あいしてるとごめん
◇
私がこのテントに隠れてしばらく経った。
……やっぱり外の様子が気になる。
テントの外の様子を伺いながら、出てみることにした。
元いた場所に戻ったら、何か思い出せるかもしれない。
そう思い立ち、軍人さんの目を盗みながら歩いた。
しばらく歩いた所に、病院のような場所があった。
壊れた家をそのまま使っていて、屋根がなかった。
物陰に隠れながら中の様子を見ると、金髪の夫婦……?のような男性と女性が子供の治療をしていた。
「死ぬなよ……死なせんぞ!」
「もう勘弁してよ……うちには同じくらいの娘がいるのよ……絶対に死なせない!」
「娘……?」
金髪で蒼眼……どこかで……、
…………
………
……いや、思い出せない。
***
あれから何時間経っただろうか。
あの夫婦を観察していると、褐色の肌の男性が運ばれてきた。
意識を失っているようで、腕や頭からは血が出ていた。
あの人も、見たことある。
名前……なんだっけ。
やがて褐色肌の男性が目を覚ましたようで、手伝いをしていたらしき同じく褐色肌の男の子が傷が開くから動かないで、と制止していた。
その男性は、自分の右腕を見るなり叫んだ。
「なんだこれはぁぁぁぁぁああああああ!!!」
「鎮静剤!」
「ありません!さっきの患者で使い切って……」
褐色肌の男性は、
「国家錬金術師……アメストリス人……許さん…………貴様ら……貴様らに…………」
近くにあったナイフのような物を持ち、金髪の夫婦に向かって振りかぶった。
「ロックベル先生!!!!!!!」
「! ロック、ベル」
ああ、思い出した。
男性は夫婦を刺殺するとどこかへ走り去って行き、同じ褐色肌の人達がそれを追いかけていった。
中にいるのは倒れている夫婦だけ。
私は急いで中に入り、ロックベル夫妻が刺された場所を押さえる。
「あなたは……」
「しなないで、ください」
「……もう良いんだ。私たちはもう助からない。手を離して」
「でも……」
「……私たち、あなたと同じくらいの娘がいてね、」
「ウィンリィ、ですか」
「知っているのね……。じゃあ、私たちからの伝言、頼まれてくれる、かしら……」
「……はい」
実際には会ったことはないけど、とは言えず、了承してしまった。
「ウィンリィ、愛してるわ……って、伝えてもらえる?」
「……それと、帰れなくてごめん、って。頼んだよ……」
夫婦は、私の返事を待たずに息絶えた。
//2022.05.06
//2022.05.06 加筆修正