夢の中の私
◇
「ご馳走様」
「ご馳走様でした」
朝食も食べ終わり、後片付け。
私はいつも食器洗いを手伝っている。
「ヨハンナ、いつもありがとう」
「ううん、母様はゆっくりしててね」
トントン、と玄関の扉がノックされた。
母様が応対すると、お兄のお友達……エディくんとニーノくんだった。
「ルカ、お友達が来てるわよ。遊びに行ってらっしゃい」
「うん……わかった」
「ハンカチと……ほら、寝癖も直して……よし」
「いってきます」
「いってらっしゃい」
§
「母様、洗い終わったわ。私、これから宿題を終わらせて来るね」
「ええ。助かったわ、ありがとう」
リビングを後にして2階への階段を上り 部屋の扉を開けた。
部屋に入り まず目に飛び込んできたのは、あの時と同じ光を放つうさぎのぬいぐるみだった。
「え、何……?」
不思議に思い、ぬいぐるみに手をかけた途端、声が聞こえた。
「ヨハンナ……ヨハンナ、聞こえます?」
「!?……この声」
エイル……?
「そう、エイルよ……良かった、聞こえているようですわね」
「どうして、夢の中の私が…………?」
「いいえ、夢なんかじゃありませんわ。だって貴方はわたしの……―――」
エイルがそう言いかけると、スゥッと光が消えてしまった。
「夢なんかじゃ、ない……?」
//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正