慈愛に満ちて


6-1






「あ、〇〇ちゃんだぁ。駅で会うのは結構久々じゃない?」



『……不破さん。』




今日まだ夕方。普通に外に出て、買い物をしていた時だった。


名前を呼んだあの日から、結局羞恥心に襲われて、苗字呼びに戻した。

慣れることはするものじゃないなあ。不破さんは不服そうだったけど、まだ私にはハードルが高い。




「今日?」

『普通にお出かけをしてたの。不破さんは?』

「おれはふらっとしてただけよ。……ねぇ、暇ならこのあとご飯行かん?ちょっと早めの夕ご飯!」



『いい、けど。』


「やっちゃ!じゃあこのまま電車乗ろか」



不破さんと駅以外で対面して喋るのは、これが初めてになった。


「〇〇ちゃん何食べたいとかある?」

『特にないかなあ。ふわさんは?』


「ん〜〜〜……焼肉とかでもい?」

俺も全然考えてなかった、と笑う不破さん。




『ぜんぜんいいよ。じゃあ、お店探す?』

「あ、この辺なら俺分かるかもしれん」

『じゃあ、案内お願いしてもいい?』

「任されましたと。この私、しっかりと姫をエスコートさせていただきます。」


『ふは、なにそれ』

「ホストよホスト」


唐突なホストムーブに笑ってしまった。こんな感じなのかなホストって。



- 19 -

*前次#


目次に戻る