妹が少女漫画を体験しました。






はやく、はやくっ!


普段は、人の注目を浴びるのを苦手としているため静かに通行人Aのように歩くが

今日の優は通いの高校から精一杯疾走してきたのだった。



学校終わりに携帯を見ると阿笠博士からのメールが来ていた。

試作品段階ではあるがそれなりのものができ、試してほしいという旨だった。


コインや、トランプなどのシンプルで技術力によって勝負するマジックはもう当の昔に諦めていたが

その他のマジックも自身の性質によってことごとく失敗した。


ようやく私もしがないマジシャンになれると胸を躍らせていた優であった。




えっと・・・ここの角を曲がって、



「きゃっ!」


「おっと、」


曲がり角で人にぶつかってしまった。


走っていたぶん、反動が大きく尻餅を着いてしまった。


「す、すみませんっ。考え事をしながら曲がったもので・・・」

痛いとおもってお尻をさすろうとした際に、
相手の事を思い出しとっさに謝罪を述べる。


「いえ、こちらも同じようなものですから。大丈夫ですか?」

そういって、ぶつかった相手は手を差し伸べてくれた。

よく見ると細身で長身のさわやかな雰囲気をまとった知的な男性で、

いかにも女性に持てそうなタイプであった。


そんな人と曲がり角でぶつかるなどという少女漫画チックな出会いをしたことに
なんだか恥ずかしさを覚えて頬があつくなる。




これが運命の出会い…。


なんちゃって。

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