不器用な人

 「そういえば気になる事があるんだけどさあ」
 
 と司令。

 何ですか?と問えば、
 
 「素朴な疑問なんだけどね、魔法ってヴォルペの人みーんな使えたの?」
 
 「いえ、魔法自体はフックス家に代々伝わるものです」
 
 「ふむ……じゃあその魔法の効果範囲、って言えばいいのかな、どの程度までは治せる?」
 
 「死に目が見えていなければ治せるはずです。 まぁ、実証済では無いのではっきりとは分からないのですが……。 あ、あと、自分自身は治せないみたいです」
 
 「なるほどねえ……ありがとう!キミはやっぱり頼りになるよ」
 
 
§

 
 「ラプター」
 
 「はい?何でしょうシャルさん」
 
 「医務室に行きたいんだけど……どこだったっけ?」
 
 「ああ、それなら……」
 
 操縦席で何やら仕事をこなしていたラプターは、一旦手を止め、医務室へ案内してくれた。
 
 「ありがとう、ラプター」
 
 「いえ!これからはシャルさんがここを使うことになるので、自由に配置換えしていいですからね!」
 
 では!とラプターは医務室を出ていった。
 
 配置換え……と言っても、既に綺麗に整理整頓されていて、薬品1本動かすのも忍びないほど。
 
 「あ、包帯と絆創膏が切れかけてる、」
 
 よく使うのだろう、他のものより減りが早かった。
 
 こういう時はどうしたらいいかと、ラプターに聞きに行こうとして扉を開けた矢先、人とぶつかってしまった。
 
 「っ!えと、スティンガー?どうして?」
 
 「……不注意で、手を切ってしまってな。 絆創膏を貰いに来た」
 
 そう言うスティンガーの指先には、血が滲んでいた。
 
 「あ、それくらいなら私が……」
 
 傷口に手をかざし、念を込めた。
 
 「はい、どうぞ」
 
 「…………ありがとう」
 
 そう言うや否や、すぐに出ていってしまった。

//2018.04.30[back]