慌てる必要がある? 君は『研究』をしていたんだろう?」
「そ、そうだけど……!」
セレスは本を閉じると、近くの机に放り投げた。 カタン、と硬質な音が響く。
「……だが、残念だな」
「え?」
「君のその『研究』は、あまり意味がない」
セレスは、壁と自分の腕で彼女を囲うように、トン、と手をついた。逃げ場はない。
「ど、どういう意味……?」
「知識は、しょせん知識だ。……君のような子猫は、教科書を読むより、実践で学んだ方が早い」
「じっ……!?」
セレスの指が、彼女の顎をすくい上げる。
「君は、興味があるんだろう? この本に書かれていた『反応』とやらに」
「……っ」
否定できない。 だが、その事実に、彼女の背筋はぞくりと粟立っていた。
「……セレスの、いじわる」
「ふふ。今さらだな」
声が震える。彼は、彼女のそんな姿をこそ、好物としている。
セレスは、端正すぎる顔を彼女の耳元に寄せた。 「その本には、載っていなかっただろう?」
「何を……?」
「――男にこうして追い詰められ、逃げ場を失った時。その『好奇心』が『恐怖』ではなく、『期待』に変わってしまう君のような人間のことを」
薄紫の瞳が、獲物を捉えたように妖しく光る。
「……っ、そんなの、知らない……!」
「ふふ、嘘だな。……もう、こんなに熱くなっている」
セレスの指が、彼女の首筋から鎖骨へと滑り落ちる。
「……ぁ」
彼女の体は、知識とは裏腹に、セレスの指先一つで素直に反応してしまう。
「どうやら、君の研究はまだ序章に過ぎなかったようだ」
セレスは満足げに微笑むと、彼女の潤んだ瞳を真っ直ぐに見つめた。
「――続きは、俺が直々に『指導』してやろう。……君が知りたがっていた『反応』の、すべてをな」
地を這うような、甘く低い声。 彼女は、壁とセレスの腕の間に完全に閉じ込められていた。
「な……っ!」
カッと顔に血が上るのがわかった。
「ふ、ふざけないでよ! ど、どいて……!」
震える手で彼の胸を押そうとするが、鍛えられた体はびくともしない。むしろ、その抵抗すら楽しむように、セレスは笑みを深めた。
「ふざけてなどいないさ。君が知りたかったんだろう? 俺はただ、その知的好奇心に応えようとしているだけだ」
「そ、それは、研究だって言ってるじゃない!」 「では、その『研究』の続きだ」
セレスは、彼女を壁に縫い付けたまま、空いている方の手で、彼女の首筋にそっと触れた。
「ひ……っ!」
ぞくり、と背筋を走ったのは、羞恥か、快感か。
「……ほら。まずはここだ」
セレスの指が、トク、トク、と速く打つ彼女の脈を、確かめるように押さえる。
「君の心拍が、こんなにも速くなっている。……これは、本を読んでいるだけでは得られない『反応』だろう?」
「あ……」
「それに」
彼の顔が、さらに近づく。 吐息がかかる距離で、薄紫の瞳が彼女を射抜いた。
「この潤んだ瞳。……俺に見られていると意識するだけで、君の体は、もう『指導』を受け入れる準備を始めている」
「ちが……そんな……!」
「嘘か?」
セレスは、彼女の耳元に唇を寄せた。
「その本には、こう書かれていたはずだ。『強い興奮状態において、耳朶や首筋は特に敏感になる』と」
そして、わざと吐息を吹きかけるように、囁いた。
「――試してみるか?」
「いや……ぁ……」
彼女が拒否の声を上げるより早く、セレスの唇が、赤くなった彼女の耳朶を軽く食んだ。
「んん……っ!」
まるで、脳天から電流を流されたような、強烈な快楽。
(だめ、こんなの……!)
快楽に弱い彼女の体は、知識などでは到底制御できない。足から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになるのを、セレスの腕が支える。
「……っ、や、やめ……」
「やめないさ」
セレスの声は、どこまでも楽しそうだ。
「君の体は、正直だ。……ほら、もうこんなに熱い」
彼の唇は、耳朶から首筋へと滑り落ち、先ほど彼が指で触れた脈の上――そこに、吸い付くように、軽く印をつけた。
「あ……ぅ……!」
もう、抵抗の言葉も出ない。 彼女は、彼の黒いシャツを弱々しく掴むことしかできなかった。
(恥ずかしい……でも……)
セレスは、彼女が快感に溺れかけているのを見届けると、ゆっくりと顔を離した。 その瞳は、獲物を仕留めた獣のように、満足げに細められている。
「どうだ、小鳥」
彼は、完全に腰が抜けてしまった彼女の頬を、愛おしそうに撫でた。
「『研究』は、捗りそうか? ……レッスンは、まだ始まったばかりだぞ」
セレスは、完全に腰が抜け、自分に寄りかかる彼女の体を満足げに見下ろしていた。
「……ぁ……ぅ……」 言葉にならない。先ほど首筋につけられた熱い印が、そこだけが、彼の所有物になったかのようにジンジンと脈打っている。
(恥ずかしい。恥ずかしい。でも……)
体は、セレスの支配的な声色と指先に、すっかり骨抜きにされていた。
「ふふ。もうまともに立ってもいられないか、俺の賢い小鳥は」 セレスは楽しそうに喉を鳴らすと、彼女の腰を支える腕に力を込めた。
「君の体は、本当に素直だ。……本で読んだ『知識』などより、よほど雄弁だな」
「……っ、うる、さい……」
負けん気だけで、かろうじて睨みつける。だが、潤んだ瞳では何の迫力もない。
「……いじわる……」
「おや。ようやく俺の性質を理解したか?」
セレスは、その弱々しい抵抗を愛おしむように、彼女の額に垂れた髪を指でそっと払った。
「だが、君も同罪だぞ」
「……え?」
「君は、俺にこうされるのを、心のどこかで望んでいた」 彼の薄紫の瞳が、彼女のすべてを見透かすように細められる。
「違うか? ……その『好奇心』は、本当に純粋な『研究』のためだったと、俺の目を見て言えるか?」
「そ、れは……」
図星だった。 自分の「性質」を、この男は完全に見抜いている。
「……っ」
何も言い返せない彼女の姿に、セレスは満足げに笑った。
「ふふ。……いい子だ」
彼はそう言うと、彼女を支えていた腕を解き、今度は彼女の手首を掴んだ。
「ひゃ……!」
「さて。壁に押し付けたままでは、十分な『指導』ができん」
「な、なにを……」
「もちろん、レッスンの続きだ」
セレスは抗う隙も与えず、彼女の手を引いてソファへと向かう。
「さあ、座って」
「……!」
有無を言わせぬ声色に、彼女は操られるように、柔らかなソファにどさりと腰を下ろした。
セレスは逃さない。 彼は彼女の隣に座るのではなく、彼女の目の前に片膝をつき、下から見上げる形になった。まるで、傅く騎士のようでありながら、その瞳は獲物をいたぶる捕食者のそれだ。
「……セレス、近い……」
「近い? これから行う『実践』に比べれば、まだずいぶん距離があると思うが」
「……!」
彼は、掴んだままの彼女の手の甲に、唇を寄せた。
「……んっ」
「本日のレッスン、第二章だ」
セレスは、彼女の指先に、そっと舌を這わせた。
「……ぁ、あ……! だめ、そこ……っ!」
指先から、再び強烈な快感が全身を駆け巡る。
(こんなところ、触られたことない……!)
「だめか」 セレスは顔を上げ、とろけるような笑みを浮かべた。
「……だが、君の体は『もっと』と言っているぞ?」
彼は、彼女のもう片方の手も取ると、その両手首を片手でまとめあげ、ソファの背もたれに軽く押し付けた。
「……っ! なにするの!」
「なに、簡単なことだ」
セレスは、自由になったもう片方の手で、彼女の頬を優しく撫でた。
「――君が、俺以外の何ものにも、もう『好奇心』を持てなくなるまで。……徹底的に、教えてやるだけだ」
セレスは、彼女の顔が羞恥と期待と、そしてほんの少しの恐怖に染まるのを、愉悦を込めて見つめていた。
ソファの背もたれに片手で縫い付けられた両手首に、彼女は弱々しく力を込める。
「……っ! は、離して、セレス……!」
「ふふ。駄目だ」
セレスは、まるで羽根に触れるかのように優しく、しかし決して逃がさない力で彼女の手首を押さえたまま、にこりと微笑む。
「君はすぐに逃げようとする。……だが、本当の『研究』というものは、対象から目を逸らしてはできないだろう?」
「……!」
「君の対象は、今、俺だ。……そして、俺に触れられている、君自身だ」
セレスは、空いている方の手をゆっくりと持ち上げた。 彼女は、その指先がどこへ向かうのか、息を詰めて見つめることしかできない。
彼の指は、彼女の頬を滑り、先ほど自分が印をつけた首筋を、なぞるように確かめた。
「ひ……っ!」
「……いい反応だ。まだ、熱を持っているな」
指は、そこからさらに下へ。 華奢な鎖骨のくぼみを、ゆっくりと、意地悪くたどる。
「あ……」
「本には書いていなかっただろう? こうして他者に支配され、動きを封じられた上で触れられると、ただの愛撫が、どれほど背徳的な『快楽』に変わるか、など」
「そ、んな……こと……!」
(焦らされてる。恥ずかしい。でも、指が、熱い……)
快楽に弱い彼女の体は、セレスの言う通り、ただ指でなぞられているだけなのに、芯から溶かされていくようだった。
「君は、プライドが高い」
セレスの指は、彼女の服の襟元、その僅かな隙間に触れた。
「っ! だめ……!」
「だから、俺にこうして無理やり暴かれることを、心のどこかで望んでいる」
「ちが……っ!」
「違わないさ」
セレスは、とうとう彼女の服の、その布一枚越しに、心臓が速く打つのを感じ取れる場所――その胸の隆起に、そっと手のひらを重ねた。
「――――ッ!!」
声にならない悲鳴が、彼女の喉を震わせる。
「……こんなにも、速い」
セレスは、彼女の鼓動を確かめるように、手のひらをぴたりと密着させる。
「俺に触れられている。……ただ、それだけで」
「や……やめ……て……」
「なぜ?」
セレスは、心底不思議そうに小首を傾げた。その仕草は優雅で、しかし残酷なほどに余裕があった。
「君の体は、こんなにも喜んでいるというのに。……ああ、そうか」
セレスは、彼女の手首を拘束したまま、ゆっくりと彼女の体に覆いかぶさるように顔を寄せた。 ソファが、二人の重みで軋む。
「……君は、俺に『お願い』がしたいのか?」
耳元で、甘く、毒のように囁かれる。
「『やめて』じゃない。……『もっと、触ってください』と。……そうだろう、俺の可愛い子猫」
彼女の潤んだ瞳から、ぽろり、と一筋の涙がこぼれた。 それは、屈辱か、それとも、抗いがたい快感のせいか。
セレスは、その涙を舌先でそっと拭うと、満足げに微笑んだ。
「……さあ、レッスンを続けよう。……君のその理性が、完全に焼き切れるまで」
セレスの言葉が、とどめだった。 彼女は、ソファの背に両手首を縫い付けられたまま、必死に彼を睨みつける。だが、涙で潤んだ瞳は、羞恥と蕩けるような熱で、もはや何の抵抗力も持っていなかった。
「ふふ。……まだ、その目で俺を射ようとするか。本当に、負けん気の強い小鳥だ」
セレスは、彼女のその最後の抵抗を愛でるように細めた目で眺めると、ゆっくりと顔を寄せた。
「……っ!?」
彼女は咄嗟に顔を背けようとする。
「だめだ」
セレスの空いている方の手が、彼女の顎を掴み、固定した。
「……っ、ん!」
「『研究』の対象から、目を逸らすなと言っただろう?」
有無を言わさぬ、支配的な声。 そして、彼女の抗議の言葉をすべて飲み込むように、セレスの唇が、彼女の唇に重ねられた。
「ん……!んん……!」
それは、今までの揶揄いとは全く違う、深くて、貪るようなキスだった。
(だめ、だめ……!)
彼女は固く唇を閉ざし、最後の意地で抵抗する。
「……頑固だな」
セレスは唇の端を吊り上げると、彼女の抵抗を罰するように、その柔らかい下唇を軽く、しかし痛みを感じる寸前で、強く吸い上げた。
「……ぁっ!」
思わず漏れた喘ぎ。 セレスは、その隙間を決して逃さない。
(……あ……!)
侵入してきた彼の舌が、彼女の口内を蹂躙する。まるで、彼女のすべてを検分し、自分のものだと刻みつけるように。 知識として知っていた「キス」とは、まったく違う。
息ができない。 セレスの香りと熱に、思考が塗りつぶされていく。
(……セレスの、思う通りになんて……なるもん、か……)
そう思えば思うほど、快楽に弱い体は、皮肉にも彼に応えようと震えだす。 手首を押さえつける彼の力が、今はむしろ、崩れ落ちそうな彼女を支える唯一の枷だった。
どれほどの時間が経ったのか。 彼女の理性が、本当に酸欠で焼き切れそうになった、その寸前。
「……ぷはっ」
セレスが、名残惜しそうに唇を離した。 彼女の口からは、くぐもった喘ぎと、彼と繋がっていた銀の糸がこぼれる。
「はぁ……っ、はぁ……」
「……ふふ。随分と、可愛らしい声で鳴くじゃないか」
セレスは、焦点が合わず、とろんとした目で虚空を見つめる彼女の姿に、満足げに微笑んだ。 その瞳は、獲物を完全に手中に収めた捕食者のそれだ。
「……どうやら、ようやく『研究』の素地ができたようだな」
彼は、彼女の手首を拘束したまま、ゆっくりと体を起こした。 そして、先ほどまで彼女の心臓の音を確かめていた、その手のひらを見つめる。
「さて。」
「……え……?」
「口づけで、これほど乱れる。……では、その『プライド』という名の硬い服の下に触れられたら、君は、どうなってしまうんだろうな?」
セレスの指が、彼女の服の、一番上のボタンに、ゆっくりとかけられた。
「ひ……っ!」 「君のその『好奇心』……。俺が、その身をもって、隅々まで満たしてやろう」
薄紫の瞳が、彼女のすべてを暴き尽くそうと、妖しく光っていた。
彼女の喉から、かすれた悲鳴が漏れた。 指が、服のボタンにかかっている。それは、先ほどのキスよりも、もっと決定的で、後戻りのできない一線を越えるという予告だった。
「や……やめて……! そこからは、だめ……!」
「ふふ。なぜ?」
セレスは、指先にボタンの硬い感触を確かめながら、心底楽しそうに彼女を見下ろす。 「君の『好奇心』は、ここまでか? ……この服の下に隠された『反応』こそ、君が最も知りたかった『研究』対象だろう?」
「ちがう、わたしは、そんなつもりじゃ……!」
カチリ、と小さな音がした。 一番上のボタンが、外れる。
「あ……」
彼女の白い喉元が、露わになる。 セレスは、拘束していない方の手で、そのボタンの外れた隙間から、彼女の鎖骨のくぼみをそっと指でなぞった。
「……っ!」
「……熱いな。君の肌は」
「や……!」
セレスの指は、焦らすように、ゆっくりと二つ目のボタンへ向かう。
(だめ、だめ、だめ……!)
彼女は必死に身をよじるが、ソファに縫い付けられた手首はびくともしない。その無力な抵抗が、かえってセレスの支配欲を煽っていることに、彼女は気づかない。
「……いいか、子猫」
カチリ。 二つ目のボタンが外れる音は、絶望的なほど静かに響いた。 彼女の胸の、柔らかな膨らみの、その始まりが見えそうになる。
「君のその負けん気の強い瞳で、しっかり見ておけ」 セレスは彼女の顎を掴んでいた手を離し、自分の指先――今まさに、彼女の肌を暴こうとしている、その指先へと視線を誘導する。
「君のその高いプライドが、俺の手で、こうして一枚ずつ剥がされていく様を」
「いや……! 見たくない……っ!」
彼女は強く目を閉じた。 だが、視覚を閉ざしたことで、触覚が嫌というほど鋭敏になる。
「……愚かだな」 セレスの吐息が、すぐ近くでかかった。
「目を開けろ」
冷たく、しかし抗いがたい命令。 彼女は、おそるおそる瞼を開けた。
薄紫の瞳が、至近距離で彼女を射抜いていた。 そして、彼の指は、三つ目のボタンに――彼女の胸の谷間の、ちょうど真上にあるそれを、ゆっくりと外そうとしていた。
「君が知りたかったのは、これだろう?」
セレスの指が、ボタンを外し、ついに、服の隙間から滑り込んだ。 布越しではない、彼の冷たい指先が、彼女の熱い素肌――その谷間に、直接触れた。
「――――ッ!!」
声にならない絶叫。 羞恥と快感が、彼女の脳を焼き切った。 もう、抵抗も、負けん気も、何もかもが、セレスの指先がもたらす強烈な熱に溶かされていく。
「あ……ぁ……せ、れす……」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で、彼女は、自分を支配する男の名を、初めて、懇願するように呼んだ。
セレスは、その完璧な勝利に、深く、満足げに微笑んだ。
「……ふふ。ようやく、素直になったな」
彼は、彼女の肌に触れたまま、その震える唇に、再び顔を寄せた。
「レッスンは、まだ終わらんぞ。……次は、君の『声』の研究だ」
セレスは、彼女の肌に触れたままの指先を、わざとゆっくりと滑らせた。 その指が辿るのは、ボタンが外れた服の隙間から覗く、彼女の熱い素肌。その谷間の、柔らかなくぼみ。
「ん……ぁ……っ!」
彼女の体は、敏感に跳ねる。
「ふふ。……まずは、抵抗の声」
セレスは、その反応を医者がカルテを記すかのように冷静に、しかし愉悦を込めて分析する。
「や……やめて……せれ、す……」
懇願する声は、涙で濡れている。
「二つ目。……懇願の声」
彼は、彼女の言葉をまるで意に介さず、今度は指先で、その柔らかな膨らみの輪郭を、服の上からそっと、なぞった。
「ひゃ……っ! んん!」
(だめ、だめ、そんなところ……!)
彼女は必死に首を横に振る。だが、その仕草は、セレスの指先から逃れようと身をよじる、甘い喘ぎにしかならない。
「三つ目。……快楽に戸惑う、猫のような声」 セレスは、彼女の耳元に顔を寄せ、その震える呼吸ごと、彼女の反応を味わう。
「……だが、俺が聞きたいのは、そんな声じゃない」
「……え……?」
「君の、その負けん気の強いプライドが、完全に砕け散った音だ」
セレスの指が、止まった。 いや――服の隙間から滑り込んだ指が、今度は、彼女の下着の、その繊細なレースの縁に、そっと触れたのだ。
「――――ッ!!」
息が止まる。 羞恥のあまり、彼女の体は硬直した。
「……どうした? 声が止まったぞ」
セレスは、そのレースの縁を、親指で意地悪く、なぞる。
「……ぁ……あ……っ! ぅ……」
(なに、これ……! こんな、ところ……!)
指先が直接触れているわけではない。布一枚、レース一枚を隔てているだけなのに、快感の波が、先ほどとは比べ物にならない強さで彼女の全身を襲う。
「さあ、鳴け」 セレスは、拘束していた彼女の両手首を、ソファの背もたれに片手で押さえつけたまま、もう片方の手で、彼女の顎を掴んで上を向かせた。 涙で潤んだ薄紫の瞳が、真っ直ぐに彼女の瞳を射抜く。
「俺に、これ以上何をされたいのか。……その可愛い口で、言ってみろ」
「そ……んな……こと……!」
「言えないか? ……では、体が覚えるまでだ」
セレスは、彼女の顎を解放すると、その手を、再び彼女の胸元へ。 そして、今度は、そのレースの縁を、軽く、指で押し下げた。
「いやあああああっ!!」
ついに、彼女の理性と羞恥心の最後の砦が、決壊した。 それは、拒絶でありながら、どうしようもない快感の叫びだった。
「……はは。ようやく、まともな声が出たな」
セレスは、心底満足そうに笑った。 彼女は、もう、自分が何を言っているのか、どんな顔をしているのか、わからなかった。 ただ、涙と喘ぎが、セレスという名の支配者の前で、だらしなくこぼれ落ちていくだけだ。
「だが、まだ足りない」
セレスは、彼女の服の隙間に、顔を埋めた。 彼女の熱い肌と、甘い匂いを、深く吸い込む。
「……せ、れす……あ……だめ……」
「だめじゃないだろう?」
セレスは顔を上げると、その蕩けきった瞳を見つめ、宣告した。
「君の体は、『もっと欲しい』と叫んでいるぞ。……その『声』を、俺が全部、引き出してやる」
彼の唇が、先ほど指でなぞった、熱い谷間へと、ゆっくりと降下していく。 「レッスンは、これからが本番だ」
セレスの唇が、ゆっくりと、しかし抗いがたい引力をもって、彼女の胸の谷間に触れた。
「……ッ!!」
熱い。 指先とは比べ物にならない、生々しい熱と湿度。 彼女の体は、まるで打たれたかのように、ビクン、と大きく跳ねた。
「ふふ。……いい声だ」
セレスは、彼女の肌に唇を押し付けたまま、楽しそうに喉を鳴らす。 その唇が、今度はゆっくりと、彼女の肌の上を滑り始めた。
「あ……ぁ、いや……っ、ん……!」
(だめ、だめ、そんなところ……!)
キスでもない。愛撫でもない。 まるで、極上の獲物を吟味するかのように、彼女の肌の柔らかさと熱を、その唇で確かめている。 その行為が、どれほど彼女の羞恥心を煽り、同時に快感を呼び覚ましているのか、セレスは正確に理解していた。
「……ここか?」
セレスの唇が、服の隙間から覗く、下着のレースの縁に、触れた。
「ひ……っ!」
「それとも」
彼は、そのレースの縁を、唇で軽く食む。
「……こっちか?」
「あ……あああああっ!」
もう、理性などどこにもなかった。 ただ、セレスの唇が触れる場所、そのすべてが、彼女の快感の中枢になってしまった。
(恥ずかしい、恥ずかしい、でも、とまらない……!)
彼女は、拘束された手首でシーツを握りしめようとするが、それすら叶わない。 涙で視界が歪み、セレスの暗い桃色の髪が、自分の胸元で妖しく揺れているのだけが見えた。
「……せ、れす……っ、もう、やめ……」
「やめないさ」
セレスは、きっぱりと言い放った。
「君のその『声』……まだ、俺の知らない音が残っている」
彼は、ゆっくりと顔を上げた。 その唇は、彼女の肌に触れたせいで、艶かしく濡れている。 彼は、その唇で、彼女の涙で濡れた頬をそっと撫でた。
「……っ」
「泣くほど、気持ちが良かったか?」
「ちが……!」
「嘘だな」
セレスは、彼女の最後の抵抗を、微笑みで一蹴した。
「君の体は、もう俺の『指導』なしではいられなくなっている」
彼は、拘束していた彼女の手首を、ようやく解放した。
「……え?」
自由になったことに、彼女は一瞬戸惑う。 だが、もう遅かった。 セレスは、その自由になった彼女の両手を、今度は自分の首に回させた。
「……!」
「さあ」
セレスは、彼女を抱きしめるような形で、その体に覆いかぶさる。 彼女の耳元に、熱い吐息と共に、最後の宣告が囁かれた。
「次のレッスンだ。……君のその手で、俺に『もっと』と強請る練習をしよう」
「いや……そんなこと……!」
「できるさ」
セレスは、彼女の腰に手を回し、その柔らかな体を自分に密着させた。
「――君が、俺の名前だけを呼んで、泣きながら快楽に溺れるまで。……今夜は、寝かさない」

セレスは、自分の首に回された彼女の腕をぐいと引き寄せ、その体をソファに完全に押し倒すように、深く覆いかぶさった。

「ん……っ!」

柔らかいクッションに、彼女の背中が深く沈み込む。
(重い……熱い……!)
服越しだというのに、セレスの鍛え上げられた男の体の硬さ、その熱量、そして何より――彼自身がどれほど昂っているかを示す硬い熱が、彼女の下腹部にぐりぐりと押し付けられる。
「ひぁ……っ♡」
そのあまりに生々しい雄の感触に、彼女の腰がビクンと痙攣した。
(だめ、だめ、こんなの……! おしりが、むずむずする……!)
羞恥で頭が真っ白になる。だというのに、体は裏腹に、その熱を求めるようにじくじくと疼き始めた。下着の中が、じゅわりと濡れていく感覚が、もうはっきりとわかった。
「ふふ。……ようやく、抵抗をやめたな。素直な子猫だ」
セレスは、彼女の耳元に囁きながら、わざと腰を軽く押し付けた。
「さて。レッスンを続けようか」 セレスは、彼女の首筋に顔を埋め、その甘い匂いを深く吸い込むと、先ほど中途半端に開かれた服の隙間に、再び手を滑り込ませた。
今度は、指先だけじゃない。 彼の手のひらが、彼女の柔らかな乳房を、下着ごと、むんずと鷲掴みにした。
「あ……ッ!♡ んぐ……!」
「声が聞きたい、と言っただろう?」
セレスは、掴んだそれを、容赦なく揉みしだく。指が、その先端で硬くなった突起を探し当て、わざと強く、ねじるようにこね上げた。
「ひっ、あ……!♡ あ、だめ、だめそこっ……!♡ いじわる……っ!」
「だめじゃないだろう? こんなにカチカチに硬くして……。君の体は、俺にこうして触られるのを待っていたんだ」
「ちが……ぁっ!♡ ん、んん……!」
セレスは、彼女の喘ぎ声に満足そうに目を細めると、ついに、その邪魔な下着のレースを指でぐいと押し下げ、隠されていた柔らかな先端を、外気に露わにした。
「……っ!」 空気に晒された羞恥に、彼女の体が大きく震える。
「美しい色だ。……だが、俺の唾液で染めたら、もっと艶めくだろうな」
「え……?」
そして、セレスは、その赤く熟れた突起に、顔を寄せた。
(ま、まさか……!)
彼女が予感に息を呑むより早く、セレスの熱く、濡れた舌が、その先端を舐め上げた。
「――――――ッッ!!♡♡♡」
彼女の頭の中で、最後の理性が焼き切れた。 背中が、ソファから浮き上がるほど、弓なりにしなる。
(だめ、だめ、だめ、だめっ!! こんな、こんなことされたら、もう、お嫁にいけない……っ!)
快感が、羞恥の許容量を完全に超え、彼女の腰は、セレスの昂りに擦り寄るように、無意識に動き始めていた。
「ははっ……!なんていやらしい声を出すんだ、俺の小鳥は」
セレスは、片方の乳首を口内で弄びながら、もう片方の手で、彼女の腰を掴み、自分の昂りをさらに強く押し当てた。
「さあ、まだ始まったばかりだぞ?君のその『好奇心』……その体の、一番奥の奥まで、俺が全部、満たしてやる」
セレスの舌は、容赦を知らなかった。 ただ舐るだけではない。硬く尖った先端を、舌先で弾き、吸い上げ、時には軽く歯を立てる。そのたびに、彼女の背中はビクン、ビクンと弓なりにしなった。
「あっ、あっ、あ、んぐ……ッ!♡♡ あ、だめ、そこ、そんな……っ!」
「ふふ。……だめ、か? だが、君の体は、俺の舌が触れるたびに、ここを硬くして、もっと吸えとねだっているぞ」
(うそ、うそ、ちがう……!)
知識として知っていた快感とは、まったくの別物だった。 胸を弄られているだけなのに、快感の電撃は、背骨を通って、真っ直ぐに彼女の下腹部を直撃する。
(あ……ぁ……っ♡)
熱い。 さっきから、じゅわりと濡れ始めていた脚の付け根が、もう、決壊したように熱く、じくじくと疼き始めた。
(いや、いや、こんな、はしたない……!)
羞恥心から、彼女は無意識に太ももをぎゅっと閉じ、その熱い奔流を隠そうと、内股を擦り合わせた。
「……ほう」
セレスは、彼女の肌から顔を離さず、その無駄な抵抗を喉の奥で笑った。 彼は、ソファの上で彼女に覆いかぶさっている。彼女が必死に脚を閉じようと震わせている様も、その熱が自分の体に伝わってくるのも、すべてお見通しだった。
「俺が触れているのは胸だけだというのに……随分と、下の方が騒がしいな」
「ひ……っ!♡」
セレスは、彼女の乳房を片手で乱暴に揉みしだいていた手を離し、その手を、ゆっくりと、彼女の薄い腹部へと滑らせた。
「な……っ、どこ、さわ……っ♡」
「静かに。……医者の『検分』だ。君のその『好奇心』が、体にどんな『反応』を引き起こしているのか、しっかり調べてやらないと」
その手は、慈悲もなく、彼女の腰骨をなぞり、下着のラインに沿って、内腿へと侵入していく。
「いやっ!♡ だめ、そこは、ほんとに……っ!」
「なぜ? ここだろう? 君がさっきから、必死に隠そうとしていたのは」
セレスの指は、彼女が固く閉じた太ももの、その隙間に差し込まれた。 そして、その熱く湿った下着の布地を、その中心の、硬くなりかけた場所の上から、わざと、ぐり……と円を描くように撫で付けた。
「――――――ッッ!!♡♡ あ、ああああああっ!!♡」
直接触れられてもいない。 布一枚、隔てている。それなのに、脳が焼き切れるような快感が、腰の奥から突き上がった。彼女の腰が、シーツの上で、無様に、びくん、びくんと跳ねる。
「はは……っ! なんていやらしい声だ。もう、こんなに濡らして」 セレスは、指先に感じた熱い湿り気に、満足そうに目を細めた。
「ちが、ちがう……!♡ これは、せれす、が……!♡」
「ああ、そうだ。全部、俺のせいだ」
セレスは、彼女の喘ぎを肯定した。
「だが、君のそのプライドの高い体が、俺の『指導』でこんなにもだらしなく濡れて、快感を求めている……。その事実が、君を一番興奮させているんだろう?」
彼は、彼女の脚を、今度は膝を使って、ゆっくりと、しかし容赦なく押し開いた。
「いやっ!♡ みないで、そこは、いやぁっ!♡」
「『研究』対象を隠すな」
セレスの声が、一転して、冷たく支配的な響きを帯びた。
「君が一番知りたかったのは、ここだろう?」
セレスは、濡れた布地をなぞっていた手を離し、今度は、その指先を、下着の隙間から、するり、と滑り込ませた。 湿った産毛をかき分け、その指が、熱く硬くなった快感の核に、直接触れた。
「――――――――ッッッ!!!!♡♡♡」
彼女の世界が、白く爆ぜた。 もう、声にもならない。息が止まり、ただ、ヒクッ、ヒクッと喉が痙攣(けいれん)するだけだった。
「……ここだな」
セレスは、彼女が最も感じている場所を、指先で確かめると、悪魔のように、優しく微笑んだ。
「君の『好奇心』の、一番奥だ。……さあ、レッスンを続けよう。この指が、どう動いたら、君が一番『いやらしい声』で鳴くか……これから、じっくりと『研究』してやる」
セレスの指は、もうためらわなかった。 熱く硬くなった、その快感の核を、指の腹で、ねっとりと押さえつける。
「ひ……っ!♡」
そして、そのまま、ぐり、ぐり、と、円を描くように、押し回した。
「あ、ああ、ああああっ!♡♡ ん、んんっ!♡ そ、そこ、なに、なに、してるの……っ!♡」
「『研究』だと言っただろう」
セレスの声は、どこまでも冷静だ。 だが、その指の動きは、彼女をいたぶるように、じわじわと、しかし確実に熱を加えていく。
「い、いやっ!♡ いや、やめてっ、そこ、だめ、あ、あ、あああっ!♡♡」
(だめ、だめ、だめ……っ! 腰が、勝手に……!) 彼女の腰が、セレスの指から逃れようとするかのように、びくん、びくんと無様に震えだす。だが、その動きは、結果として、その指に、より深く、自分の恥ずかしい場所を擦り付けるだけだった。
「はは。……すごいな。俺の指一本で、こんなにもだらしなく腰を振って」
セレスは、その無様な抵抗を、楽しげに見下ろした。 彼の指は、もう、彼女が分泌した熱い蜜で、ぐっしょりと濡れていた。
「ちが、ちがう……っ!♡ わたし、そんな、つもりじゃ……!♡ あ、ん、んんっ!♡」
「『つもり』じゃない? だが、君の体は、正直だ」
セレスは、指の動きを、さらに速めた。 円を描くだけではない。上下に、強く、その核(さき)をこすり上げる。
「あああああっ!♡♡♡ あ、い、イク……!♡ いっちゃう、だめ、だめ、だめぇっ!♡♡」
「まだだ」
セレスは、彼女が絶頂に達する、その寸前で、ぴたり、と指の動きを止めた。
「ひ……ぅ……っ!♡」
行き場を失った快感が、体中を駆け巡る。
(なに、これ……! いじわる……!)
涙でぐしゃぐしゃになった彼女が、抗議の目でセレスを睨みつける。
「……そんな目で、俺を睨むな」 セレスは、その焦らされた顔に満足げに微笑むと、今度は、その指を、少し、下へとずらした。 熱い蜜で濡れそぼった、その、まだ誰にも触れられたことのない、小さな入口に。
「……っ!」
彼女の体が、今度こそ、恐怖と羞恥で硬直した。
「君の『好奇心』は、ここで終わりか?」
セレスの指先が、その閉ざされた襞を、ゆっくりと、こじ開けるように、押し当てられる。
「いやっ!♡ そこは、だめっ! ほんとうに、だめ……!」
「なぜ?」
セレスは、その指先に、彼女の熱い粘液をたっぷりと絡め取ると、ぐ、と、第一関節までを、その狭い入口に、ねじ込んだ。
「――――――――ッッッ!!!!♡♡♡♡」
彼女の体が、ソファから飛び跳ねるほどの、強烈な痙攣。 痛みと、それ以上の、未知の快感。
「あ……!♡ あ、ああ、ああああああああっ!♡♡♡」
もう、声も、涙も、理屈も、何もかもが、ぐちゃぐちゃだった。 快感の核(そと)は指でこすられ、処女の入口は指でこじ開けられる。
「はは……っ! すごい声だ!」
セレスは、彼女の絶叫を聞きながら、その中で指を、意地悪く、く、と曲げた。
「イクッ!♡ イク、イッちゃうから……!♡♡ あああああああああああんっ!♡♡♡」
ビクン、ビクンッ! 彼女の体が、大きく二度、三度と痙攣し、熱い蜜が、セレスの指の付け根まで、だらだらと溢れ出した。
「は……っ、は……っ、あ……ぅ……」
セレスは、ぐったりと痙攣の余韻に震える彼女の体を、冷ややかに、しかし満足げに見下ろした。 彼の指は、まだ、彼女の熱い場所に入ったままだ。
「……ふむ。ようやく、一回目の『反応』が取れたな」
彼は、ぐったりと意識を飛ばしかけている彼女の耳元に、囁いた。
「だが、レッスンはまだ終わりじゃないぞ。……俺の『研究』は、これからが本番だ」
「は……っ、は……っ、あ……ぅ……」
彼女は、ぐったりとソファに沈み込んだまま、浅い呼吸を繰り返すことしかできない。 全身が、快感の余韻で、びくん、びくんと小さく痙攣している。
(おわっ、た……? もう、むり……)
思考が、熱で溶かされて、何も考えられない。
セレスの指は、まだ、彼女の熱い場所に入ったままだ。 その指が、ぐ、と、さらに奥をうかがうように、第二関節まで深く差し込まれた。
「ひっ……!♡ ま、まだ……っ!?」
「当たり前だろう」
セレスは、彼女の内部で、自分の指がどれほど熱く、濡れた粘液でぬるぬるになっているかを、確かめるように動かした。 そのたびに、彼女の狭い内部が、きゅう、きゅう、と彼の指を締め付ける。
「……はは。すごいな。もう意識が飛んでいるかと思ったが……。俺の指が動くと、ちゃあんと、ここが締まるじゃないか」
「ちが……っ!♡ かっ、てに……!♡ あ、ん、んんっ!♡」
「そう。勝手に、だ」
セレスは、その内部を抉るように指を動かしながら、もう片方の手――先ほどまで彼女の乳房を弄んでいた手を、再び、彼女の胸元へと滑らせた。
「君の体は、君のそのプライドの高い頭とは、もう、まったく別の生き物だ。……俺の『指導』を、もっと欲しがっている」
その手が、今度は、汗で肌に張り付いた服を、乱暴に、引き裂かんばかりに押し広げた。 ボタンが、ちぎれる音すらしたかもしれない。 ついに、下着ごと、彼女の二つの柔らかな乳房が、完全に露わになる。
「あ……!♡ いや、みないで、そんな……っ!」
「なぜ隠す? ……こんなに、美しい」
セレスは、その汗ばんだ肌を、まるで芸術品でも検分するかのように、じっとりと見つめた。 そして、今度は、両手を使った。
片手は、彼女の濡れた場所で、二本目の指を、その狭い入口に、押し当てた。 もう片方の手は、露わになった乳房を、親指と人差し指で、その先端(さき)を、強く、強く、つまみ上げた。
「――――――――ッッッ!!!!♡♡♡♡」
上と、下。 二つの、まったく異なる、しかし強烈な快感が、同時に彼女の体を貫いた。
「あ、ああ、あああああああっ!!♡♡ い、いやっ!♡ どっちも、だめっ、やめ……っ!」
「どっちが、だめだ? こっちか?」
セレスは、胸の先端を、ねじ切るように、こねる。
「ひゃあああっ!♡♡」
「それとも」
彼は、下の入口に当てていた二本目の指を、容赦なく、ぐりぐりと、ねじ込んだ。
「い"……ッッ!!♡♡ あ、あ、あ、あああああっ!♡♡(いたい、いたい、でも、きもち……っ!)」
誰も知らなかった場所が、太い指で、無理やりこじ開けられる。 狭い壁が、みしみし、と引き伸ばされる、微かな痛み。 それ以上に、熱い指が奥を擦る、どうしようもない快感。
「はは……! なんだ、その声は!まるで壊れた玩具だ!」
セレスは、ついに二本の指を、彼女の奥深くまで突き入れた。
「あ、ああああんっ!♡♡♡ もう、むり、むり、むりだからっ!♡♡ おねがい、します……!♡ やめて、ください……っ!」
彼女は、ついに、プライドも何もかもを捨て、涙とよだれでぐちゃぐちゃになった顔で、彼に懇願した。
セレスは、その懇願を聞きながら、悪魔のように、優しく笑った。
「……『やめて』?」
彼は、彼女の内部(なか)で、その二本の指を、ゆっくりと、開いたり、閉じたり、させた。
「あぐ……ッ!♡♡♡ あ、ああ、ああああああっ!!♡♡♡」
(だめ、だめ、だめっ!♡ なかが、ひろげられる……!♡)
「……君は、まだ、自分の『好奇心』が満たされていないことを、わかっていない」
セレスは、彼女の耳元に、熱い吐息を吹き込んだ。
「本当の『研究』は、この指じゃ、できないんだぞ……?」
「あ……っ、は……っ、ひぅ……っ、は……」

彼女は、セレスの言葉を、もうまともに理解できていなかった。 全身が、熱い痙攣の余韻に支配されている。
(イク、イッた……。指、だけで……こんな、はしたない……)
ソファのクッションに顔を埋め、ぐったりと弛緩した体は、指一本動かすこともできない。 セレスの指二本が、まだ、自分の熱い場所で、ぐちゅぐちゅと粘液をかき回している感覚だけが、遠い現実のように続いていた。

「……ふむ。見事なものだ」 セレスは、彼女の内部が、自分の指をきゅう、きゅう、と締め付け、快感の余波で無意識に蠕動するのを、指先で検分していた。 (……ただの指で、これか。なんと、そそられる) 彼は、その濡れそぼった指を、ゆっくりと、しかし容赦なく、引き抜いた。

「ひ……っ!♡ あ、ぬ、ぬけ……」
ずぷ、と、いやらしい水音が響く。 内部をこじ開けていた異物が去ったことで、空虚感と、そして何より、熱い蜜がだらだらと脚を伝って流れ落ちていく、屈辱的な感覚が彼女を襲った。

「も……、もう、むり……。やめ、て……」
「やめないさ」
セレスは、自分の手を見下ろした。 指の付け根まで、彼女の愛液で、てらてらと光っている。 彼は、その指についた粘液を、自らの唇に運び、ぺろり、と舐め取った。

「……っ!」
「……甘い。……どうやら、君の体は、俺との『レッスン』を、随分と気に入ったらしいな」

「ちが、そんな……っ!」 「違わないさ」

セレスは、ゆっくりとソファの上で体勢を変えた。 今まで彼女に覆いかぶさっていた体を起こし、彼女のぐったりとした両足を掴む。

「な……っ♡ なに、するの……っ!♡」
「次の『研究』の準備だ」

彼は、彼女の体を、まるで人形でも扱うかのように、ソファの縁へと引きずった。
「あ……!♡」
彼女の腰が、ソファの端ギリギリに固定される。 抵抗する力など、もう残っていない。

セレスは、ソファの前に、音もなく立った。 薄暗い暖炉の光が、彼の端正な顔に、深い影を落とす。 彼女は、されるがままに、自分がどんな無防備な格好をさせられているのかを、ようやく理解した。 (いや……。ま、まさか……)

カチャリ、と、金属音が響いた。 セレスが、自らの腰のベルトを、ゆっくりと外す音だった。 続いて、硬い布地が擦れる音。彼が、自分のズボンを、解いている。

「ひ……っ!♡ せ、セレス……!? ま、まって……!♡ それは、だめ……っ!」
「何がだめだ?」
セレスの声は、冷たい。 だが、その声とは裏腹に、彼の股間――暗闇の中でも、その尋常ならざる熱量と大きさで膨れ上がったソレが、彼女の目の前に迫っていた。

「いや、いや、いやっ!♡ そんな、の……!♡ はいらない、ぜったい、むりだから……っ!♡」
「入るかどうかは、俺が判断する」

セレスは、自らの昂りきった雄の証を、その手で掴んだ。 指で散々弄った彼女とは比べ物にならない、凶器のような硬さと熱。 それが、今、彼女の、まだ誰
も知らなかった場所を、狙っている。

「君が知りたかった『人体研究』だろう?」

セレスは、先ほど彼女の内部から引き抜いた、彼女自身の蜜で濡れた指を、自分の昂ぶりに塗り付けた。 「……っ」 彼自身の口から、かすかな、抑えきれない興奮の吐息が漏れた。
「君のその、だらしなく濡れた入口が、俺を『研究』してくれと、こうも誘っている」
「ちが、ちがう……!♡ いや、いやあああっ!♡」
セレスは、彼女の両足を、自分の太い腕で、無理やり左右に押し開いた。 もう、隠すものなど何もない。 指で散々こじ開けられ、蜜でぐちゃぐちゃになった彼女の恥部が、完全に、彼の前に晒される。
そして。 セレスは、その熱く硬い先端を、彼女の、濡れそぼった入口に、ぴたり、と押し当てた。
「――――――――ッッッ!!!!♡♡♡♡」
(あつい、あつい、あつい、あついっ!) (いたい、こわい、むり、むりっ!)
指とは、比べ物にならない。 本物の、男の熱と硬さが、彼女の入口を、押し潰そうとしている。
「あ、ああ、あああああああっ!♡♡ いや、いや、いれ、いれないでっ!♡♡ こわれる、こわれちゃうからぁっ!♡♡」
「ふふ。……そうだな。壊れるかもしれない」
セレスは、その恐怖に歪む彼女の顔を、心の底から楽しそうに見下ろした。
「だが、君の『好奇心』の代償だ」
彼は、彼女の抵抗を無視し、その熱い先端に、ぐ、と、体重をかけた。
「――さあ、本当の『レッスン』を始めようじゃないか。君のこの狭い場所が、俺の形を、どう覚えるのか……じっくりと、な」
「いや、いや、いや、いやあああああああっ!♡♡」
彼女の絶叫を、セレスは、まるで心地よい音楽でも聴くかのように無視した。 彼は、その熱く硬い先端を、濡れそぼった入口に固定したまま、逃げ場を塞ぐように、彼女の両足をさらに大きく、自分の腰に絡めるように持ち上げた。
ぐ、と、体重がかけられる。
「あ……っ!」
熱い先端が、指でこじ開けられていた入口を、無理やり押し広げ、めり、めりと、音を立てるように侵入してくる。
「い、い"……っ!♡ いたい、いたい、いたいっ!♡ あ、あああっ!」
処女の薄い膜が、引き裂かれる、鋭い痛み。 指とは比べ物にならない、本物の雄の肉体が、彼女の狭い内部を、強引にこじ開けていく。
「ふ……っ」 セレスの口から、抑えきれない、熱い吐息が漏れた。
(……きつい。……信じられん、この狭さ)
まるで、灼けるような熱い絹で、自分の昂りを、内側から締め付けられるような、凄まじい快感。
「は……っ、は……っ、せ、れす……!♡ ぬ、ぬいて……!♡ むり、むり、はいらないから……っ!♡」
「……まだ、先端しか入っていないぞ」
セレスは、汗で額に張り付いた彼女の髪を、まるで慈しむかのように、そっとかき分けた。 だが、その声は冷たく、彼の腰は、止まらない。
ぐ、ぐ、ぐ、と、一ミリずつ、彼女の内部を、その熱い凶器で押し広げていく。
「あああああっ!♡♡ いたい、いたい、いたいっ!♡♡ こわれる、こわれちゃう……!♡ あ、ん、んんっ!♡」
「……声が、大きすぎるな」
セレスは、彼女の絶叫を封じるように、その涙とよだれで濡れた唇に、深く、自分の唇を押し当てた。
「んんんんーっ!♡♡ ん、ぐ……!」
抵抗の喘ぎは、すべて、彼の口内に吸い込まれる。 そして、彼女の意識がキスに逸れた、その一瞬。
セレスは、ついに、残っていた昂りを、一気に、根元まで、彼女の奥に突き入れた。
「――――――――ッッッ!!!!♡♡♡♡」
(……っ!!!)
息が、止まった。 痛い。熱い。苦しい。 自分の体が、ありえないもので、内側から、はち切れそうになるほど、満たされている。 奥の奥にある、子宮の入口に、硬い先端が、ごり、と当たった感触。
「……っ、は……」
セレスが、ゆっくりと唇を離す。 彼の薄紫の瞳が、至近距離で、焦点の合わない彼女の瞳を、じっとりと見つめていた。 彼もまた、この凄まじい締め付けに、息を荒げていた。
「……ふ、ふふ。……どうだ、俺の可愛い小鳥」
彼は、彼女の内部で、まだ動かずに、自分の存在を、彼女の体に刻みつける。 指を入れられた時とは比べ物にならない、とんでもない熱量と、圧迫感。
「君の『好奇心』……。その一番奥で、俺のこれが、今、どうなっているか……『研究』してみろ」
「あ……ぅ……っ、は……っ」 涙が、ぼろぼろ、こめかみを伝って流れ落ちる。
(はいってる……。セレス、の……が……)
「……さあ。レッスン、再開だ」
セレスは、その硬い雄を、ほんの少し、引き抜いた。
「ひ……っ!♡」
そして、今度は、ゆっくりと、奥まで、突き戻す。
「ああああああんっ!♡♡♡♡」
痛みと、同時に。 奥の、一番感じやすい場所を、彼の硬い先端が、容赦なく、抉るように擦り抜けた。
「……ここだな」
セレスが、獰猛に笑った。
「君の体が、俺を一番欲しがっている場所だ。……君のその理性が、完全に焼き切れるまで。……今夜は、寝かさない」
セレスは、その宣告と同時に、彼女の腰を掴んでいた腕に、ぐ、と力を込めた。 そして、彼女の内部の、一番奥――先ほど見つけた、彼女が最も感じやすい場所を、狙い定めて。
深く、強く、その熱い雄の全てを、打ち付けた。
「あああああああああんっ!♡♡♡♡」
(いたい、いたい、いたいっ!♡ でも、あ、そこ、そこ、だめ、あ、あああっ!♡)
痛みと、それを遥かに凌駕する、未知の快感。 子宮の入口を、彼の硬い先端が、ゴリッ、ゴリッ、と、容赦なく抉る。
「ひっ……!♡ ん、ん、ん、んんっ!♡♡ あ、ああ、ああっ!」
彼女の腰が、ソファの縁で、無様に、びくん、びくんと跳ねる。 セレスは、その反応を、まるで医者が患者の様子を観察するように、冷静に見下ろしていた。
「……ほう。ここだな」
彼は、その場所だけを、執拗に、何度も、何度も、突き上げる。 浅く抜いては、深く、奥まで。 浅く抜いては、深く、奥の、その一点だけを。
「あ、ああ、あああああっ!♡♡♡ や、やめ、そこ、そこ、だめ、あ、あああんっ!♡♡」
「ふふ。……だめ、か? だが、君の内部は、俺がここを突くたびに、まるで生き物のように、きゅうきゅうと、俺の雄を締め付けているぞ」
(うそ、うそ、ちがう……!♡ わたし、そんな、つもりじゃ……!)
だが、体は、正直だった。 セレスが、奥を突くたびに、彼女の狭い内部は、熱い肉の壁で、彼の雄を、もっと奥へと引きずり込もうとするかのように、痙攣し、蠕動した。
「はは……っ! なんていやらしい体だ。……君のそのプライドは、もう、どこへ行った?」
「あ……ぅ……っ、は……っ、はぁ……っ!」
もう、何も言い返せない。 ただ、彼の腰の動きに合わせて、喘ぎ、体を震わせるだけの人形だった。
「さあ、レッスンを続けよう」
セレスは、彼女の喘ぎが、快感の頂点に近づいているのを、正確に見抜いていた。 彼は、その動きをさらに、速く、そして、重くした。
「あ、ああ、ああああああんっ!♡♡♡ あ、だめ、だめ、だめっ!♡ また、イクっ!♡ イッちゃう、イッちゃうから……っ!♡♡」
「……まだだ」
セレスは、彼女が絶頂に達する、その寸前で、ぴたり、と腰の動きを止めた。 一番奥まで、突き入れた、その状態で。
「ひ……ぅ……っ!♡♡」
行き場を失った強烈な快感が、彼女の体中を、灼き尽くす。
「あ……っ、は……っ、せ、れす……?♡ な、んで……?」
「俺は、君の『声』が聞きたいと言ったはずだ」
セレスは、彼女の内部で、自らの雄を、ぐり、と、捻るように、回した。
「ぎゃあああああああああああああっ!♡♡♡♡」
(な、な、な、なに、それ……っ!♡ おく、が、まわ、される……っ!)
「さあ、言え。……俺の、この、熱いもので、君の内部を、めちゃくちゃにされるのは、どんな『気分』だ?」
「あ……っ、あ……っ、き、きもち……っ、い……です……っ!」
「ふふ。……ようやく、素直になったな」 セレスは、その答えに満足げに微笑むと、
「――だが、褒美は、まだ早い」
彼は、止めていた腰を、再び激しく、動かし始めた。 さっきよりも、深く、速く、容赦なく!
「あああああああああああんっ!♡♡♡ イク、イク、イッちゃう!♡♡ ああああああああああああああああんっ!♡♡♡♡」
ビクン、ビクンッ! 彼女の体が大きく痙攣し、狭い内部が彼の雄を、何度も、何度も、締め付けた。
「は……っ、は……っ、は……っ」
セレスは、彼女の内部で、その強烈な痙攣を受け止めながら、自らも深く、息を吐いた。
「……ふむ。二回目、だな」
彼は、ぐったりと意識を飛ばしかけている彼女を見下ろすと、その内部から自らの雄を引き抜こうとはしなかった。
「だが、夜は、まだ、始まったばかりだ。……君のその体が、俺の形以外、受け入れられなくなるまで。……何度でも、『レッスン』してやろう」