慈愛に満ちて


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「ねえ、〇〇ちゃんは、何のお仕事してるの」

『私、ですか』

聞かれるとは思っていなかった。まあ次の電車が来るまでならいいか、と思い考える。


VTuber、って言うのもなあ……
やっぱり名前も顔もそのままで活動してても言うのは良くないだろう。


『ひみつ、です』

「ええ、秘密なの?」

『はい』

「じゃあ、悩み事は?」

『初対面で悩み事話し合う人達いるんですかね……』

「んはは!」


私に電車が来る前に貸しを返そうとしているのだろうか。別にいいのに。でも、

私も疲れていた。彼も疲れていた。もうどうせ今後会うことは無いのだ。もういい、ヤケだ。

『……本当は、誰かの話を聞くのなんて得意じゃないし、自分の事を褒めてもらいたいし、いっぱい話だって聞いてもらいたい。
……でも誰に甘えるべきなのか、わからない。甘えていいのかも、わからない』


リスナーさんと喋るのが楽しい。紛れもない本心だ。でも、私とリスナーさんには、明確な線がある。


ライバー仲間だって、一緒に楽しくやれているし、心の底から楽しい。


でもたまに、全部虚しさに襲われて、自分の話を聞いてくれて、全肯定してくれるような、甘えてもいいような、人が欲しかったのだ。


「……〇〇ちゃん何歳?」

『22、です』

「どわ、若いねえ」

『…貴方は?』

「あそっか、俺名前、不破湊、24歳」

「二つ歳上なんですね」


なんというか、こんな若い人も、ホストをやるんだ。全く詳しくないから知らなかった。


「……〇〇ちゃんは、大人っぽいように見えて、誰よりも幼いんだね。」

あ、いい意味ね。と付け足す不破さん。

その言葉を聞いた時、ドキッとした。
そんなことは、ないと思ってた。



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