どこまでも温かい人
◇
1年後、
あれから私は、マスタングさんに「戦災孤児」として孤児院に送ってもらい、そこで暮らしていた。
暮らし始めて1年がたった頃、職員さんが私を玄関口に呼んだ。
1年経ったし、急に追い出されたりとかしちゃうのかな……と、おずおずと玄関口に向かっていくと、そこにいたのは……。
「!!」
そこには青い軍服――ではなく、少しラフなスーツを着こなし、首にストールを掛けているマスタングさんがいた。
隣には、同じく私服であろう洋服を着た綺麗な女性がいた。
「マスタングさん……!」
「やあマム。元気そうで良かった」
「マスタングさんこそ」
「すまないね。仕事が立て込んでいて中々来ることが出来なかった」
「いえ、仕方ないです」
マスタングさんは私を
きっとお仕事が忙しくなったんだ、と自分に言い聞かせていた。
寂しくなかったといえば嘘になる。
「……彼女が、例の……」
「ああ。マム、こちらは私の補佐官の……」
「リザ・ホークアイよ。よろしくねマムちゃん」
手を差し出しながらふわっと微笑むホークアイさん。
その手を取り、笑顔でこちらこそ、と言った。
「マム。今日はね、君と話をしに来ただけではないんだ」
「え……?」
「君を“引き取りに”来た」
「え、」
「これから私と一緒に暮らそう。マム」
それって……それってつまり、マスタングさんと、“家族”になる……ってこと?
私は感極まり言葉が上手く出て来ず、目をぱちくりさせながらマスタングさんを見つめることしか出来なかった。
マスタングさんは、それをOKサインだと受け取ったのか、ふふ、良かった。と目を細めて柔らかく笑った。
「もう話はついているんだ。荷物をまとめて来てくれるかい?」
「…………はい!」
***
荷物を持って車に向かうと、マスタングさんが荷台に積んでくれた。
マスタングさんとホークアイさんと一緒に車に乗り込み、ホークアイさんと共に後部座席に座った。
やがてマスタングさんの運転で車が発進し、心地よい揺れに眠りを誘われてホークアイさんの膝を借りて寝てしまった。
「……寝たか」
「ええ、ぐっすりと。……中佐」
「なんだ?」
「どうしてこの子を……引き取ろうと思ったのですか」
「――この子を初めに見た時、守らなければならないと思った。……そして」
「……はい」
「私の傍に置いておかなければいけない、そう感じた。ただそれだけだ」
「…………そうですか」
//2022.05.06
//2022.05.06 加筆修正