妹が知ってしまいました。







「おそらく優さんはスライダー体質、というものでしょう」


え・・・?


沖矢さんの言った聞きなれない言葉にコナンくんを除くみんなが目を点にした。



「なんですか、そのスライダー体質って?」


「電気特異体質や帯電体質とも言われるものさ」



コナンくんの補足を聞いた哀ちゃんが何かに気がついたように反応する。




「それって・・・、」



「あぁ。体内にプラスイオンを適度に放出できず、溜め込んでしまう体質の人のことさ」


「歩美知ってる!それって、冬とかに静電気が起きやすい人だよね!」


歩美ちゃん同様、私もそれなら聞いたことがあった。



「それって何か問題でもあんのか?」

元太君の言葉に


「機械も電気で動くものじゃからのぅ、外部からの電気影響によって故障を起こすこともあるんじゃよ。」



機械に詳しい博士も分かりやすく補足してくれた。


つまり・・・





「じゃ、じゃあ私って・・・」






「えぇ、おそらくそれに該当するでしょう。優さんがそういった体質であるがゆえに、携帯などの身近な電化製品が壊れやすく、今回の試作品にも影響を与えたと考えるのが自然でしょう。」







そんな・・・、



博士の発明によって私の悩みにようやく一縷の光が差し込んだはずなのに



それすらもまた私の体質の性で水の泡なんて







人前に立つ度胸も、


トランプやコインであっと言わせるテクニックも、


マジシャンらしいことなんて何一つできなくて・・・。



「やっぱり、私にマジシャンなんて夢は無理だったのよ・・・」





なんだかとても情けなくなって、


みんなの視線から逃げるように俯いた。






神様はきっと、ずっと私に諦めろと諭していたのよ、

どうして気付かなかったんだろう




さっさと諦めていたら、今よりも傷つかなくてすんだのに

みんなに迷惑だってかけなくてすんだのに







視界がじんわり滲んだのはきっと気のせいじゃない、


あわてたように近寄って励ましてくれる子どもたちを見ればどれだけ心配をかけているのかも
ぼんやりとだけれど分かる。





頭ではわかってるのに、溢れ出たものは止まってはくれなくて




高校生のくせして上手に泣き止めないなんて、と何処からか叱責が聞こえてくるような気がして

不甲斐なさから身を縮ませる。








そのとき、ふんわりと頭を撫でる感触があった。


見上げると、そこには沖矢さんがいた。






「大丈夫、機械仕掛けだけがマジックじゃありませんよ」


優しい声色でそういってくれた。




「・・・っ」


声が詰まったけれど、首を振って否定する。


沖矢さんは知らないだけ・・・





私にとってこれが最後の希望だったの。






「確かに、テクニックや仕掛けによって人を驚愕させるのがマジシャンかもしれません。

しかし、それが全てではないでしょう?・・・僕が優さんに魔法をかけてあげましょう」




膝をつき、私を覗き込むようにして彼は微笑んだ。

絶えず頬を伝って落ち続けている雫をしなやかな指先が優しく拭い去る。



人の体温だけではないぬくもりを優は指先から感じたのだった

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