慈愛に満ちて


11-2






「……もしもし?〇〇ちゃん?珍しいねぇ、どしたの」



出てくれた。なにか、何か言わなくては。
でも、優しいふわくんの声に涙が零れ落ちそうで、声も上手く出せなくて、


『……っあ、』


「……?〇〇ちゃん、大丈夫?」


『ふ、ふわ、く、ぅ』

「〇〇ちゃん?もしかして泣いてる?」


どうしたの、大丈夫?と電話越しに心配するふわさんの声が聞こえて、それに心底安心して。


『ぅぇ、ふっ、ふわく……ぅぐ、うぇぇ……』

「エッ、、なんかあったん、〇〇ちゃん、やな事あった?」



子供のように号泣してしまった。



『っふぅ、わく、…………たったすけ』



「わかった、無理に喋らんくていいよ、大丈夫、落ち着いて。大丈夫、電話掛けれていい子やね」



『ぅぐっ、うん、うんっ……』



「今から行くから。電話切らんで、そのまま向かうから、大丈夫、俺がいるよ」


『ぇぐ、こ、こなっくて、いい〜〜〜!!』


来てもらうなんて、そんな、やめて、そんなことがして欲しかったんじゃないんだ、迷惑なんてかけたくない。

でも、ふわくんは私の心を読むように言った。


「迷惑じゃないんよ、ほんとうに。俺、いまちょっと嬉しいんよな、辛い時、俺に電話かけてくれたんだなあ、て、んはは」


こんなこと思ってごめんねぇ、なんて言われて。
家を出た音が聞こえて。



『ご、ぅっ、ごめ、ひっ、んなさっ、うえぇん』

碌な謝り方もできないくらい、涙が止まらなくて。

脳に入るのは、ふわくんの声と、電話から聞こえる外を走る音だけ。



「んーん、謝らんでいいんよ。すぐ行くからねぇ。」



『っ、うぇぇん、ひっ、うっ』


「んはは、可愛い泣き方。」


この泣き方のどこがいいのか、今すぐに否定したかったけど、そんなの言葉にならなかった。





- 37 -

*前次#


目次に戻る