慈愛に満ちて


2-1







『え、』「あ、」

ばったり。

もう会うことは無いと思っていた相手に、1週間後に再開した。あの駅で。


会うにしても早くないだろうか。ちょっと気まずい。相手はそう思ってなさそう、にこにこしてる。


「久しぶりやねえ」


『いや全然久々じゃないでしょう……』

思わずつっこんでしまった。

もう会うことなんて、ないと思っていたのに。

色々考えているうちに、不破さんは万遍の笑みでこっちに向かってきた。


「ね、まだ前回より時間早いし、予定ないならちょっと座って喋らん?」


『……いいですよ』


やっぱり、前回の出会い方や話した内容が、私の脳を過ぎって、羞恥心が込み上げる。

だけれど、彼の言うことは私の胸に響いた。

私は彼に感謝していてるのだ。

前回は深夜だったけど、今日はまだ全然人もいる時間帯だ。今日は配信の予定は無いし、あとは家に帰るだけ。少しだけ、話そう。



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はいあげる、なんて言ってコンポタを差し出してきた不破さん。

『いいんですか?』

「前回のお水のお礼よ。飲めるなら貰ってくれるとありがたい。寒いしなあ」と笑いながら言われた。


じゃあ、せっかくならと貰うことにした。
人に奢ってもらうとか、ライバー仲間とご飯も特にいかないから久々な気がする。なんだかちょっと嬉しかった。


「最近ど?甘える人できた?」

『いやまだ1週間ですよ……。まだです。』

「んは、それもそっか」


『でも、』「お?」

『今は、なんとか試行錯誤しようと、頑張る勇気出そうとしてるところです』

「……んは、ええやん〜〜〜」


そう、最近配信で、素の私も少しずつ出そうと、頑張っているところだった。

なんならこの間、「最近ちょっと〇〇ちゃん、緩いというか、甘えたっぽい感じが出てるような気がする。かわいい!」なんて、察知の早い鋭いリスナーもいた。



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