アニーミさん







《あらサクヤ。今日は何の花を持ってきてくれたのかしら?》
《はい、今日はペチュニアの花を》
《可愛いお花ね、花言葉は何かしら?》
《『君といると心和む』、……です》
《そんな良い花言葉のお花を持ってきてくれたの?とっても嬉しいですわ!ありがとう、サクヤ》
 

―――

 
《エイル、デュランダルを頼む》
《ええ、かしこまりましたわ》

《こんなにも大切にしてくれる方の手に渡って、デュランダル……貴方はとても幸せですわね》
《これが、幸せというもの……。ならば、我はエイルといる時も幸せだ》
《ふふ、わたしもよ、デュランダル》
 


 
§




 
「ヨハンナ…………ヨハンナ!」


誰かが、私の名前を呼んでいた。
聞き馴染みのある声。
これはお兄の声だ。
気付くと私は寝ていたようだった。
意識がまだぼんやりとしたまま、目を閉じたままお兄に返事をした。


「お兄、珍しいね……私より、早起き、なん、て……」
「んもぉ!寝ぼけないで!起きて、起きてー!」
「ん…………っは!」
 

お兄の大声によって一瞬で意識が覚醒し、今までの状況を即座に思い出した。
そうだ、私捕まって……。
目を開いて頭を上げると、目の前にはお兄と知らない女の子と、……お猿さん?がいた。
お兄、いつの間にガールフレンドを……って、そうじゃない。
内気なお兄に限ってそれは無い。


「何?この子あんたの妹なの?」
「う、うん……」
「初めまして、イリア・アニーミよ。よろしくね」
「あ、ヨハンナ・ミルダ……です。よろしくお願いします」
「ねっ、ココにいるってことは、あんたも転生者なのよね?」
「はい……まぁ。も、ということは……」
「そう、あたし達も……ってコラ!コーダ!人のバッグを漁らないの!」


ガサゴソと私のバッグを勝手に漁るお猿さん。
……か、可愛い。


「ヨハンナ、食べ物持ってたらくれ、しかし」
「あ、あの……?」
「コーダはコーダと言う」
「そう、コーダね。お菓子なら少し入ってるけど……食べる?」
「! 食べるんだな、しかし」
「ちょっあんた、さっきホットドッグ食べたじゃない!ごめんね、こいつ食い意地が張ってて」
「いえ、いいんですよアニーミさん」


というと、ムッとした顔をした後、はぁ、とため息をつかれた。
うそ、私何か悪いことでもした?


「ルカにも言ったんだけどさあ」
「はい?」
「その敬語とさん付け!」
「え?」
「あたしら同い年だから敬語もいらないし、呼び方もイリアでいいわ」
「で、でも……」
「いい?イ・リ・ア!分かった?」


あぁ……この子、自分の言った事は曲げないタイプだ……。


「う、うん。分かったよ、イリア」
「おっけー、それで良ーし♪」


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
 ・ 
[back]