慈愛に満ちて


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『……そうですかね』

「んはは、そう。でも、22歳なんだしそれでええんよ。大人っぽいように見えるのも、褒められたい反動とかなのかなと、ええ、私思いますね、んは」

てかさっき俺めっちゃ相談しちゃったなんて言って笑う不破さん。


そう、なのだろうか。成人を過ぎたら、ちゃんと自分で、自分の面倒を見ないとと思っていた。心のどこかで、「大人っぽいね」とか言われて、褒められたかったのかもしれない。


そう言われて、思ってみると、心のどこかにストンと落ちた気がする。


「……かあいいねえ」

『……え、は、あ?』

「んあははは!」


唐突にそんなことを言われて動揺した私を大笑いする不破さん。いや誰だって動揺するだろう……


「大人っぽいって言われるの、嫌いじゃないでしょ」


『……はい。』

「んはは!なんか、いいねそういうの。22歳ですからねえ。まだ周りにちゃんと構ってくれる人はいます、探せば!うんうん!」

なんて笑顔で頷き始める不破さん。


『……ありがとう、ございます。』


「んはは、俺がお礼言う方だよ」

『それでも。気づかせてくれた貴方に。』

「そかあ」

『はい。』


それから少しの間、静かになって、私が乗る電車が来た。


『あ、じゃあ私は、行きます。不破さんは』

「俺は反対方向だねえ」

『了解です、お大事に』

「うん、多分〇〇ちゃんいなかったら俺今も死んでたしな、ありがとうねえ」

『いえ、いいんです。』


連絡先を交換しようとは、言わなかった。

彼も、さっき見た時よりも、もう平気そうな顔をしている。


「君にも、甘えられる人が出来ると、いいね」

『……はい。私、不破さんのこと、応援してます』

「ありがとぉ」

『では、』「うん、じゃあ」

また、とは2人とも言わなかった。



不思議な出会いだった。でも、いい出会いだった。きっともう会うことは無いが、

『がんばれ、』

電車の中でそう呟いた。




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