ヒーロー

 トントン、と扉をノックする音が聞こえ、バランスかな?と思い、どうぞと返事をした。
 
 扉を開けたのは、バランスではなく、コタローだった。
 
 「シャル姉ちゃん?ちょっと良い?」
 
 「うん、どうぞ」
 
 両手には暖かいココアのカップが握られていた。
 
 ありがとうとコタローの方を見ると、顔をまじまじと見つめられた。
 
 ……何かついてる?
 
 「……泣いてたの?」
 
 嘘をついても仕方ないので素直に首を縦をふった。
 
 「ごめんね。 嫌だったよね、急にこんな所に連れてこられて……」
 
 「ちが、違うの。 両親の事を思い出して……」
 
 「シャル姉ちゃんのお母さんとお父さんって……っあ、そうか……ごめん」
 
 「ううん。 ……あのね、私、あの時コタローが助けてくれて良かったと思ってるよ、ありがとう」
 
 そういうと、暗く沈んでいたコタローの顔がみるみる明るくなって嬉々とした表情になった。
 
 「良かった!」
 
 「まだ全員とはお話出来てないけれど、皆良い人なのは伝わる。 だから本当に、ありがとう」
 
 キミは私のヒーローだね。
 
 そう言うとコタローは、一番の笑顔で応えてくれた。


//2018.04.09[back]