慈愛に満ちて


3-2







「はい、嫌じゃなければ」

『い、行きます』




実は剣持先輩は、私がにじさんじに入るきっかけである人だった。

入ってからちょこちょこ喋る機会も会ったが、2人きりで喋るなんてなかったし、緊張している。



尊敬しているのだ。彼という存在を。


この人が増え続ける業界にいて、自分のやりたいように、好きなようにやり、自分より人生を謳歌している者などいないとはっきり言い張る。


そんな所にリスナーさんは惹かれ、彼の元に集まるのだろう。

私も、剣持先輩みたいな、等身大の私をリスナーに届けたい。だからこそ、今はふわさんに教えて貰って自覚した私の素を、見せたい。

そんなことを、一人で考えていた。







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ファーストフード店に着いて、それぞれ自分の好きな物を頼み、お金を払い席に座る。




「最近、配信はどうですか?楽しくやってます?」


『はい、見てくれる人も増えていますし、楽しくやってます。』


最近、また少しチャンネルの登録者も、前より少し早いスピードで増えている気がする。




「配信者なんて、見てくれている人がいるからこそ成り立つものですからね」


『そう、ですね。』



「……最近、何かいい事でもありましたか」

『えっ、なんで、』



「僕、色んなライバーの配信を一度に何窓もするんですけど、最近あなたの配信を見ている時に、少し前より幼いというか、前より気楽に配信をしているような気がして。」



あ、褒め言葉ですよこれは。実際そう感じる人もいるみたいですし。

と剣持先輩に言われて、息が止まった。




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