レースの挑発/r
「セレスさん、いますか……?」
今度は向日葵の方から、医務室の扉を叩いた。しかし、中から返事はない。彼が不在であることを確認し、彼女は一度、深呼吸をする。心臓が早鐘のように打っていた。
(……ほんとうに、こんなことして、いいのかな)
きっかけは、またしても彼女の主神、パトスだった。『退屈は毒だ! 君のその純粋さというカンバスに、もっと強烈な色彩を足すべきだ!』
――そう言って半ば強引に押し付けられたのは、一枚の布とは呼び難い、黒いレースで構成された精巧な衣服だった。
それは、彼女が昨日着ていた深紅の絹よりも、遥かに肌を露わにする。細い紐が複雑に首の後ろで結ばれ、胸元と脇腹は透けるレースでかろうじて覆われ、背中は腰まで大胆に開いていた。
(セレスさん、これを見たら、どう思うんだろう……)
好奇心と、彼を驚かせたいという密かな背徳感。そして、彼が前回見せた、あの熱っぽい独占欲をもう一度引き出したいという、自分でも気づいていない願望。 彼女は意を決し、中立神域の自室へと戻る。フクロウたちを別のケージに移し、恐る恐る、その黒いレースを身に纏った。
鏡に映った自分の姿に、向日葵は息を呑む。白い肌と黒いレースの対比が、あまりにも扇情的だった。
(……だめだ、こんなの)
彼女が慌てて脱ごうとした、その時だった。
「――入るぞ」
ノックとほぼ同時に、慣れた手つきで扉が開かれた。そこに立っていたのは、今しがた彼女が探していたセレス、その人だった。
「……」
セレスは、動かない。 いつもの揶揄うような笑みも、穏やかな声音もない。彼はただ、そこに立ち尽くす向日葵を、値踏みするように、あるいは解剖するように、頭のてっぺんから爪先まで、ゆっくりと視線でなぞった。
向日葵は、金縛りにあったように動けなかった。羞恥で死にそうだ。
「……随分と」
長い沈黙を破り、セレスが低い声で呟いた。彼はゆっくりと部屋に入り、背後で鍵をかける。そのカチリ、という音が、最後通牒のように響いた。
「俺の予想を、超えてきたな」
彼は一歩、また一歩と近づいてくる。薄紫の瞳の奥に、向日葵が今まで見たことのない、昏い光が揺らめいていた。
「せ、セレス、さん、これは、あの、パトス様が……!」
「神の名は、今はどうでもいい」
セレスは彼女の目の前で足を止めると、その複雑なレースの、一番細い紐に指をかけた。
「君は、これを着て、何を期待した?」
「きたい、なんて……」
「嘘だな」
指が、彼女の鎖骨の上を滑る。
「君のその好奇心は、とうとう限度を超えたようだ。……それとも、前回の俺の『答え』が、よほど気に入ったのか?」
彼の指が、背中に回る。大胆に開いた素肌を、まるで薬の効き目を確かめるかのように、なぞり上げていく。向日葵は「ひっ」と息を呑み、逃れようと身を捩った。
だが、セレスはそれを許さない。 彼は向日葵の腰を引き寄せ、抵抗できない力で抱きしめた。
「俺は言ったはずだ。君のそういう姿は、俺だけが見ていい、と」
「……っ」
「だが、これは……もはや『見る』ための服ではないな。これは、男に『脱がせる』ことを前提に作られた、極めて悪質な『芸術品』だ」
セレスの顔が、耳元に寄せられる。 「君は、俺にこれを解けと、そう誘っているんだろう?」
「ちが……」
「違わない」
彼の低い声が、有無を言わせず彼女の反論を封じ込める。
「いいだろう、向日葵。君のその無謀な挑戦、受けて立つ。……医術の知識を総動員して、君の身体が、どれだけ快楽に敏感か……その隅々まで、徹底的に調べてやろう」
セレスは向日葵を軽々と抱え上げると、ためらいなく寝台へと向かった。
「パトス様には、感謝しないとな。最高の『教材』を提供してくれた、礼を言わねば」
その夜、向日葵の部屋から、か細い悲鳴に似た声が漏れるのを、神域の誰も知ることはなかった。
寝台にそっと降ろされた向日葵は、シーツの柔らかさに身を縮こませた。逃げ場のないベッドの上で、挑戦的すぎた黒いレース姿のまま、彼女は真上から自分を見下ろすセレスを怯えた瞳で見上げた。
しかし、セレスはすぐには彼女に触れなかった。 彼は医者が患者を診るように、片膝をベッドの縁につき、その昏く熱を帯びた薄紫の瞳で、彼女の状態を仔細に観察する。
「……脈拍が早い。呼吸も浅く、頻呼吸気味だ。瞳孔が開き、末梢血管が拡張している……顔が赤く、肌の温度も上がっているな」
「あ……う……」
「ふふ。声にならないとは。恐怖か? それとも、期待か?」
彼の声は、いつもの揶揄う響きを取り戻していたが、その奥にある熱は隠されていない。
「この服……パトス様も悪趣味なものを作ったものだ。肌を守るという衣服本来の機能を完全に放棄し、ただ一点、見る者の理性を奪うためだけにデザインされている」
セレスの冷たい指先が、彼女の肩にかかった細いレースの紐に触れた。そのまま、ゆっくりと鎖骨の窪みをなぞる。
「ひっ……!」
「おや。ここが敏感なのか? それとも、このレースの素材が肌を刺激しているのか……どちらだ、向日葵」
それは尋問のようで、愛撫のようでもあった。 向日葵は羞恥に耐えかねてぎゅっと目を閉じる。だが、セレスはそれを許さなかった。
「目を開けろ」
低い命令。 逆らうことなどできず、彼女が恐る恐る瞼を上げると、妖艶な美貌がすぐ間近にあった。
「俺の『診察』から、目を逸らすな。君が望んだことだろう?」
セレスの指は、今や胸元をかろうじて覆うレースの中心、その結び目へと移動していた。
「実に精巧な作りだ。だが、邪魔だな。これでは、君の心臓の音を正確に聞くことができない」
彼は医術用のメスを扱うかのように、その繊細な指先で、いともたやすく結び目を解いていく。 レースがはだけ、今まで隠されていた白い肌が、神域の淡い光の下に晒される。
「……なるほど」 セレスは感嘆の息を漏らした。
「ゾーエ様が慈しむ『生命の輝き』とは、こういうことか。実に、美しい……」
彼はもう片方の手で彼女の頬を包み、自分から視線を逸らせないように固定する。 「さて、向日葵。本当の『診察』を始めよう」
彼の言葉が、もはや医学的な意味など何一つ含んでいないことを、向日葵は痛いほど理解していた。
「君の身体の隅々まで……俺の知らない君が、まだ隠されていないか。徹底的に、調べ尽くしてやる」
ゆっくりと、彼の顔が覆いかぶさってくる。 もう、好奇心や挑戦心などではなかった。ただ、この男に全てを暴かれ、支配されるしかないのだという、甘い絶望だけが彼女を包み込んでいた。
黒いレースの最後の結び目が解かれ、精巧な布地がはらりと脇へと追いやられる。もはや向日葵の白い肌を遮るものは何もない。
「……っ」
肌寒さとは違う震えが、向日葵の全身を駆け抜けた。完全に無防備になった身体を、彼の薄紫の瞳が余すところなく検分している。
「素晴らしい。完璧な『標本』だ」
セレスの声は、恍惚としているようにも、冷徹に分析しているようにも聞こえた。 彼は覆いかぶさったまま、その冷たい指先を彼女の胸の谷間へと滑らせる。
「まずは触診からだ。君の心臓が、今、どれほどの速度で鼓動しているか……この肌越しに感じてみよう」
指先がゆっくりと、その柔らかな膨らみをなぞる。向日葵は息を詰め、シーツを強く握りしめた。
「ひ……ぁ……」
「おや。声が出たな。……ふむ、ここは特に神経が集中しているようだ」
彼はわざとらしく呟きながら、指の腹でゆっくりと円を描く。そのたびに、向日葵の身体が弓なりに跳ねた。
「や……セ、レスさ……」
「『やめて』か? それとも、『もっと』か?」
彼はくつくつと喉で笑い、彼女の耳元に唇を寄せた。 「君の身体は、口で言うことと裏腹に、実に素直な反応を示している。……ほら、ここもだ」
指先がさらに下へ、彼女の腹部を、そしてそのさらに奥深くへと進もうとする。 向日葵は慌てて足を閉じようとするが、セレスはそれを許さず、片膝で優しく、しかし確実にそれを制した。
「抵抗は無意味だ。君はもう、俺の『診察台』の上だということを、忘れたのか?」
彼の冷たかった指先が、今はまるで熱を持っているかのように感じられる。
「君のその好奇心と挑戦が、どれほど無謀なものだったか……その身体に、直接教えてやらねばな」
セレスの唇が、彼女の首筋に触れた。薬草の香りが、彼女の肌の甘い匂いと混じり合う。
「あ……っ、ん……!」
今まで感じたことのない強い刺激に、彼女の思考が白く染まっていく。 知識としては知っていたはずの行為が、これほどの熱と甘美な痺れを伴うものだとは知らなかった。
「……いい声だ、向日葵」
セレスは彼女の反応に満足そうに頷くと、その妖艶な顔を上げた。
「これが、君の望んだ『答え』だ。君のその無垢な身体が、どれだけ俺の『医学』を求めていたか……夜が明けるまで、じっくりと証明してやろう」
もう、揶揄う言葉はなかった。 薄紫の瞳に宿る純粋な独占欲と情熱だけが、彼女を射抜く。向日葵は抗うことを完全にやめ、未知なる快楽という名の激流に、ただその身を委ねていった。
セレスは、もはや何の抵抗もできなくなった向日葵を見下ろし、満足そうに微笑んだ。その指は、先ほどまでレースが隠していた柔らかな胸の頂きを弄び、その反応を確かめている。
「ん……ぁ……♡ せ、れす、さ……そこ、は……♡」
「ここか? ここがどうしたと言うんだ、向日葵」
彼はわざとらしく問いながら、指先で執拗にそこを擦り、転がす。向日葵の白い喉が反り、くぐもった喘ぎが漏れた。
「……っ、ふぅ……♡ だめ、変に、なっちゃう……♡」
「変になる? それは正しい反応だ。薬が効き始めている証拠だからな」
セレスの視線が、彼女の震える腹部を通り過ぎ、そのさらに下、熱に浮かされ、蜜を湛え始めた茂みへと注がれる。
「さて。次は、君の身体の中で最も重要な『聖域』……いや、最も『病巣』が深い場所の診察だ」
彼の冷たい指が、ゆっくりと太ももの内側を滑り上がっていく。その感触に、向日葵は腰をよじらせた。
「ひゃっ……♡! そこは、だめ……っ!」
「ダメ、か。君の口はそう言うが……ここは、もうこんなにも熱く濡れて、俺を待っている」
セレスは、彼女が必死に閉じようとする足を容赦なく押し開き、その湿った中心部に指を一本、押し当てた。
「あ……ぁ、ああ……ッ♡♡」
知識としてしか知らなかった場所に、初めて他者の指が触れる。その衝撃的な快感に、向日葵の思考が真っ白に塗りつぶされた。
「……ふむ。やはり、ここは格別に敏感なようだ。酷い『炎症』……いや、『発情』だな」
セレスはそう診断を下しながら、指をゆっくりと、その狭い入り口で円を描くように動かし始める。
「や、やだ、なに、これ……♡ あ、ん、ん……っ♡」
「何、とは。君が望んだ『治療』だろう? さあ、もっと力を抜け。奥まで『薬』を届けないと、君のその『病気』は治らないぞ」
セレスは揶揄うように言いながら、二本目の指を添え、ゆっくりと、その熱く締まる奥へと侵入していく。
「あ"ッ……! い、ぁ……♡♡! セレスさ、ん、の、ゆび……っ、へん、なのが、おく、に……くる……♡」
「へんなもの、か。……それは、快感という名の、最も効き目の強い『劇薬』だ」
彼は彼女の最も敏感な核を指先で捉え、容赦なく押し潰すようにこすり上げた。
「あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
向日葵の身体が、これまで経験したことのない強い痺れと共に、ビクンビクンと激しく痙攣する。
「……もう、イってしまったのか。随分と早いな、小鳥」
セレスは荒い息を繰り返し、シーツにぐったりと沈む彼女を見下ろし、その指を抜いた。
「ま、まだ……♡ も、もっと……♡ もっと、セレスさんので、ぐちゃぐちゃにして……♡」
「……ほう」
羞恥を捨て、本能のままに快楽を求める言葉。そのあまりの変貌ぶりに、セレスの薄紫の瞳が、さらに昏い光を宿した。
「……いいだろう。君がそこまで望むなら」
彼は自らの衣服の帯に手をかけながら、妖しく笑った。
「指の『触診』は終わりだ。次は、俺のこの『舌』で……君の奥の奥まで、その蜜の味を、徹底的に味わい尽くしてやろう」
セレスは満足そうに喉を鳴らし、その薄紫の瞳を細めた。
「……ほう。指だけでこれほどとはな。君の身体は、俺が想像していた以上に『病』に侵されている」
彼はぐったりと痙攣の余韻に震える向日葵の足首を掴むと、ゆっくりと、しかし抗えない力でそれを自らの両肩に担ぎ上げた。 恥ずかしすぎる体勢に、向日葵が悲鳴のような声を上げる。
「や……♡ な、なにす……♡ こんな、かっこう……♡」
「診察の続きだ。最も病巣が深い場所を、今度は俺の舌で……直接、その『蜜』の味を確かめねばなるまい」
セレスはそう宣告すると、彼女の最も無防備になった場所……先ほどまで指で弄ばれ、今はひくひくと甘い痙攣を続けるそこへ、顔を埋めた。
「ひ……あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
熱く、湿った舌が、敏感な核を直接舐め上げた。指とは比べ物にならない、ねっとりとした生々しい感触。向日葵の頭の中で、理性の最後の糸が焼き切れた。
「だめ、だめ、だめっ……♡! そこ、は……! した、やだ、きたない……♡ あ、あ、あ"ッ……♡♡♡」
「汚い? これほど甘美なものを、か?」
セレスの声は、彼女の蜜に濡れてくぐもっている。
「ふふ……なるほど、これはパトス様が好むのも頷ける。君は、恥じらいと快楽が混ざり合った、極上の『味』がするぞ」
彼は容赦なく、その熱い舌で花弁をこじ開け、吸い付き、敏感な蕾を弄ぶ。向日葵は、もはや言葉にならない喘ぎを漏らしながら、シーツの上で腰を振り、彼の舌から逃れようともがいた。
「い"ぐ……♡ い"っちゃうううううッ!!!♡♡♡」
二度目の絶頂が、先ほどよりも遥かに激しく彼女の身体を貫いた。 ビクビクと全身を強張らせ、快感の奔流に意識が飛びそうになる。セレスは、その最後の滴まで味わい尽くすかのように、ゆっくりと顔を上げた。
「……見事だ。だが、まだ足りないだろう?」
彼は口元を拭い、荒い息を繰り返す彼女を見下ろす。そして、自らの衣服の帯を解き、硬く熱を持った自身の『本体』を露わにした。
「……ひっ」
向日葵は、目を奪われた。 知識としてではなく、現実のものとして見る、男の欲望。それは、彼女の想像を遥かに超えて大きく、熱く、そして恐ろしかった。
「お……おっきい……♡ あ、そんな、の……♡ むり、だよ……♡ こわれ、ちゃう……♡」
「今更、何を言う。君が、俺ので『ぐちゃぐちゃにして』と、そう望んだんだろう?」
セレスは彼女の震える足の間に陣取ると、その熱く濡れた入り口に、自らの先端を押し当てた。
「ああ……っ♡ あつい、のが……♡ ふ、ふれて……♡」
「大丈夫だ。君の奥は、俺の『薬』を受け入れる準備がもう整っている……さあ、最初の『投薬』だ。少し、痛むぞ」
セレスは向日葵の顎を掴んで上を向かせると、躊躇なく、一気にその腰を沈めた。
「い"ぎゃあ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
引き裂かれるような痛みと、内側から押し広げられる強烈な存在感。向日葵の爪が、シーツを突き破らんばかりに突き立てられる。
「い、いたい……っ! いたい、けど……っ! あ……あ"あ"……♡♡」
「……っ……!」
セレスも、そのあまりの狭さと熱に、一瞬、息を詰めた。 彼は最も奥まで突き入れると、動きを止め、彼女が慣れるのを待つ。
「……ほら、入った。言っただろう? 君の身体は、俺にぴったりの『器』だ」
向日葵は、痛みと快感の狭間で涙を浮かべながら、その薄紫の瞳を見つめ返す。
「……はいっ、てる……♡ セレスさんの、おっきいのが……♡ わたしのおく、に、ぜんぶ……♡」
「そうだ。……そして、これから、この『薬』がどれほど君に効くか……一晩中、その身体で試してやろう」
セレスの妖艶な笑みを最後に、向日葵の意識は、痛みをも塗りつぶす、未知なる快楽の波へと完全に飲み込まれていった。
セレスは、向日葵のその絶叫と、内側から締め付けてくる熱い痙攣に、満足げに目を細めた。 痛みと快感で涙目になりながらも、彼女は初めての異物を受け入れた己の身体の奥深くを、必死に感じ取ろうとしている。
「……っ、は……♡ せ、セレスさん……♡ わたしの、なかに……♡ あなたのが、ぜんぶ……♡」
「そうだ。言っただろう? 君の身体は、俺の『薬』を受け入れるために作られている……と」
セレスは、整った眉をわずかに寄せた。彼の額にも汗が滲んでいる。 いつもは完璧に着こなしている黒い詰襟のシャツは、今は胸元が大きくはだけ、鍛えられた胸板が覗いていた。深紅のベストは歪み、彼の情熱的な動きを辛うじて彩っている。
対照的に、向日葵は完全な無防備だった。 彼女が『挑戦』のために身につけた黒いレースの衣服は、今やシーツの上で無残な布切れとなり、彼女の汗ばんだ白い肌に張り付いている。その黒と白のコントラストが、セレスの理性をさらに焼き切った。
「……っく……!」
セレスは、彼女の熱い内壁の締め付けを味わうように、一度、ゆっくりと腰を引いた。
「あ……ッ♡♡! ぬ、ぬけちゃう……っ♡ や、まって……♡♡」
向日葵が、まるで赤子のように無意識に腰を浮かせ、彼を引き留めようとする。
「ふふ……本当に、欲張りな小鳥だ」
その健気な反応が、彼の最後の自制心を打ち破った。
「なら、二度と抜け出せないように……君の身体の隅々まで、俺の存在を刻み込んでやる」
セレスは彼女の足を再び高く肩に担ぎ上げると、今度は容赦なく、その腰を激しく突き上げ始めた。
「あ"ッ! あ"ッ! あ"ッ! あ"ッ……!♡♡♡」
「ぐ……っ……!」
部屋に、粘膜と肌がぶつかり合う、生々しく卑猥な水音だけが響き渡る。 痛みはとうに消え去り、ただ、奥の奥を激しく抉られる、強烈な快感だけが向日葵の全身を支配していた
「お、おく……♡ おく、が、だめ……っ♡♡ せ、セレスさんの、おっきいので……! おなかの、なかが、ぐちゃぐちゃに……っ♡♡」
「そうだ、向日葵。もっとだ。もっと、そのだらしない声を聞かせろ」
セレスは彼女の乱れた黒髪を掴み、顔を固定する。 快感に完全に溺れ、焦点の合わない瞳で彼を見上げる向日葵の表情は、彼にとって何物にも代えがたい『芸術品』だった。
「君のその『病』は、思ったより根深い。……一度や二度の『投薬』では、完治しそうにないな」
彼はそう診断を下しながら、さらにピッチを早め、彼女の子宮の入り口を激しく、何度も何度も突き上げる。
「い"……♡ い"ぎ……ッッ!!!♡♡♡」
「……っ、そろそろ、だ」
セレスは、向日葵の内部が、再び痙攣を始めたのを感じ取った。 彼は彼女の耳元に唇を寄せ、とどめを刺すように囁いた。
「さあ、俺の『薬』を、一滴残らず……君の奥で、全部受け取れ……!」
セレスが最も深く、強く腰を突き入れた瞬間、二人の絶頂が完全に重なり合った。向日葵は白目を剥いて激しく痙攣し、セレスは獣のような低い呻き声を上げながら、その熱い欲望の全てを、彼女の奥深くへと注ぎ込んだ。
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一夜明けて、向日葵は体中の関節がきしむような感覚と、内側に残るセレスの確かな余韻に、ぼんやりと目覚めた。隣にはすでに彼の姿はなく、まるで夢であったかのように静かな部屋だった。しかし、散乱した黒いレースと、全身に残る快感の記憶が、それが現実であったことを雄弁に物語っている。
(……セレスさん、ひどいよ。あんなに、ぐちゃぐちゃにするなんて……)
そう思いながらも、彼女の頬は微かに熱を帯びていた。
その数日後、向日葵は再びセレスの医務室を訪れた。 扉を叩き、許可を得て中に入ると、彼は薬草の調合を終えたばかりのようで、試験管を片手にこちらを向いた。
「おや、珍しいな。もう指は完治しているはずだが……また、どこか痛むのか、向日葵」
セレスはいつもの柔らかな微笑みを浮かべているが、その薄紫の瞳の奥には、すべてを見透かすような、有無を言わせぬ光が宿っている。
向日葵は、その視線に一瞬怯んだ。だが、今回は違う。 彼女は、彼が以前言った言葉を思い出していた。 『君のその好奇心と挑戦が、どれほど無謀なものだったか……その身体に、直接教えてやらねばな』 そして、 『君のその『病』は、思ったより根深い。……一度や二度の『投薬』では、完治しそうにないな』
――なら、もっと深く、もっと完全に、『治療』してもらえばいい。
そう思い至った向日葵は、決意を胸に、医務室の入り口でゆっくりと、自身を覆う外套を脱ぎ捨てた。
「……っ」
セレスの表情が、初めて微かに揺らぐ。
そこに現れた向日葵の姿は、以前のどの服よりも、大胆で、挑発的だった。 身につけていたのは、深紅の細いリボンと、わずかな金の鎖で構成された、もはや『服』と呼ぶのもおこがましいような衣装だ。
胸元は、二本のリボンが交差するだけで、その柔らかな膨らみをほとんど隠していない。腹部は完全に露わになり、腰には繊細な金の鎖が何重にも巻かれているだけだ。背中は深くU字に切れ込み、彼女の白い背中を惜しげもなく晒している。 その全ての曲線が、セレスの視線を、彼女の最もプライベートな場所へと誘っていた。
「……向日葵」
セレスの声が、普段からは想像できないほど低く、そして熱を帯びた。 彼の瞳は、彼女の全身の露出された肌を、まるで舐め尽くすかのように貪欲に追っている。
「せ、セレスさん……♡」
向日葵は、全身の毛穴が開きそうなほどの羞恥と、それを上回る興奮で、身体が熱くなるのを感じた。
「あの……その、わたし……♡ 『診察』を、お願いしたくて……♡」
彼女は、以前セレスが自分に言った言葉を、そのまま彼に投げ返した。
「セレスさんの『薬』……まだ、足りないみたいで……♡ もう少し、奥まで、入れてもらわないと……『完治』しそうに、ないんです……♡」
向日葵は、熱に浮かされたように彼の瞳を見つめ返した。 もはや、彼を『からかう』という意図など微塵もない。ただ、彼に求められたい、もっと奥深くまで触れて欲しいという、純粋な、そして限りない欲求がそこにあった。
セレスは、試験管を音もなく棚に置いた。 そして、ゆっくりと、向日葵の方へと歩み寄る。その足取りは、まるで獲物を追い詰める捕食者のようだった。
「……よく言った。向日葵」
彼の声は、囁きであったにもかかわらず、向日葵の身体の奥深くにまで響き渡った。
「君の『病』は、もう末期だな。……だが、安心しろ。この俺が、今度こそ完全に、君を『治療』してやろう」
彼は向日葵の前に立つと、その華奢な肩に手を置き、逃れられないように引き寄せた。
「その服も、見事な『診察着』だ。……おかげで、どこから『治療』を始めればいいか、迷う必要もない」
セレスは、彼女の露わになった胸元に顔を埋めた。 その瞬間、向日葵の身体は、再び激しい快感の奔流へと引きずり込まれていく。
医務室の扉は、音もなく閉ざされた。 そして、その中では、この世界に存在するあらゆる病巣を癒す、最も劇的で、最も甘美な『治療』が、再び繰り広げられるのだった。
セレスは、向日葵のその大胆な申し出と、あまりにも無防備な「診察着」に、熱い吐息を漏らした。 彼は彼女の肩を掴むと、そのまま医務室の壁際まで押しやり、ドン、と手をついて逃げ場を塞いだ。
「……本気で言っているのか? この格好で、俺の『治療』を望むと?」
「は、はい……♡ せ、セレスさんの『薬』じゃなきゃ、わたし、もう……だめみたいで……♡」
セレスの薄紫の瞳が、リボンでかろうじて形作られた胸元と、金の鎖が巻かれただけの腰、そしてその間にある白い素肌を、執拗に往復する。
「ふふ……実に見事だ。パトス様も、ついに一線を越えたものを作らせたな。これはもう『服』ではない。君の快感を増幅させるための『拘束具』だ」
彼はそう言うと、彼女の胸元を飾る深紅のリボンに指をかけた。だが、それを解こうとはしない。 代わりに、リボンのわずかな隙間から指を滑り込ませ、その下にある柔らかな膨らみを直接揉みしだいた。
「あ……ッ♡♡! あ、リボン、が……♡ あたる、っ♡」
「そうだろうな。布地越しではない、このリボンが肌に擦れる感覚……それもまた、計算された『治療』だ」
セレスの指は、今や硬く尖った頂きを、リボンごと摘み上げるようにして強く捻った。
「い"ッ……♡♡♡! だ、だめ、そこ、つよく……♡ あ、あ"、ああ"ッ♡♡」
「ダメか? だが、君の『病巣』は、この奥にあるんだろう?」
セレスは彼女の反応に満足そうに笑うと、今度は彼女の腰を飾る金の鎖へと手を伸ばした。 その冷たい金属が、向日葵の熱を持った下腹部に触れ、彼女は「ひゃっ♡」と甘い悲鳴を上げた。
「この鎖も、いい仕事をしている。君の肌の熱さを、より際立たせる」
彼の指は、鎖の複雑な絡まりを辿り、その中心……彼女の最も熱く、濡れた場所へと迷いなく進んでいく。 この衣装は、驚くべきことに、そこだけが彼の侵入を許すかのように、意図的な隙間が作られていた。
「……なるほど。脱がす必要すらない、というわけか。合理的で、実に……下品だ」
セレスはそう呟きながら、その隙間から躊躇なく二本の指を奥深くへと差し込んだ。
「あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
服を、鎖を、リボンを着けたまま、一番奥を直接的にかき混ぜられる。 その倒錯的な背徳感と、金属やリボンが肌に擦れる異物感が、向日葵の理性を一瞬で焼き切った。
「な、なか……♡ なか、が、お、おかしくなっちゃう……♡♡! ふ、服、きてる、のに……♡ あ、あ"ッ♡」
「服を着ているから、だろう?」
セレスは彼女の耳元に囁きながら、指の動きをさらに激しくする。
「羞恥心という名の『スパイス』が、君の快感を何倍にも増幅させている。……ほら、もうこんなにぐちゃぐちゃだ」
指が引き抜かれ、代わりに、先ほどよりも遥かに硬く、熱くなった彼の『本体』が、その隙間に押し当てられた。金の鎖が、彼の欲望の形に合わせて、じゃらりと音を立てる。
「さあ、向日葵。この『診察着』を着たまま、どれだけイけるか……試してみようじゃないか」
「む、むり……♡ そんな、おっきいの……♡ こんな、すきま、から……♡♡ あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
セレスは、彼女の絶叫と同時に、その金の鎖ごと、全てを貫くように腰を突き入れた。 リボンが汗で肌に張り付き、金の鎖が肌に食い込む。医務室に響くのは、卑猥な水音と、鎖が擦れる甲高い音だけだった。
「あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡」
向日葵の絶叫が、薬草の匂いが染み付いた医務室に響き渡った。 服を着たまま、それもこんなにも露出度の高い衣装のまま結合するという背徳的な行為が、彼女の快感を未知の領域へと押し上げる。
「……っ……!」
セレスもまた、そのあまりの感触に息を呑んだ。 金の鎖が、彼の欲望の根本でじゃらりと擦れ、互いの肌を刺激する。リボンは汗で肌に張り付き、向日葵の柔らかな胸は、彼の動きに合わせて無防備に揺れていた。
「……すごい、な。この鎖が、君の熱を逃がさず、俺を内側から締め付けてくる……っ!」 セレスは、彼女の腰を掴む手に力を込めた。
「あ、あ"……♡♡! く、くさりが……♡ おなかに、くいこんで、いたい……っ♡ け、けど……♡ おくの、おくが……♡ セレスさんの、おっきいので、あつい……♡♡」
「痛むか? だが、その痛みが、君の快感を研ぎ澄ませているんだろう?」
セレスは、彼女を壁に押し付けたまま、一度、ゆっくりと腰を引いた。 金の鎖が擦れる甲高い音と共に、熱い肉棒が引き抜かれそうになる。
「あ……ッ♡♡! ぬ、ぬけちゃう……っ♡ や、まって……♡♡! もっと、ふかく……♡ ふかく、おくすり、いれて……っ♡♡」
「ふふ……本当に、どうしようもない『患者』だ」
その淫らな懇願が、セレスの最後の理性を焼き切った。 彼は彼女の足を片手で引き上げさせ、壁に押し付けたまま、再び容赦なく腰を突き入れた。
「あ"ッ! あ"ッ! あ"ッ! あ"ッ……!♡♡♡」
「ぐ……っ……!」
部屋に響くのは、粘膜と肌がぶつかり合う卑猥な水音と、ガチャガチャ、じゃらりとけたたましく鳴り響く、金の鎖の音だけ。
「お、おとが……♡ おとが、すごい……♡♡! ひびいて……っ♡ はずかしい……っ♡♡」
「恥ずかしい? この医務室で、こんな格好で、壁に押し付けられて。……君はもう、とっくに『手遅れ』だ」
セレスは、リボンでかろうじて隠されている胸元に顔を埋め、その柔らかな膨らみに、リボンごと噛みついた。
「いやあああ"ッッ!!!!♡♡♡」
「っ……!」
胸の頂きへの刺激と、腹の奥深くを貫く衝撃が、向日葵の思考を完全に麻痺させる。
「い"ぐ……♡ い"っちゃうううううッ!!!♡♡♡♡」
「……っ、まだだ……!」
セレスは、彼女が絶頂に達する寸前、動きを止め、その熱い内壁で自らの欲望を締め付けさせた。
「あ"……♡ ま、まって……♡ な、なんで、とめるの……♡」
「言っただろう? 徹底的に『治療』すると」
セレスは彼女の耳元に囁いた。
「君のその淫らな『病巣』に……俺の『薬』のありったけを、一滴残らず叩き込んでやる……!」
彼はそう宣告すると、向日葵の腰を掴んで引き寄せ、医務室の壁が揺れるほどの勢いで、最後の衝動を叩き込んだ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"ッッ!!!!♡♡♡♡♡」
二人の絶頂が激しくぶつかり合う。 向日葵は白目を剥いて痙攣し、セレスは低い獣のような呻き声を上げながら、その熱い欲望の全てを、金の鎖とリボンに飾られたままの彼女の奥深くへと、注ぎ込んだ。
じゃら……と最後の音を立てて鎖が揺れ、あとには、荒い二人の息遣いだけが残った。
荒い息遣いだけが響いていた医務室に、ようやく静寂が戻ってきた。 向日葵は、壁に背を預けたまま、その場にずるずると座り込みそうになるのを、セレスの腕が辛うじて支えていた。
深紅のリボンは汗で肌に張り付き、金の鎖は彼女の腰で無残に絡まっている。セレスもまた、はだけたシャツの胸元を整えることもせず、その薄紫の瞳で、ぐったりと彼に寄りかかる向日葵をじっと見下ろしていた。
「……ひど、い……♡」
ようやく絞り出したのは、かすれた抗議の声だった。
「こんな、ところで……♡ 服も、着たままで……♡」
「ふふ……」
セレスは、その乱れた髪を指で優しく梳かしながら、喉の奥で笑った。
「君が望んだことだろう? 『服を着たまま、奥まで薬を入れろ』と。……それとも、期待外れだったか?」
「……っ!」
向日葵は、その意地悪な問いに、赤くなった顔を彼の胸にうずめる。 期待外れどころか、想像を絶する快感の奔流に、身体の芯がまだジンジンと痺れている。
セレスは、そんな彼女の反応を確かめるように、その背中をゆっくりと撫でた。金の鎖が、彼の手のひらの下でじゃらりと冷たい音を立てる。
「……この『診察着』は、実に優秀だな」 彼は、まるで医学的な所見を述べるように、冷静な声で言った。
「着用者の羞恥心を煽り、肌への異物感を常に意識させることで、快感の受容性を極限まで高める。……パトス様には、ある意味で敬意を表さねばなるまい」
「も、もう、着ません……♡ こんな、恥ずかしいの……♡」
「いや」
セレスは、彼女の言葉を、短く、しかし有無を言わせぬ響きで遮った。 彼は向日葵の顎を持ち上げ、そらすことのできない強い視線で、その潤んだ瞳を射抜く。
「これは、君と俺だけのものだ。次に君が俺の『治療』を望む時も、これを着てくるんだ」
「え……♡ で、でも……♡」 「いいか、向日"葵"」
初めて、彼は揶揄うような比喩ではなく、その名前をはっきりと呼んだ。
「君のその無謀な好奇心と、俺を試すような挑戦は、俺の中の……俺自身も知らなかった『病』を呼び覚ました。……君のその姿は、他の誰にも見せてはならない。ダリアンにも、エルドにも。そして、これを君に与えたパトス様にさえもだ」
それは、嫉妬とも独占欲ともつかない、絶対的な命令だった。 医務室の主としての彼ではなく、一人の男としての、剥き出しの欲。
「……君のその『病』は、もう完治することはないだろう。そして、俺の『病』もだ」
セレスは、彼女の唇に、まるで誓いを刻むかのように、深く、しかし穏やかな口づけを落とした。
「だから、これからも……二人で、この『治療』を続けるしかないな」
向日葵は、彼の言葉の意味を理解し、こくりと頷いた。 もう、以前のただ好奇心旺盛だった自分には戻れない。この妖艶な医者の手によって、自分は快感という名の、決して治ることのない甘い『病』に侵されてしまったのだと、はっきりと自覚しながら。