よしよし







「ヨハンナはなんでアイツらに捕まっちゃったのよ?」
「えっと、お兄を探しに外に出たんだけど、魔物に出くわしちゃって。それでコレを使って魔物を倒したの」
「コレって……うさぎのぬいぐるみじゃないの!コレでどうやって戦ったの?!」
「自分でもよく分からないんだけど、多分、こう……やって大鎌に変化させて……」


胸の前にうさぎのぬいぐるみを持ち、頭の中で大鎌をイメージすると、うさぎのぬいぐるみが簡単にポンッと大鎌に変化した。
なるほど、こうするのか。


「これも天術の内……なのかしらね」
「……あ!そうだ!私、お兄に伝えたいことがあったの!」


隣に座っていたイリアにちょっとごめんね、と言い、少し離れたところにいたお兄のもとへ駆け寄った。


「お兄、」
「わ、どうしたの、ヨハンナ?」
「あのね……」


そう言い、お兄が出掛けてから今までのこと――うさぎのぬいぐるみがまた光って喋りだしたこと、お兄を知っていた男性にレグヌムの入り口で会ったことを伝えた。


「……それを僕に伝えたくてレグヌムから出たら魔物に襲われて、そこで天術を使ったらあの人達に見つかって捕まっちゃってここにいる、……ってことね」
「う、うん……」
「家で待っていればヨハンナが捕まることは無かったのに何で街の外に出てきちゃったんだよ……、って言いたいところだけど、それじゃあ僕達しばらく離れ離れになってたかもしれないから、これはこれで良かったのかも」
「ふふ、そうだね」


それから少し話した後、お兄が挨拶くらいはしなきゃね、とチトセとスパーダくんのもとへ行ってしまったので、私はイリアの所へ戻った。


「イリア、飴、食べる?」
「いいの?ありがと」
「お兄から聞いたよ、マティウスって人の事、イリアの村の事。……辛かったね」
 

よしよし、とイリアの頭を撫でた。

 
「ばっばか、もうそんな事される年でもないっての! ――でも、……ありがとね」
「……うん、」


ぽふ、とイリアの頬が赤みがかった。
それが可愛くってもっと撫でてあげたら、撫ですぎ!と少し怒られた。






→スキット「私とイリア1




//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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