わたしは喋れないまま、不破くんが来るまでずっと言葉で慰めてくれるのを聞いていた。
「っついた!〇〇ちゃん、おうちの鍵開けれる?」
『ぅ、うん、あけ、る……』
「いいこだねぇ」
立って、ふらふらしながらも玄関まであるいて、鍵を開け、玄関を開けた、瞬間。
「よく、がんばったねえ、いいこ、大丈夫、おれがきたからねぇ」
見えないくらいの速度で、抱きしめられて。
不破くんがわざわざ走って来てくれて、外で冷えてしまった体に、こんな時間に来させてしまった罪悪感と、来てくれた嬉しさで、感情がごちゃ混ぜになって、
ああ、迷惑なんてかけたくなった。
『ふ、っうぇぇ……ふわ、ふわくん……』
「うんうん、ええ子やね、大丈夫よ、ゆっくりね」
でも、来てくれて、よかった。
私は不破くんに縋って、また泣いた。
それからは、もうずっと私が喋っていて、泣いていてつっかえるし、聞きづらすぎる言葉を、ふわくんはずっと相槌を打って聞いてくれた。
『もっ、ど、したらいいのか、わか、ひっ、んな』
「うん、」
『しあっ、わせっ、なんだ、けど、それっ、の、受け取り方が、んぐっ、分かんなく、てぇ』
「うんうん」
『わっ、わたし、こんなっ、うぇっ、幸せ、でぇ、いいのかってぇ、ふあ、んになった、の』
「辛かったねぇ、」
『いやに、ぃ、なっちゃ、ってぇ、だれかっに、聞いて欲しく、て、んぐ、』
『ふわっ、くんがいて、っ、ふわくんならって、うぇっ、おも、ってぇっ』
「ありがとぉ、聞いとるよ。ちゃんと」
『でも、かけたっ、ら、かけたで来て、うっ、もらっちゃっ、て、めっ、迷惑、かけちゃってぇっ!』
「迷惑なんかじゃないよ、ほんまに」
『迷惑、かけたいっ、わけじゃ、なかった、のっ、ごめんなさっ、んぐぅっ』
「、うん」
『あまえてっいいって、ぅ、いってくれたのに、ひっ、甘え、方が、わからないのっ、ごめ、んなさいぃぃっ!』
「謝らんで、大丈夫、落ち着いて。……話、聞ける余裕、あるかな、」
『……っうん、聞、く、っんぐ、』
「ありがとぉ、ゆっくり息吸って吐きな」
それからは不破くんのターンだった。
「謝らなくていいんよ、本当に。俺が君に会いたかったんよ、泣いてる君に寄り添う選択をしたのは、俺なんよ。迷惑なんかじゃない。」
「ん、」
「君のペースでいいんだ、君の判断で、ゆっくりゆっくり慣れればいい」
「現に今、俺に電話をかける判断を取れたんは、君が俺ならって思ってくれたからで、甘える選択肢が取れているからなんだよ」
『そ、なの、?』
「そうよ。甘え方は、そんなに深く考えなくていいんよ、話聞いてもらいたくなったらかけりゃいいし、会いたくなったら会いたいって言えばいい」
「きっとそれが難しいんやろうけど、俺で慣れてくれればいい。俺は、君に、〇〇ちゃんに甘えられたいんよ」
『っう、』
「大丈夫、大丈夫。君が思っているより、周りは優しいよ。」
私の話を聞いて、慰めてくれた不破くんの言葉は、心によく響いた。