センサス







それからしばらく経ったある日、デュランダルの使い手が見つかった。とお父様から告げられた。


「……デュランダル、お別れよ」
「エイル……我は、魔槍のようにはならぬ。約束しよう」
「……ええ」
「では……さらばだ」


いつかのように、刀身に口付けを落とした。


「出来ることならば……永らくの時を共にしたかった」
「……」


そう呟くデュランダルは、何処か哀愁を帯びていた。




§





デュランダルと別れた日から1週間ほど経ったある日のこと。
なんと今起きている戦争の反乱軍……センサスから呼び出されたのだ。
全く縁のないところからの呼び出しとは、何があったのだろうか……?
センサスの本拠地に案内され、出迎えてくれたのは、主将であるアスラ様と…………見覚えのある刀身。


「デュランダル…?!」
「お前がエイルか」
「は、はい……そうですわ」
「突然の呼び出しにさぞ驚いたことだろう。なに、話は簡単だ。センサスの本拠地に居住し、デュランダルの手入れをお願いしたいのだ」
「手入れ…?」
「ああ。私の手入れの仕方が気に入らないらしい。それに、お前の癒しの術は秀逸と聞いた」


アスラ様が困ったような顔で手に持つデュランダルを見つめる。


「……我は、エイルの手入れの方がしっくりくるのだ」
「ふふ……謹んで、お受けいたしますわ」


それはセンサスに与するということ。
そして、デュランダルとずっと共にいられるということ。


「デュランダル、わたし……頑張りますわね」


//2019.05.01
//2021.10.30 加筆修正
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