柔らかな裾/r





その夜、セレスは薬草室の奥にある私室で、一日の終わりを迎えていた。
任務の報告書をまとめ、堅い神官服を脱ぎ、ゆったりとした黒い室内着に着替えたところだった。彼が、疲れたこめかみを指でほぐしながら、寝る前に一杯だけ薬湯を飲もうとした、その時だった。

控えめなノックの後、遠慮がちに扉が開いた。
「セレスさん……まだ、起きてる?」
ひょこりと顔を覗かせたのは、湯上がりで頬を上気させた向日葵だった。

「ああ、今しがた終わったところだ。どうした?」
セレスが微笑みかけた、その瞬間。
彼女が部屋に一歩足を踏み入れた姿を見て、彼の言葉と、全ての思考が停止した。

彼女が身につけていたのは、いつもの素朴な寝間着ではなかった。
それは、彼女の白い肌を月明かりのように透かす、薄いシルクのネグリジェだった。色は、夜空に溶ける前の、淡い薄紫。繊細なレースが胸元と肩を縁取り、彼女自身が持つ豊満な曲線を、彼女の自覚を遥かに超えて、艶やかに描き出していた。

セレスは、息を呑んだ。
いつも、その温かさ、無垢さ、そして彼女の魂そのものに焦点を当てていた。だが今、目の前にいるのは、紛れもなく、成熟した「女」だった。

「あのね」
向日葵は、彼の凍りついた視線に気づいていないのか、それとも気づかないふりをしているのか。少し恥ずかしそうに、裾を指で弄んでいる。
「これ、パトスさまが……『最高のミューズには、最高の舞台衣装が必要だ!』って、いきなり聖域から投げてきて……。ちょっと、大人っぽすぎ、かな……?」

セレスは、ゆっくりと息を吐いた。
喉が、ひどく乾いていた。
彼は、持っていた薬湯のカップを、カタリと音を立てて机に置いた。

「……パトスには」
彼は、自分でも驚くほど低く、掠れた声で言った。
「……礼を言うべきか、それとも、その趣味の良さを呪うべきか……迷うところだな」

「え?」
「いや」
彼は、ゆっくりと彼女に向かって歩いた。
その薄紫の瞳は、もう彼女の顔だけを見てはいなかった。レースの縁取りから、滑らかな肩のライン、そしてシルク越しに浮かび上がる、彼女の柔らかな輪郭へと、熱を帯びた視線を滑らせていく。

向日葵は、その露骨な視線に、ようやく事の重大さを理解したかのように、頬を真っ赤に染めた。
「あ、あの、セレスさん……?」

セレスは、彼女の目の前で足を止めると、まるで貴重な毒薬に触れるかのように、そっと指先を伸ばした。
そして、彼女の肩にかかる、滑らかなシルクの生地に触れた。
「……君は」
彼は、呻くように囁いた。
「……本当に、俺の理性を試す天才だな」

「だって……」
「君は、自分が今、どんな姿をしているか、分かっているのか? この姿で、俺の私室に、無防備に入ってくることが、何を意味するか」
彼の指が、肩から、レースの縁をなぞるように、鎖骨へと滑る。
向日葵の体が、びくりと熱く跳ねた。

「……セレスさんに……」
彼女は、上目遣いで、潤んだ瞳で彼を見上げた。
「……セレスさんに、一番に、見てほしかった……から……」
その答えは、彼に残されていた最後の理性を、焼き切るのに十分すぎた。

「……ああ、そうか」
セレスは、諦めたように息をつくと、彼女の腰を強く引き寄せた。
抵抗する間もなく、彼女の柔らかな体は、彼の硬い胸板に押し当てられる。
「……ならば、その責任は、きちんと取ってもらう」

彼はそう言うと、彼女の耳元に、熱い息を吹きかけながら囁いた。
「……他の誰にも、神々(パトス)にさえ、二度とその姿を見せるな。……これは、俺だけのものだ」

返事を待たず、彼はその赤い唇を、深く、貪るように塞いだ。
シルク越しに伝わる彼女の熱が、彼の腕の中で、急速に蕩けていくのを感じながら。
セレスの唇は、いつもの揶揄うような優しさとは似ても似つかない、熱い鉄を押し当てるような激しさだった。
それは、彼が長年抑圧してきた「本音」そのものだった。図書館での、戸惑いを隠せない最初のキスとも、薬草室での、泣きそうな顔で求めてきた告白のキスとも違う。
これは、疑う余地のない、純粋な「所有」の刻印だった。

向日葵は、その激しさに息を呑み、彼の黒い室内着の襟を強く握りしめた。
シルクのネグリジェは、驚くほど薄かった。彼の硬い胸板と、自分の柔らかな肌の間にあるのが、まるで布一枚ではないかのように、互いの熱が境界を越えて混じり合っていく。

セレスの理性が、悲鳴を上げていた。
パトスが、なぜこの淡い薄紫の色を選んだのか、今なら痛いほど分かる。
それは、彼が調合する薬草の中で、最も扱いが難しい花の色だった。微量であれば万病を癒やすが、一滴でも分量を間違えれば、理性を焼き切る猛毒となる、惑わしの花。

(あの神は、分かっていてこれを……!)

彼は、唇を離さないまま、片手で彼女の腰を抱き寄せ、もう片方の手を彼女の背中に滑らせた。指先が、滑らかなシルクの上を走り、その下にある、彼女のしなやかな背骨のラインをなぞる。
その感触に、向日葵の体が、びくりと甘い痙攣を起こした。

「ん……せれ、すさ……」
彼女が、かろうじて漏らした吐息が、彼の熱をさらに煽る。

セレスは、名残惜しそうに、しかし荒い息遣いで唇を離した。だが、その顔は彼女から離れない。彼の額は彼女の額に押し当てられ、その薄紫の瞳は、零距離で、獲物を射貫くように彼女を見つめていた。
「……パトスには」
彼は、ひどく掠れた声で、もう一度言った。
「……後で、丁重に礼を言わねばなるまい。俺の知らなかった、君の最も美しい姿を、教えてくれたことへのな」

彼の熱っぽい視線が、レースの縁取りから、上気した彼女の胸元へと落ちる。
向日葵は、その視線に焼かれるかのように、顔を真っ赤にした。
「だ、だって……あなたが、いつも……私を子供みたいに扱うから……」
「子供?」
セレスは、心底おかしそうに、しかし笑えずに、喉の奥で低く息を吐いた。
「……こんな姿で、俺の前に立っておいて、まだそんなことが言えるのか」

彼の指が、彼女の肩紐にかかっていたレースに触れ、そのまま、ゆっくりと滑り落ちる。
シルクが肌から離れる、ぞくりとする感触。
白い肩が、あらわになる。

「……君は、毒だ」
彼は、まるで自分自身に言い聞かせるように、呟いた。
「俺が何年もかけて築いてきた、冷静と、理性と、自己防衛の全てを……融かしきる、甘い毒だ」

その言葉に、向日葵の瞳が、潤んだ。
怯えたのではない。
彼女は、彼の胸ぐらを掴んでいた手を、そっと離すと、震える指先で、彼の頬に触れた。
そして、彼が驚くのも構わず、大胆にも、その唇に、自分から軽く触れるだけのキスをした。

「……なら」
彼女は、真っ直ぐに彼を見つめ返して、囁いた。
「セレスさんも、私の毒になって」
「……!」
「あなたが、私なしじゃ、もう平気でいられないみたいに……私も、あなたに、めちゃくちゃにされたい……」

その、無垢な顔で放たれた、あまりにも扇情的な言葉。
セレスの中で、最後の何かが、完全に焼き切れた。

「……ああ」
彼は、降伏するように、深い息を吐いた。
「……君は、本当に、俺を殺す気だな」

次の瞬間、彼は、向日葵の膝裏と背中に腕を差し入れ、その軽い体を、いとも容易く抱え上げた。
「きゃっ!?」
「その望み、叶えてやろう」
彼は、もう、いつものヒーラーの顔などしていなかった。ただ、一人の雄として、渇望に満ちた笑みを浮かべていた。
「君が、その生意気な口を、二度と叩けなくなるまで……俺の毒で、満たしてやる」

セレスは、彼女を抱えたまま、薬草室の奥にある、彼自身の寝室へと、迷いなく足を踏み入れた。
彼が淹れようとしていた薬湯のカップが、机の上で、ぽつんと冷めていくのを、誰も知らなかった。
セレスの私室は、薬草室の奥にあり、外界の光をほとんど遮断していた。
彼の几帳面さを示すように、書物が整然と並び、空気は乾燥した薬草と古いインクの匂いが微かに漂う。そこは、彼の精神そのもののような、静かで、冷たく、整然とした空間だった。

その中央にある、彼自身の寝台――シーツ一枚乱れていない、硬質な黒いベッドの上へ、セレスは向日葵を、まるで貴重で壊れやすい硝子細工を置くかのように、ゆっくりと降ろした。

淡い薄紫のネグリジェが、黒いシーツの上で、禁断の花のように鮮烈に浮かび上がる。
彼女は、突然の浮遊感から解放され、シーツの上に座ったまま、彼を見上げた。乱れた黒髪が、薄いシルク越しに見える白い肩に張り付き、その瞳は不安と、それ以上の熱っぽい期待に潤んでいた。

セレスは、すぐには動かなかった。
ベッドの傍らに立ったまま、その姿を、目に焼き付けるように見下ろした。
いつもは彼女の無垢な好奇心や、屈託のない笑顔に救われていた。だが今、彼の目に映っているのは、レースの縁からこぼれ落ちそうな、柔らかな胸の膨らみ。恥じらいに染まり、微かに開かれた唇。そして、シーツの上で無防備に投げ出された、絹に包まれた滑らかな脚のライン。

(……ああ、これは)
彼の喉が、ごくりと鳴った。
(……これは、俺の知っている向日葵ではない。……いや、これこそが、俺だけが知ることを許された、彼女の本当の姿だ)

ヒーラーとしての冷静な思考は、もう頭の片隅にも残っていない。
残っているのは、この無垢な毒を、骨の髄まで味わい尽くしたいという、一人の雄としての、原始的な渇望だけだった。

「……セレスさん……?」
彼女が、彼の沈黙に耐えかねたように、不安げに名を呼んだ。その声が、彼の最後の理性を引きちぎる。

彼は、ゆっくりと片膝をベッドの上に乗せた。
ギシリ、と寝台が重みに軋む。
向日葵の体が、その音にびくりと震えた。
彼は、もう片方の膝も乗せ、彼女に覆いかぶさるように、四つん這いでゆっくりと距離を詰めた。
逃げ場はない。
彼女は、シーツを掴んだまま、じりじりと後ずさろうとしたが、すぐに背中がヘッドボードにぶつかった。

「……どこへ、逃げるんだ?」
彼の声は、低く、甘く、そして獲物を追い詰めた獣のように、絶対的な自信に満ちていた。
「……に、逃げて、ないです……♡」
「そうか」

彼は、彼女のすぐ目の前で動きを止めると、その顔を覗き込んだ。
「……なら、なぜ、そんなに震えている?」
彼の指が、再び、彼女の肩を縁取るレースに触れた。今度は、ためらいなど一切ない。
その指は、レースの感触を確かめるかのように、ゆっくりと、鎖骨のくぼみをなぞっていく。

「ひ……っ♡」
向日葵が、甘い悲鳴を漏らした。
「……ここが、熱い」
彼の指が、彼女の喉元、トクントクンと激しく脈打つ、柔らかな肌に触れた。
「……君の心臓の音が、ここまで聞こえる。……俺を、呼んでいるのか?」

「……呼んで、ます……♡」
彼女は、涙目になりながらも、彼の手から逃げなかった。
「……セレスさんの、毒……早く、ください……♡」

その、あまりにも扇情的なおねだり。
セレスは、低く、喉の奥で笑った。
「……ああ。……本当に、君は」

彼は、もう言葉を続けなかった。
その熱い指を、彼女の喉元から、ゆっくりと、胸元のレースの中心へと滑らせていく。
シルクの薄い布地越しに、彼女の熱が、彼の指先を焼いた。

「……まず、その生意気な唇からだ」
彼はそう囁くと、今度は逃がさないとでも言うように、彼女の顎を片手で固定し、その潤んだ唇に、深く、ゆっくりと、己のそれを重ね合わせた。

それは、もう口づけではなかった。
彼女の息を、思考を、その魂ごと、自分のもので塗りつぶすための、甘く、絶望的な、侵食の始まりだった。
その口づけは、侵食だった。
セレスの唇は、彼女の柔らかさを確かめるように、まず優しく触れ、しかしすぐに、その本性を現した。まるで何年も乾ききっていた旅人が、ようやく見つけた泉の水を貪るように、深く、執拗に、彼女の息を奪っていく。

彼女が「セレスさんの毒が欲しい」と口にした、その生意気な唇。彼は、その言葉の甘さを確かめるように、舌先で彼女の下唇をなぞり、微かに開かれた隙間から、熱い息と共に侵入した。

「ん……っ、ふ……♡」

向日葵は、その熱量に驚いて、声にならない声を漏らした。
彼の口内は、彼が淹れようとしていた薬湯のように、苦く、そして熱い。だが、その奥には、彼自身が持つ、抗いがたい甘さがあった。
彼女の小さな手は、最初は彼の胸を押しのけようとしたが、すぐにその力は抜け、彼の黒い室内着の襟を、救いを求めるように、シーツが白くなるほど強く握りしめた。

セレスの、ヒーラーとしての冷徹な頭脳が、この瞬間、最も雄弁に働いていた。
彼は、彼女の体のどこを触れれば、彼女がどう反応するかを、知り尽くしていた。
彼の片手は、彼女の顎を固定していたが、もう片方の手は、まるで薬草の効能を確かめるかのように、薄いシルクの上を滑っていた。
指先が、華奢な肩甲骨のラインをなぞり、脇腹の、最も敏感な部分を、わざとゆっくりと通過する。

「あ……っ、や……♡」
彼女の体が、彼の指の動きに合わせて、びくり、びくりと甘く痙攣する。
その反応の一つ一つが、彼の理性をさらに焼き切っていく。

彼は、ゆっくりと唇を離した。
だが、それは解放ではなかった。
互いの唇の間には、熱い銀の糸が引き、二人の荒い息だけが、静かな寝室に響き渡った。
セレスの薄紫の瞳は、もう、いつもの冷静な光を失っていた。そこにあるのは、獲物を前にした獣の、暗く、ねっとりとした独占欲の色。

「……君は」
彼は、ひどく掠れた声で、彼女の耳元に囁いた。その唇が、彼女の耳たぶを軽く食(は)む。
「……俺が、どれだけ我慢してきたか、分かっていないだろう」

「ひゃ……っ♡」
耳元への直接的な刺激に、向日葵の全身が弓なりにしなった。

「君が、無防備に俺の部屋で眠ったあの日。……君が、俺の膝の上で、無邪気に笑ったあの日……」
彼の言葉に合わせて、その手が、ゆっくりと、彼女の体の中心へと向かっていく。
指先が、レースの縁をなぞり、シルク越しに、彼女の胸の柔らかな膨らみにかかる。

「その、無垢な顔の下に、こんな……こんな熱を隠していたなんてな」
彼は、布越しでは物足りないとでも言うように、指先で、その頂点を、軽くこねた。

「あ……! あう……っ♡ だ、だめ……そこ、は……♡」
「駄目か?」
彼は、意地悪く、その動きを止めた。
「……君が、望んだんだろう? ……俺の毒で、満たしてくれ、と」

その言葉に、向日葵は、羞恥と快感で、涙目になったまま、ふるふると首を横に振った。
「……だめ、じゃ、ない……です……♡」
「……そうか」

彼は、満足そうに、低く喉を鳴らした。
「……利口な子だ」

彼は、もう、彼女の返事を待たなかった。
その薄いシルクの肩紐に指をかけ、まるで貴重な薬包紙を開くかのように、ゆっくりと、しかし確実に、それを肌から引き剥がしていく。

淡い薄紫の布地が、彼女の火照った白い肌から滑り落ち、月明かりに照らされた、成熟した果実が、彼の眼前に、無防備に晒された。

「……ああ」
セレスは、その完璧な光景に、感嘆とも、降伏ともつかない、深い息を漏らした。
「……これが、君か」

彼は、その美しさに、まるで祈りを捧げるかのように、顔を埋めた。
薬草の苦い匂いと、彼女の肌から発散される、甘く、純粋な匂いが混じり合う。
彼が、その熱い舌先で、初めて、彼女の肌に、直接「毒」を注ぎ込んだ瞬間――

「あ……ああああああっ……♡♡」

向日葵の、理性が焼き切れた、甘く長い悲鳴が、セレスの静かな寝室を、満たした。
向日葵の絶頂を孕んだ悲鳴は、セレスの自制心を、完膚なきまでに打ち砕いた。
彼は、その音を勝利の凱歌のように聞きながら、ゆっくりと顔を上げた。彼の薄紫の瞳は、もはや理性の光など欠片も宿しておらず、ただ、目の前の熟れた果実をどう味わい尽くすかしか考えていない、暗く、ねっとりとした熱に濁っていた。

「……は……っ、あ……ひ、ぁ……♡」
向日葵は、肩で荒い息を繰り返している。初めての強烈な快感に、思考が真っ白に焼き切れていた。あらわにされた胸は、彼の唾液で濡れそぼり、冷たい空気に触れるたびに、びくびくと愛らしく痙攣した。

「……なんと、愛らしい声で鳴くんだ、君は」
セレスは、その芸術品を眺めるように目を細め、掠れた声で囁いた。
「……ヒーラーとして、無数の体を見てきたが……これほど、正直で……これほど、美しい反応(・・・・)をする体は、初めてだ」

彼は、その言葉を証明するかのように、もう一度、その赤く色づいた頂に、ゆっくりと舌を這わせた。
「ひぃ……っ♡♡ だ、だめ、ま、まって……♡」
「待たない」
セレスは、冷酷に、しかしどこまでも甘く言い放った。
「君が望んだんだろう? ……俺の毒で、満たされることを」

今度は、優しさなどかなぐり捨て、軽く、しかし確実に、歯を立てた。
「い、い゛……っ、あ……♡♡」
痛みと快感が同時に全身を駆け巡り、向日葵の背中が、黒いシーツの上で、弓なりにしなった。彼女の脚は、シーツを掻き乱し、その指先は、もう彼の服を掴む力もなく、ただ、シーツを固く握りしめている。

セレスは、彼女の反応に満足し、その場所から唇を離すと、今度は、その双丘の、柔らかな谷間へと、顔をうずめた。
「……はぁ……」
彼女の肌から立ち上る、甘く、火照った匂いを、彼は深呼吸するように吸い込んだ。
「……いい匂いだ……。君の匂いと……俺の匂いが、混じって……」

彼の片手は、いつの間にか、彼女の腰を包んでいた。
その指先が、まだシルクに包まれたままの、彼女の腹部を、ゆっくりと、撫で始める。
薄い布地越しに、彼の冷たい指先と、彼女の燃えるような肌の熱が、鮮烈なコントラストを描く。

「んん……っ♡ そこ……へん……♡」
「ここか?」
彼の指が、彼女の臍(へそ)のあたりを、くすぐるように、円を描く。
彼女の体が、よじれるように反応する。
「……君は、全身が敏感なんだな。……まるで、この瞬間のために、熟してきたかのようだ」

彼は、その熱い腹部に、顔を寄せた。
そして、その薄いシルク越しに、彼女の肌に、熱い口づけを落とした。
「ひ……っ♡」

シルク一枚を隔てただけの、生々しい熱。
「……まだ、こんな布(もの)が、邪魔だな」
彼は、そう呟くと、彼女の腰に回していた手を、さらに下へと滑らせた。
ネグリジェの、ふわりとしたレースの裾。
その禁断の境界線に、彼の指が、ゆっくりとかかった。

「……セレスさん……♡」
向日葵が、これから何が起ころうとしているのかを察し、怯えと、それ以上の期待が入り混じった、甘い声で、彼の名を呼んだ。

セレスは、顔を上げ、その潤みきった瞳を、まっすぐに見つめ返した。
「……もう、後戻りはできないぞ、向日葵」
彼は、最後通告のように、静かに言った。
「……俺の毒は、一度飲めば、君の全身に行き渡る。……君はもう、俺なしでは、生きていけない体に、なる」

その言葉に、向日葵は、答えなかった。
ただ、その震える腕を、必死に伸ばし、彼の首に、しがみついた。

それが、彼女の答えだった。

「……愚かで、愛おしい、俺の小鳥だ」
セレスは、そう呟くと、彼女の首筋に顔をうずめ、その柔肌に牙を立てるかのように、深く吸い付いた。
同時に、彼の指は、ためらいなく、最後の楽園を隠す、薄いシルクの裾を、ゆっくりと、捲り上げていった。

セレスの指先が、彼女の、まだ誰にも知られざる花園に、初めて触れた。

「……っ、あ……ああっ……♡♡」

向日葵の体が、シーツの上で、打たれたように跳ねた。 声にならない悲鳴が、彼の指に塞がれる。 そこは、彼が胸に触れた時とは比べ物にならないほど、敏感で、熱く、そして彼の手を待っていたかのように、じっとりと、甘い蜜で濡れていた。

「……なんと、正直な体だ」 セレスは、低く、喉の奥で笑った。その薄紫の瞳は、目の前の、無垢な聖域が、自らの指一本で、かくも淫らに反応することに、暗い歓喜を覚えていた。

「……ヒーラーとして、無数の生命の神秘を見てきた。だが、これほど……清浄でありながら、これほど、雄の指を……受け入れる準備ができている場所は、初めてだ」

彼の指は、もうためらわない。 だが、彼は、すぐには、その全てを奪おうとはしなかった。 彼は、医術師だ。 生命を、その構造を、快楽の在処を、知り尽くしている。 そして、目の前の少女は、あまりにも脆く、尊い、初めての器。

(……いきなり、俺の毒を注ぎ込めば、この娘は壊れてしまう)

彼は、その指先で、まず、その小さな蕾を、ねっとり、と、こねた。
「いや……っ♡ だめ、そこ、は、だめぇ……っ♡♡」
「駄目か?」
彼は、意地悪く、その動きを、より執拗に繰り返した。
「……だが、君の体は、嘘をつけないようだ。……こんなに、蜜を溢れさせて。俺を、求めていると、叫んでいる」
「あ、あ……♡ 求めて、る……っ♡ セレスさん、を……♡」

彼女の、涙声の降伏。 「……いいだろう」 彼は、そう呟くと、その溢れ出る蜜を、指先で掬い取った。 そして、その蜜を、彼女の、まだ固く閉じられた、狭い入り口へと、塗り広げた。

「ひ……っ♡♡ な、なに、する、の……♡」
向日葵の腰が、逃げようとして、びくりと跳ねる。

「……『慣らし』だ」 セレスは、冷徹な医者が診断を下すように、しかし、その声は熱に浮かされて、ひどく甘く響いた。
「……君は、初めてなんだろう。……このまま、俺の全てを受け入れれば、君は痛みで壊れてしまう。……それは、本意ではない」

彼は、そう言うと、その濡らされた入り口に、自らの指の、先端を、当てた。 「……少し、痛むぞ。……だが、すぐに、快楽に変えてやる」

「え……あ、まっ……♡」 彼女が何かを言う前に、彼は、その指を、ゆっくりと、しかし容赦なく、彼女の内部へと、差し入れた。

「―――っ♡♡♡!」

痛み、ではなかった。 だが、今まで感じたことのない、異物が内側をこじ開けてくる、圧倒的な「侵入」の感覚。 向日葵の体が、弓なりにしなり、声にならない悲鳴が、喉の奥で、くぐもった音を立てた。

「……っ、い……た……こわ、い……♡」 彼女の目から、涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。

「……ああ、痛いか。……そうだろうな」 セレスは、その指を、ほんの第二関節まで差し入れたまま、動きを止めた。 彼は、その内部が、どれほど狭く、どれほど彼を拒絶し、しかし、どれほど熱く彼を締め付けているかを、指の神経の全てで、感じ取っていた。

(……信じられん。……こんな、こんな狭さで、俺を……受け入れると、言ったのか、この娘は……)

彼の内側で、独占欲と、そして、この無垢な体を壊しかねないという焦燥が、渦を巻く。 彼は、空いている方の手で、彼女の涙を、そっと拭った。
「……力を抜け、向日葵。俺を、信じろ」 彼の声は、まるで呪文のように、静かで、優しい。
「……君のその痛みは、俺が、全て……快楽で、上書きしてやる」

彼はそう言うと、彼女の耳元に、そっと唇を寄せた。 そして、その指をゆっくりと内部で動かし始めた。 最初は、ただ、内壁をなぞるように、優しく。

「ん……っ、ふ……♡ あ……♡」 痛みの合間に、奇妙な、むず痒い感覚が、走り始める。
「……そうだ。……そこは、君が、一番感じる場所だ」
セレスは彼女の反応を正確に読み取っていた。 彼は、意図的に、指の腹で、その一点を、ぐ、と押し上げた。

「あ……! ああああっ……♡♡ そこっ、だめ……っ♡♡」
「駄目じゃない」 セレスは、低く笑った。
「……『もっと』、だろう?」

彼は、その一点を、執拗に、擦り上げ始めた。 同時に、その狭い内壁を、指で、広げるように、かき混ぜる。
「あ、あ、あ……っ♡♡♡ とろ、け……ちゃう……♡♡ せれす、さん……っ♡♡」
もう、痛みはどこかへ消え去っていた。 あるのは、彼の指がもたらす、脳が焼き切れるような、未知の快感だけ。 彼女の腰は、先ほどとは違い、逃げるどころか、彼の指を、もっと奥へと受け入れようと、自ら、シーツの上で、揺れ始めた。

「……ああ、そうだ。……上手だ、向日"葵」 彼は、その淫(みだ)らな姿に、満足そうに、目を細めた。 「……だが、これでは、まだ、足りないだろう?」

彼は、そう言うと、差し入れていた一本指の隣に、そっと、二本目の指を、添えた。

「え……っ♡ ま、まって……むり、そんな……っ♡」
彼女が、その太さに、怯えて、腰を引こうとする。 だが、セレスは、それを許さなかった。 彼は、彼女の腰を、片手で、黒いシーツに、強く押さえつけた。

「……もう、逃がさない」
彼は、そう宣告すると、彼女の、溢れんばかりの蜜で、ぬるぬると滑るようになった入り口に、その二本の指を、一気に、根本まで、突き入れた。

「―――っっ♡♡♡♡♡!!!!」

今度こそ、声にならない、絶叫。 内部が、はちきれそうに引き伸ばされる、圧倒的な「充満感」。 彼女の頭は、真っ白になり、ただ、彼の名も呼べず、あえぐことしかできなかった。
「……は……っ、あ……ああ……♡♡♡」 セレスは、その内部で、二本の指を、ゆっくりと、開閉させた。 彼女の柔らかい内壁が、彼の指の形に合わせて、くちゅ、くちゅ、と、水音を立てる。
「……どうだ、向日葵」 彼は、彼女の耳元に、自分の熱い吐息を、吹き込んだ。
「……俺の指で、こんなに、満たされて……。……もう、感じているんだろう?」

「あ……あ……っ♡♡ 感じ、てる……♡ すご、……おっきい……♡♡」

「……ああ。……だが、これでも、まだ、足りない」

セレスは、その薄紫の瞳を、暗い熱で、ギラギラと輝かせた。
「あ……っ、ま、まって……セレスさん……っ♡」
彼女は、恐怖と、それ以上の期待が入り混じった、甘い悲鳴を上げた。
「もう、待たない」

彼は、彼女の懇願を、まるで媚薬のように受け取ると、その三本目の指を、彼女の、すでに蜜でぬかるんだ入り口へと、容赦なく押し当てた。

「―――っっ♡♡♡♡♡!!!!」

今度こそ、声にならない、絶叫。
二本の指とは比べ物にならない、圧倒的な「太さ」と「異物感」。
彼女の内壁が、はち切れんばかりに引き伸ばされる。
「む、むりぃ……!♡♡ こわ、れちゃう……っ、あ……あああっ……♡♡」

「壊れない」
セレスは、彼女の体をシーツに押さえつけたまま、その三本の指を、ゆっくりと、しかし確実に、根本まで、ねじ込んだ。
ぐぷり、と、生々しい水音が、彼の寝室に響き渡る。
彼女の狭い内部は、もう、彼の指の形で、完全にこじ開けられていた。

「……は……っ、はぁ……っ♡♡」
向日葵は、口を半開きにしたまま、荒い息を繰り返すしかできない。もう、痛みなのか快感なのか、何も分からなかった。ただ、自分の内側が、彼の手で、めちゃくちゃに「開かれて」いく感覚だけが、彼女のすべてを支配していた。

「……どうだ、向日葵」
セレスは、その内部で、三本の指を、ゆっくりと、開閉させた。
`ぐちゅ、ぐちゅ`、と、彼の指が内壁をかき混ぜる、淫らな水音。
「……俺の指で、こんなに、いっぱいだ……♡」
「あ……あ……っ♡♡ いっぱ、い……♡♡♡」

彼は、その反応に満足し、今度は、その三本の指で、先ほど見つけた、彼女の、最も感じる「蕾」を、内側から、強く、えぐった。

「あああああっ……!♡♡♡ そこ、だめ……! い、いっちゃう……いっちゃうからぁ……っ♡♡♡」

「……行け」
セレスは、冷酷に、しかし、その声は熱に浮かされて、ひどく甘く響いた。
「……俺の指だけで、果てろ。……君が、俺の『毒』を、どれだけ欲しているのか……その体で、証明してみせろ」

彼は、その言葉を合図に、三本の指を、激しく、抽挿させ始めた。
もう、手加減などない。
彼女の内部を、かき回し、こすり上げ、その一点を、執拗に、罰するかのように、突き続ける。

「あ、あ、あ、あああああっ……♡♡♡♡」
「だめ、だめだめだめ……っ♡♡♡」
「ああああああんっ……♡♡♡♡!!!!」

向日葵の体が、シーツの上で、白く、大きく、弓なりにしなった。
彼女の瞳は、白目を剥き、その小さな体は、けいれんするように、ビクビクと震え続けた。
彼女の内部が、彼の指を、まるで生き物のように、ぎゅう、ぎゅう、と、締め付ける。

「……は……っ、はぁ……っ、はぁ……♡」
絶頂の嵐が過ぎ去り、彼女は、まるで打ち上げられた魚のように、シーツの上で、浅い呼吸を繰り返した。
涙と、汗と、彼の指が引き出した蜜で、彼女の体は、ぐっしょりと濡れそぼっていた。

セレスは、その内部で、痙攣の余韻に浸る内壁を感じながら、満足そうに、目を細めた。
「……素晴らしい。……俺の指だけで、これほど、感じるとはな」

彼は、その指を、名残惜しそうに、しかし、ゆっくりと、引き抜き始めた。
ずぷ、……くちゅ、……
満たされていた内部から、彼の指が離れていく。
そのたびに、向日葵の体が、「行かないで」とでも言うように、びくりと震えた。

そして、彼の指が、完全に、引き抜かれた、その瞬間。
「あ……っ♡♡」
強烈な「喪失感」と「虚無感」が、彼女を襲った。
「……や……♡ いかないで……♡ もっと、ほしい……♡」
彼女は、もう理性が働かない頭で、本能のままに、彼に手を伸ばした。

セレスは、その濡れた手を、自分の唇へと運び、彼女の蜜を、ゆっくりと、舐め取った。
「……ああ」
彼は、その甘美な味に、恍惚と、目を閉じた。
「……ひどい味だ。……君は、俺を、狂わせる……」
彼は、その手を離すと、ついに、自らの黒い室内着の帯を、完全に解き放った。
「……泣くな、向日葵」
彼自身の、もう我慢の限界を超えた「毒」が、その全貌を現す。
「……さっきのは、ただの『準備』だ」
彼は、その熱く、硬く、彼女の指など比べ物にならないほどの「楔」を、その手に掴んだ。
そして、彼女の、まだ絶頂の痙攣が残る、濡れそぼった入り口へと、その先端を、押し当てた。
「ひ……っ♡♡♡」
肌と肌が触れ合う、圧倒的な「熱」と「存在感」。
「……さあ」
セレスは、彼女に覆いかぶさり、その耳元に、最後の宣告を囁いた。

「本当の『毒』で、君の全部を、満たしてやる」

その宣告は、向日葵の脳髄を、甘く、痺れさせた。
彼女の濡れそぼった入り口に、彼の、指などとは比べ物にならない、硬く、熱い「楔」の先端が、ぐ、と押し当てられる。

「ひ……っ♡♡♡」

肌と肌が直接触れ合う、生々しい熱量。
それは、彼女が今まで感じたことのない、圧倒的な「雄(オス)」の存在感だった。
彼女の体は、先ほどの絶頂の余韻で、まだビクビクと痙攣(けいれん)している。それなのに、その入り口は、彼の指によってこじ開けられたまま、まるで、その主(あるじ)の訪れを待ち望んでいたかのように、くぷくぷ、と、蜜を溢れさせていた。

「……怖いか?」
セレスは、彼女に覆いかぶさったまま、その潤んだ瞳を、零距離で覗き込んだ。
その薄紫の瞳は、もう、いつもの冷静な光など宿していない。ただ、目の前の、熟れた果実を、どうやって骨の髄まで味わい尽くすかしか考えていない、暗く、飢えた熱に濁っていた。

「……こわ……い……♡」
彼女は、涙声で、正直に答えた。
「でも……♡ セレスさんの……『毒』……ほしい……♡」

その、恐怖を凌駕する、切なる願い。
それが、セレスの最後の、獣としての本能に、火をつけた。

「……ああ」
彼は、低く、喉の奥で、呻いた。
「……君は、本当に……俺を、狂わせる……」

彼は、もう、待たなかった。
その熱く、滾りきった先端を、彼女の、狭く、熱い入り口に、狙いを定める。
そして、その小さな腰を、両手で、黒いシーツに、強く、押さえつけた。
「逃がさない」

「あ……っ♡」

彼は、ゆっくりと、しかし、一切のためらいなく、その身を、彼女の内側へと、押し沈めていった。

「―――――っっっ♡♡♡♡!!!!」

今度こそ、声にならない、絶叫。
ミシ、と、彼女の内側が、引き裂かれるような、鋭い痛み。
彼の指が、どれだけ「準備」をしたとしても、本物の「楔」の、圧倒的な太さと硬さには、敵わない。

「い……っ、いた……い……っ♡♡♡」
「セレス、さん……! むり、むりぃ……っ♡♡」
彼女は、その強烈な痛みに、シーツの上で、必死に身をよじり、彼から逃れようともがいた。
だが、彼女の腰は、彼の鉄のような腕に、完全に固定されている。

「……ああ、痛いか。……そうだろうな」
セレスは、その身を、まだ半分も埋めたまま、動きを止めた。
彼の額には、汗が浮かび、その表情は、彼女の痛みと、それ以上に、彼女の内部から伝わる、信じられないほどの「狭さ」と「熱」に、苦悶するように歪んでいた。

(……なんだ、これは……)
彼は、息を呑んだ。
(……指で、あれほど広げたというのに……まだ、こんなにも……俺を、拒むように……締め付ける……っ)
(……ああ、だが、なんと……心地いい……)

彼は、その内部で、自らの「毒」が、彼女の処女の膜を突き破り、彼女の血と蜜と、混じり合っていくのを、生々しく感じていた。
「……動くな、向日"葵」
彼の声は、熱に浮かされ、ひどく、かすれていた。
「……すぐに、痛みなど、忘れさせてやる」

「や……っ、だ……! こわ、い……! ぬいて……っ♡」
彼女は、もうパニックになり、涙をぼろぼろと流しながら、彼の胸を、か細い手で、叩いた。

だが、セレスは、その抵抗を、まるで赤子のじゃれつきのように受け流すと、その小さな顎を掴み、無理やり、唇を、奪った。
「ん……っ! むぐ……っ♡」
彼は、彼女の悲鳴を、自らの舌で、塞ぎ込む。

そして、その抵抗が、口づけによって、わずかに緩んだ、その瞬間。

「―――っ!」

セレスは、全ての体重をかけ、残りのすべてを、一気に、彼女の最奥へと、突き入れた。

「んんんんん―――――っっっっっ♡♡♡♡♡!!!!!」

彼女の悲鳴は、彼の口内で、くぐもった絶叫となり、消えた。
ズブリ、と、肉が肉を貫く、鈍く、生々しい音。
彼女の体が、シーツの上で、白く、大きく、弓なりにしなった。
もう、痛みとか、快感とか、そんな言葉では、表現できない。
ただ、自分の内側が、彼の、硬く、熱いもので、はち切れんばかりに、完全に「満たされた」という、圧倒的な「事実」だけが、彼女の全身を、支配した。

「……は……っ、はぁ……っ、はぁ……っ♡」
唇が解放され、二人は、荒い息を、同時に、吐き出した。
セレスは、彼女の内部、その最奥に、自らの楔を突き立てたまま、その圧迫感と、彼女の内壁が、まだ、彼を拒絶するように、ぎゅう、ぎゅう、と、痙攣するのを、感じていた。

「……ああ」
彼は、その耐えがたいほどの、吸い付くような快感に、恍惚と、目を閉じた。
そして、彼女の耳元に、その熱い息を、吹き込んだ。

「……どうだ、向日葵」
その声は、勝利を収めた、雄の甘い響きに満ちていた。
「……これが、俺の、本当の『毒』だ。……君はもう……俺の形で、完全に、満たされた……♡」
「……は……っ、はぁ……っ♡♡」 向日葵は、涙で濡れた睫毛を、かろうじて震わせた。 内側を、はち切れんばかりに満たしている、彼の、硬く、熱い「毒」。 痛い。 痛くて、苦しくて、でも、それ以上に、彼が、自分の中に、本当に「入っている」という、圧倒的な現実が、彼女の思考を、ぐちゃぐちゃにかき混ぜていた。 彼女の内壁は、まだ、その異物の侵入に抗うように、ぎゅう、ぎゅう、と、無意識に、彼を締め付けていた。

「……ああ」
セレスは、その内部の信じられないほどの「狭さ」と「熱」、そして、彼女の無垢な肉が必死に彼を締め上げる、その健気な抵抗に、苦悶とも恍惚ともつかない深い息を漏らした。
(……なんだ、これは……っ……処女の、奥深くとは……これほどまでに、熱く、吸い付くように……男を、受け入れるものなのか……っ)

彼は、まだ、動けなかった。 ただ、彼女の最奥に、自らの楔を突き立てたまま、その、内側から伝わってくる、あらゆる感覚を、味わい尽くしていた。
「……力を、抜け……向日葵……♡」
彼は、彼女の耳元に、その熱い息を、再び吹き込んだ。
「……痛いか?……ああ、痛いだろうな」
その声は、冷酷な宣告とは裏腹に、どこまでも甘かった。
「……だが、それも、今、この瞬間だけだ」

彼はそう言うと、彼女の腰を固定していた両手で、その丸い尻を、鷲掴みにした。
「ひ……っ♡」
「……俺が、今から、その痛みを……全て、快楽で、塗り替えてやる」

その言葉を合図に、セレスはゆっくりと、自らの腰を動かし始めた。 まずは、ほんの数センチ。 突き立てた楔を引き抜き、そして再び同じ場所へとねじ込む。

「ん……っ! あ……い、た……っ♡♡」
引き抜かれる喪失感と、再び貫かれる痛み。 向日葵の体がそのたびに、びく、びくと、シーツの上で跳ねた。
「や……♡ ま、まって……こわ、い……っ♡」
「待たない」
セレスは、彼女の抵抗をまるで無視するように、その動きを一定のリズムで繰り返した。 ずぷ、……ずぷ、…… 生々しい水音が、彼の寝室に、響き渡る。

「……君の体は、正直だ」 彼はその動きを続けながら、彼女の内部のある一点を探っていた。
(……指で、あれほど感じた場所は……ここか)
彼は医者としての正確無比な知識で、彼女の最も敏感な「蕾」を内側から見つけ出した。 そして次の瞬間、彼は腰の角度をわずかに変えた。

自らの、硬く、熱い楔の先端を、そのむず痒い「一点」に、ゴリ、と、擦り付けるように。

「―――っっ♡♡♡♡!!!!」

向日葵の体が今までとはまったく違う、強烈な「快感」の奔流に打たれた。 痛み、ではない。 痛みを遥かに凌駕する、脳が焼き切れるような、甘い痺れ。 「あ、あ、あ、あああっ……♡♡♡ そこ……っ!♡♡」
「そこ、なに……っ!?♡♡」

「……ふ。……やっと、見つけたか」 セレスは、彼女の反応に、満足そうに、低く、喉を鳴らした。
「……そこが君の一番、感じる場所だ。……俺の指であれほどイかされた場所だろう?」

「あ、あ……っ♡♡」
「……さあ」 彼はもう手加減をしなかった。 その「一点」だけを狙い澄まし、自らの腰を、深く、強く、突き上げ始めた。

「あああああっ……♡♡♡!!」
「だめ、だめだめ……っ♡♡! とろけ、ちゃう……! あたま、おかしく、なる……っ♡♡♡」
「なればいい」
セレスは彼女の髪を掴み、その耳元に荒々しく囁いた。
「……俺の毒で、おかしくなれ……っ♡ 俺なしでは、もう、息もできない体に……なってしまえ……っ♡」

彼の全てが彼女の最奥を容赦なく打ち据える。 そのたびに、彼女の敏感な「蕾」が、彼の楔に、無残に擦り潰されていく。 もう痛みはどこにもなかった。 ただ、彼の「毒」が、注ぎ込まれるたびに、全身が灼けるような快感に包まれていく。

「あ、あ、あ、あああああっ……♡♡♡」
「い、イク……! いっちゃう、また……っ♡♡♡」
「……ああ」
セレスは彼女の内部が再び絶頂を迎えようと、きゅううう、と彼を締め付けるのを感じ取った。
「……俺を、見ろ、向日葵……っ!」 彼は彼女の顔を自分に向けさせた。

涙と汗と快感に潤みきった彼女の瞳。 その瞳に、ギラついた顔が映っているのを確認する。
「……君を、こんな、めちゃくちゃにしているのは……誰だ……?」

「せ……れす、さ……♡♡ あなた、の……せ……♡♡」

「……そうだ」
彼は、その答えを聞くと、満足そうに笑った。 そして彼女の二度目の絶頂に、合わせるように、自らの腰を最奥まで、ひときわ深く、突き入れた。

「ああああああああああっっっっっっっ♡♡♡♡♡!!!!!」

彼女の体が大きくしなり、ビクビクビクッ、と激しく痙攣した。 内部が熱い奔流を解き放ち、彼の楔を、何度も、何度も、締め上げる。

「……は……っ、はぁ……っ、はぁ……っ♡♡」
絶頂の嵐が過ぎ去り、彼女はもう指一本動かせないほどぐったりとシーツに沈んだ。 だが、セレスはまだ止まらなかった。
「……素晴らしい、反応だ」
彼はまだ痙攣の余韻が残る彼女の内部で、ゆっくりと自らの熱を動かし始めた。
「……だが、俺は、まだだ」
「え……っ♡ ま、だ……♡?」
「……ああ。……こんなもので、君を、解放してやると思うなよ……?」

彼は、そのぐったりとした体を抱き起こした。 そして、その耳元に、まるで悪魔のように優しく、囁いた。

「……夜は、まだ……始まったばかりだ」

その、地獄の底から響くような、甘く、冷酷な囁き。向日葵は、ぐったりとシーツに沈んだまま、かろうじて彼を見上げた。絶頂の余韻で、目の焦点が合わない。だが、彼がまだ、自分の内側でその熱い「毒」をさらに硬く大きくしているのだけはわかった。

「……あ……♡ ま、まだ……っ♡?」
「ああ。まだだ」

セレスはその返事をすると、彼女の汗でびっしょりと濡れた体をまるで人形のように、ゆっくりと抱き起こした。ぐぷ、と、空気が押し出される淫らな音と共に、彼女の体は、彼の「楔」を、その最奥に突き刺したまま持ち上げられる。
「あ……! ああああっ……♡♡♡」
「だめ、ぬけ……ちゃう……! おく、が……っ♡♡」
座るという体勢の変化。それだけで重力が彼の「毒」を、彼女の今まで触れられなかった、さらに奥深くへと、ズン、と、押し込んだ。向日葵はその、未知の「深さ」に、悲鳴を上げた。セレスは彼女を、自らの膝の上に向かい合うように座らせた。彼女の足は、もうシーツに触れることもできず、彼の腰にか細く、絡みついている。数刻前まで処女だったとは思えない女による、完全な拘束である。彼女はもう、彼の「楔」に、串刺しにされた蝶だった。

「……は……っ、はぁ……っ♡♡」
「ふ、かい……♡ おく、まで……はいってる……♡」
「……そうか」
彼はそう言い、涙で濡れた彼女の顔を、満足そうに見下ろした。
彼は彼女の腰を、両手でがっしりと掴む。
そして、その小さな体を、自らゆっくりと持ち上げた。ずぷ、と生々しい音を立てて、彼の楔が引き抜かれそうになる。

「あ……っ♡ や、だ……! いかないで……っ♡」
彼女が、本能のままに、彼にしがみつく。

「……本当に、欲しがりだな、君は」
セレスは、低く、喉の奥で笑った。
「……ならば、くれてやる」

彼は、彼女の腰を掴んだまま、今度は、容赦なく、その体を、下へと、引き落とした。

「ああああああっ……!♡♡♡♡」

ズドンッ、と、鈍く、重い音。
彼の硬く熱い「毒」の根本まで、彼女の柔らかく、熱い場所が、一気に、貫かれた。
先ほどとは、比べ物にならないほどの「深さ」と「圧迫感」。
彼女の一番奥にある、柔らかい子宮の入り口に、彼の「楔」の先端が、ゴツン、と、突き当たった。

「い……っ、い、た……!♡♡♡ おく、の、おくが……っ♡♡」
「……ああ。……ここだ。……ここが、君の、一番奥だ」
セレスはその感触に恍惚と、目を閉じた。そして、その体勢のまま、彼女の腰を掴み、自らの「楔」の上で、ゆっくりと上下に、動かし始めた。

「あ……っ♡ あ……っ♡ ん、ん……っ♡」
「ふ、か……い……♡ ふか、すぎる……っ♡」
「……もっと、欲しいんだろう?」

彼は、彼女の耳元に囁いた。
空いた方の手で彼女の汗で張り付いた薄紫のネグリジェを完全に引き裂いた。ボタンが、ちぎれ飛ぶ。あらわになった絶頂の余韻で、赤く色づいたままの、豊かな乳房が彼女の動きに合わせて揺れていた。

「……ここも、寂しそうだな」
彼は、その片方を、手で、鷲掴みにした。
そして、その頂点を指先で強く、捏ねてみせた。

「あ……っ♡♡! ああああっ……♡♡♡!」
「だめ、そこ、も……! いま、した、も……っ♡♡」
「……ああ。……上も、下も……俺の毒で、めちゃくちゃだ」

ぐちゅ、ぐちゅ、と、彼が腰を動かすたび、下腹部から淫らな水音が響き渡るそれと同時に、彼女の胸が彼の指に無残にこねくり回される。二方向からの容赦のない快楽の波状攻撃。
「あ、あ、あ……っ♡♡♡ おかしく、なる……♡♡」
「セレス、さん……! わたし、わたし……っ♡♡」
「……ああ、そうだ。……おかしくなれ」
セレスは彼女の蕩けきった表情に満足そうに笑うと、ついに自らの腰を、激しく突き上げ始めた。
「あああああああっ……♡♡♡♡♡!!!!」
「イク、イク、イク……! また、イっちゃうううううっ……♡♡♡♡!!!!」
彼女の体が、三度目の絶頂に大きくしなり、ビクビクビクッ、と激しく痙攣した。その内部が熱い奔流を解き放ち、彼の「楔」を、今までにないほど、強く、強く、締め上げた。

「……っっ!」
その強烈な、吸い付くような締め付け。それはセレスにとっても、限界の合図だった。
「……ああ、くそ……っ♡」
彼は低く、獣のように呻いた。

「……向日葵……っ!」
彼女の腰を砕けんばかりに、強く抱きしめる。
「……俺の毒を……全部、受け取れ……っ!」

彼は、まだ痙攣の余韻が残る、その最奥へと、自らの熱く滾りきった全てを、一滴も残さず注ぎ込んだ。

「――――――っっっっっ♡♡♡♡♡♡!!!!!」

「あ……っ、あ……ああああっ……♡♡♡」
彼女の内部に、彼の熱い「毒」が、奔流となって、流れ込んでくる。その生々しく、圧倒的な充填感。向日葵はその熱さに、再び小さく痙攣した。

「……は……っ、はぁ……っ、はぁ……っ♡」
「……はぁ……っ、はぁ……」

二人の荒い息だけが、静かな寝室に響き渡る。セレスは彼女の最奥に、自らの「毒」を、注ぎ込んだまま、その熱い体を強く、抱きしめていた。向日葵はもう指一本動かせないほど、ぐったりと彼の肩に額を預けていた。
二人の髪が混じり合い、まるでもう、どちらがどちらなのか分からないかのように、黒いシーツの上に散らばっていた。