慈愛に満ちて


?-?







「、は?」


とあるホストは、YouTubeを見ていた。特にすることもなく、かと言って寝るのもなあと、要するに暇だったのだ。


特に何が見たいなどもなく、そのままおすすめに出てくる沢山のサムネをスクロールしていた所。


「え、これ、〇〇ちゃん、だよな」



びっくりして一瞬息が止まった。
時が止まったのかと思った。

画面上には、自分の好きな女の子が、生放送で雑談をしている動画が編集されてアップされていた。



確かに、その日は吐くくらい飲んで、酔っていた。気分だって低かった。いい出会いとはどう考えても呼べないような出会いだった。


初めて会った時、もう会うことは無いと思うと少しだけ寂しかった。



けれど、けれども。会えてしまったのだ。連絡先も交換せず、またねとも言わなかった。

変な出会い方をしてたくせに、彼女は真摯に話を聞き、答えてくれた彼女に好感を持ち、彼女の悩んでいる話を聞いて、好きになったのだ。



あわよくば自分が、自分だけじゃなくてもいいけど、いや、ほんとうは自分だけがいいけれど。

どうしようもなく、彼女を甘やかしてあげたくなったのだ。彼女に甘えてほしくなったのだ。




まあ、2回目に会った時にテンションが上がってそのまま告白してしまったのだが。

彼女の話も聞いたのはちょっとした興味と、
介護と話を聞いてくれたお礼。
それだけだった、はずなのに。



タップして開いてみると、概要に彼女のチャンネルが貼られていた。



所詮、VTuberと呼ばれるもので彼女は活動していたのだ。



「……んは、秘密って、こういうことだったんだ」




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