真理の扉
◇
気付くと私は真っ白な空間に立っていた。
360度どこを見渡しても白、白、白。
白以外の色といえば、私から落ちている影の僅かなグレーだけだった。
「…………ここは……?」
後ろから何かの気配を感じ、後ろを振り返ると、先程まで無かったもの――大きな扉があった。
大きな扉は石で出来ているようで、模様が刻まれていた。
この模様に既視感があった。
何故だろうと扉に手を伸ばすと、背後から声が聞こえ、咄嗟に振り返った。
《あー!よく来たねえ》
「…………!」
背後に現れた黒いモヤを纏った白いモノ……。
私はこのモノを知っていた。
知っていた……というよりは、今唐突に思い出した。
「……真理」
《へ〜、知ってるんだ》
私はこの白いモノ――真理に、今まで起きた違和感の事を聞いた。
真理なら知っているはず。そう思った。
真理はケラケラと笑い、そこまでは“思い出せなかった”んだね、と言った。
「……どういう、こと?」
《なら、全部思い出させてあげよっか》
他の奴らのとはちょっと違うけどね、と真理が言った。
背後にあった大きな扉がギギギ……と音を立てて開き、そこから複数の黒い手のようなものが伸びて私を扉の中へと拐った。
扉の中に入ると、頭の中に誰かの記憶が映像で流れ込んできた。
「これは……私?」
私は、ベッドや机などが置かれている――自分の部屋で、漫画のようなものを読んでいた。
あの漫画の表紙には…………鋼の錬金術師、と書いてあり、漫画の中身を覗くことが出来た。
中には……マスタングさんがいた。
ということは、“ココ”は……
《そう。ここはキミが読んでいた漫画の中の世界だ。キミは“この世界”の事を知っている。キミは
「転、生……」
《漫画の中身が、この世界の全容だ。勿論、キミがこの世界に加わった事によってバグ――タイムパラドックスが起きる。そこら辺はよく理解しておくんだね》
記憶の中の私が、1巻、2巻……と漫画を読み進めていた。
そして最終巻を読み終え、クローゼットの中に漫画をしまった。
しまい終え、クローゼットの奥から何か、ヒモのようなものを出した瞬間にバタン! と扉が鳴り、あの真っ白な空間に戻された。
「もうちょっと、だったのに……」
《これ以上は無理だね。代価として取っちゃったから》
「そん、な……」
《さぁて、お帰りの時間だ。これからキミがあの兄弟とどんな物語を紡ぐのか、今から楽しみだよ》
//2022.05.06
//2022.05.06 加筆修正