慈愛に満ちて


11-1






深夜にふと、考えてしまった。


こんなに幸せでいいのか。環境が変わり、たくさんの出来事が起きた。

どれも私にいい方向に進むようなことばかりで、逆に不安になってしまうような、そのくらいの幸せが私に現在進行形で舞い込んでいる。




『……あ、』


あ、ダメだ。良くないことを考えてしまって、引っ張られた。


なんだかなあ。最近、上手くいってたのに。ずっと調子だってよかったし、いい事づくめだった、はずなのになあ。


なんでこんなに、泣きたくなるんだろう。



昔から、そうだった。

自分で決めたい癖して、いざ自由になって自分で選ぶことになると後ろを振り向きたくなってしまうような、本当に自分で選んでいいのか分からなくなって、迷子になってしまうような気分になる。



『しんど……』



ぜんぶぜんぶ、嫌になってしまった。私の性格上、これはもう諦めるしかないのだろうか。


もう何もする気が起きなくて、スマホを手に取って、ふと、不破くんの存在が脳に浮かんだ。


『……、ふわ、くん、なら、』




不破くんなら、助けてくれるかも。
いや、迷惑だろうか。どうしよう。きっとふわくんならすぐ出て助けてくれるんだろう。でも、でも。


でも、きっと、でもの繰り返しで、時間だけが進んでいく。


でも、でも。不破くんなら。



色んなことを考えて、不安に埋もれそうで、今にも泣きたいような気分で。
それでも彼は、甘えていいと、言ってくれるだろうか。


震える手で、不破くんに電話をかけた。



プルルル……プルルル……



でて、くれるだろうか。掛けたばっかりなのに、すぐそんなことを思ってしまう。もう夜も遅い。寝ているかも。

寝ていなくても、今なにか用事でもあったら、そうだ、不破くんは最近叶えたいことで忙しそうにしていた。やっぱり、だめだったかも。

切ろうとした時、電話のコールが途切れた。



「……もしもし?」

『……あ、ふわ、くん』


彼は、電話に出てくれた。




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