慈愛に満ちて


10-1








「ね、〇〇ちゃん、これ、あけてみて!」



今日もまた、不破くんと会っていた。

会うならどこで会うとか待ち合わせをすればいいのに、私たちは今日も今日とて、駅で会っている。




『……な、なあに、?これ』



唐突にふわくんからなにかの箱が入った紙袋が渡された。いや本当になんだろう。



「んふ、開けてみてよ。」

『……わかった』



言う気は無いみたいだったから、とりあえず袋から箱を出して、開けてみることにした。





『えっ……お財布?』

「そ!」



そこには、白を基調としたシンプルで、可愛い、女の子らしいお財布が、入っていた。




『……かわいい。……でも、なんで?』

なんで急に、プレゼントなんて。



「嫌やった?」

『ちがっ。ううん、嬉しいよ。でも、私何もあげた覚えないし、なにかした記憶もないから、、』



どちらかと言えば、私が貰いっぱなしなのに。



「んは、そんなことないよ。……んー、ちょっと前からかんがえとったんやけど、いい機会だし、ちょうど〇〇ちゃんに似合うお財布見つけたし、ええかなって」



核心が見えない発言だ。私はくれた理由が聞きたいのに。でも、多分聞いても話してくれないんだろう。




『……いい機会、って?』


「俺この間やりたいこと見つけたって言ったやん、それが叶いそうなんよ。だから、応援してくれた〇〇ちゃんにー、なんて、んはは」



『あ、え、叶いそうなんだ……!おめでとう!』

「んはは!ありがとう!」



2ヶ月前くらいにご飯に行った時、「やりたいことを見つけた」と言っていたふわくん。そうか、叶いそうなんだ。よかった。



『でもわたし、応援してただけだよ』

「それでええんよ。それが、嬉しかったから。」


『……うん。』


本当に、嬉しそうに笑うから。私もこれ以上何かを言うのはやめた。



『叶いそうらしいけど、……私にはまだ教えれない?』



「ん〜〜〜……。まだやねえ、ごめんねえ。あと1ヶ月もしたら、教えれると思うんよ。だから、もうちょっとまっててなぁ。」



あと1ヶ月もしないうち。じゃあ、11月の間にはって、ことなのか。



『……うん、わかった。待ってるね。』


「ありがとぉ。……君はきっと、びっくりするんやろな……んは、」




そんなに、びっくりする内容なのだろうか。
そんなこと言われたら気になるじゃないか……と思いながら、私はちゃんと待つことにした。


そして、貰ったお財布に目を落とす。



『……こんなにかわいいの、本当に貰って良いのかな。』


「ええんよ。〇〇ちゃんに、良く似合うよ。だって、俺が選んどるからね、んふ」

『そう、かなあ』



そうだと、いいなあ。




「そうだよ。私、〇〇ちゃんに似合うものを選ぶのは得意ですので」


『……んふふ、ありがとう。大事に、するね。』



じゃあ、それならきっと。私に、似合うのだろう。少なくとも、不破くんはそう思ってくれている。



「うんうん!大事にしてもろて!おれも財布も喜ぶよ」


『お財布も喜ぶんだ』

「喜びますとも。」



不破くんが明るくしてくれるおかげでぽんぽんと会話が進む。ああ、よかった。あの日、もう一度再会できて。



『じゃあ、一旦仕舞うね。』

「あい!」



傷がつかないよう、そーっと、そーっとまた箱の中に戻した。これは、これから私の大切な、大事なものになった。

家でまた、ゆっくり眺めることにしよう。





『ふふ、早く、中身入れ替えたい。』

「そんなに気に入ってくれたならよかった〜〜〜!急なプレゼントやったし本当はちょっと不安やったわ!」



『そう、なの?……嬉しかったよ。ほんとうに』

「うん……おれも、嬉しいわ。」



2人同時に、はにかむように笑った。





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