「ね、〇〇ちゃん、これ、あけてみて!」
今日もまた、不破くんと会っていた。
会うならどこで会うとか待ち合わせをすればいいのに、私たちは今日も今日とて、駅で会っている。
『……な、なあに、?これ』
唐突にふわくんからなにかの箱が入った紙袋が渡された。いや本当になんだろう。
「んふ、開けてみてよ。」
『……わかった』
言う気は無いみたいだったから、とりあえず袋から箱を出して、開けてみることにした。
『えっ……お財布?』
「そ!」
そこには、白を基調としたシンプルで、可愛い、女の子らしいお財布が、入っていた。
『……かわいい。……でも、なんで?』
なんで急に、プレゼントなんて。
「嫌やった?」
『ちがっ。ううん、嬉しいよ。でも、私何もあげた覚えないし、なにかした記憶もないから、、』
どちらかと言えば、私が貰いっぱなしなのに。
「んは、そんなことないよ。……んー、ちょっと前からかんがえとったんやけど、いい機会だし、ちょうど〇〇ちゃんに似合うお財布見つけたし、ええかなって」
核心が見えない発言だ。私はくれた理由が聞きたいのに。でも、多分聞いても話してくれないんだろう。
『……いい機会、って?』
「俺この間やりたいこと見つけたって言ったやん、それが叶いそうなんよ。だから、応援してくれた〇〇ちゃんにー、なんて、んはは」
『あ、え、叶いそうなんだ……!おめでとう!』
「んはは!ありがとう!」
2ヶ月前くらいにご飯に行った時、「やりたいことを見つけた」と言っていたふわくん。そうか、叶いそうなんだ。よかった。
『でもわたし、応援してただけだよ』
「それでええんよ。それが、嬉しかったから。」
『……うん。』
本当に、嬉しそうに笑うから。私もこれ以上何かを言うのはやめた。
『叶いそうらしいけど、……私にはまだ教えれない?』
「ん〜〜〜……。まだやねえ、ごめんねえ。あと1ヶ月もしたら、教えれると思うんよ。だから、もうちょっとまっててなぁ。」
あと1ヶ月もしないうち。じゃあ、11月の間にはって、ことなのか。
『……うん、わかった。待ってるね。』
「ありがとぉ。……君はきっと、びっくりするんやろな……んは、」
そんなに、びっくりする内容なのだろうか。
そんなこと言われたら気になるじゃないか……と思いながら、私はちゃんと待つことにした。
そして、貰ったお財布に目を落とす。
『……こんなにかわいいの、本当に貰って良いのかな。』
「ええんよ。〇〇ちゃんに、良く似合うよ。だって、俺が選んどるからね、んふ」
『そう、かなあ』
そうだと、いいなあ。
「そうだよ。私、〇〇ちゃんに似合うものを選ぶのは得意ですので」
『……んふふ、ありがとう。大事に、するね。』
じゃあ、それならきっと。私に、似合うのだろう。少なくとも、不破くんはそう思ってくれている。
「うんうん!大事にしてもろて!おれも財布も喜ぶよ」
『お財布も喜ぶんだ』
「喜びますとも。」
不破くんが明るくしてくれるおかげでぽんぽんと会話が進む。ああ、よかった。あの日、もう一度再会できて。
『じゃあ、一旦仕舞うね。』
「あい!」
傷がつかないよう、そーっと、そーっとまた箱の中に戻した。これは、これから私の大切な、大事なものになった。
家でまた、ゆっくり眺めることにしよう。
『ふふ、早く、中身入れ替えたい。』
「そんなに気に入ってくれたならよかった〜〜〜!急なプレゼントやったし本当はちょっと不安やったわ!」
『そう、なの?……嬉しかったよ。ほんとうに』
「うん……おれも、嬉しいわ。」
2人同時に、はにかむように笑った。