前世







エイルが、私の前世。
あの時、エイルが言おうとしてた事ってもしかして……。


《いいえ。夢なんかじゃないわ。だって貴方は私の―――生まれ変わり、なんだから……》


「よォ」
「!は、はひっ!」


考え事をしている最中に、突然誰かに後ろから話しかけられて変な声が出てしまった。
その声の主は、チトセさんと同じく私より先にここに居た人だった。


「オレ、スパーダ・ベルフォルマってーんだ。よろしくな」
「……!」


スパーダ・ベルフォルマ、って……もしかして……。


「ヨハンナ・ミルダです。よろしくお願いします。って、あの、ベルフォルマ……って、あのレグヌムの……?」


私の問いにスパーダさんは、ああ、そうだ。と首を縦に降った。


「ミルダ、って……聞き覚え、ありませんか?」
「ああ、ある。オマエ、イイトコの嬢ちゃんなんだろ」
「ええまぁ、割と……。あの、昔少しだけスパーダさんの家……ベルフォルマ家に行ったことがあったのですが……」


そう訊くと、あーーーと唸って考え込んでいた。
……けれど、思い出せなかったようで、悪ィな、とだけ言われた。


「そう、ですか……いえ、良いんです。些細なことですから……ありがとうございます」
「てかその敬語。止めねェ?」
「え?」
「別にオレには敬語もさん付けもいらねェよ」
「はい……あ、いえ、うん、分かった、スパーダくん」


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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