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今日は、少年探偵団の子供たちと夕食を共にする約束をしていた。

普段、自分に怯えている茶髪の彼女も参加をしてくれるとボウヤから連絡があった時は驚いたが。そんなこんなで、沖矢は食材を買いに外へでていた。

そろそろ日がおちる。そんな時間だ、早く戻らなければ夕食が間に合わない。急ぎ足で帰路につく沖矢。

そんな時に曲がり門でふと見慣れた姿をみつける。

白い体躯で瞳はプルシャンブルーをもつそれは沖矢を見つめて鳴いている。まるで、食べ物をくれと云うように。

溜めた息を吐きながら、プルシャンブルーの瞳と目を合わせる。


「そんなに欲しいなら、家に来るといい。」


プルシャンブルーの瞳は、しかたないと言いたげである。

白い体躯の子は、沖矢を見やった後にゆっくりと歩きだす。方向は沖矢同じ工藤家である。

先を歩いているプルシャンブルーの瞳は沖矢を写さないが、沖矢の気配を感じている。


賢いやつだ。と心中で沖矢は呟いた。

白い体躯が、沖矢を導くように歩いていく。




「わぁ!!白猫さんだぁ」

「かわいいですね」

「えぇ?こいつ汚れてるじゃんよ」


今日の工藤家の食卓は賑やかであった。

少年探偵団たちは、沖矢のカレーを頬張りお腹が膨れるとやっと、いつもはいない存在に気がついた。

そんな彼らの前で沖矢は、白い体躯を撫でてやる。彼らは、白い体躯のプルシャンブルーの瞳に釘付けである。


少年探偵団の元太は汚れた体躯が気にかかり、白い体躯に触れようとしたが沖矢に止められる。



「なんで触っちゃダメなんだよ」


「歩美も触りたい!」


「そうですよ!お兄さんだけ独り占めなんてずるいです!」



沖矢は子供たちのブーイングを受け、彼らと目を合わせる。


「この子は飼い猫ではないので、人にはなつかないんですよ。」

「でも昴さんは触れるよね?」


なんでなんでと問い詰めるように、沖矢に近づくのは眼鏡の少年であるコナンだ。

面倒なことになったと心の中でため息をつきながらも、答える為にコナンと向き合う。


「僕の場合は、庭に遊びに来る時に少し餌をやってましたからね。そのお陰もあって触ることは許してくれますが、それまでは散々引っ掻かれましたよ。」


コナンは、人ん家で何やってんだこの人と心中で吐露し呆れた視線を沖矢にかえした。

沖矢もそんなコナンのことなどお見通しなのか、ただ眼鏡を上にあげるだけであった。



「でも、いいなぁ昴お兄さん。歩美も触りたかった。」


「ちょっとなら大丈夫だって!」


「ちょっと元太くん、ダメですよ!」



コナンと沖矢が話ている間に元太は白い体躯に手を伸ばす。しかし、気配を感じとったプルシャンブルーの瞳は大きく開き、低い唸り声をあげ元太を引っ掻いた。


「っいて!」


元太の声に気がついた沖矢とコナンは元太のもとに駆け寄る。

近くにいた灰原が元太の傷を見ていた。灰原は呆れた顔をしながら、触ろうとした事に注意を入れる。



「灰原、傷はどうだ?」


「そんなに深くないわ、消毒すれば大丈夫よ」


「なら、救急箱持って来ますね。」


沖矢はそう言うとリビングを離れ、救急箱を取りに行く。コナンはそんな彼を見送り、白い体躯の子に目を向ける。



「にしても、本当になつかねぇな」


「うん、猫さんと友達になりたかったのに」


「これじゃ、触るのは難しいですね。」


少し落ち込んでいる歩美とコナンの近くに白い体躯の子がいるがいまだに、プルシャンブルーの瞳は大きく開いたまま声を上げている。


光彦が近づいても、低い声のままで瞳のプルシャンブルーは変わらずだ。3人は目の前で白い体躯を前足で毛繕いする子を見やり、それぞれ感想を述べた。そんな時であった。




「いい子ね。」


灰原の元に白い体躯を擦りよせ、甘えている子。

灰原も体躯を触るが、元太のようにはならず、ただ体を灰原に預けていた。

そのことに少年探偵団たちは、驚きの声をあげる。



「わぁ!哀ちゃんすごーい!」

「本当、すごいです!」

そんな、声をあげる歩美と光彦。

ふたりを見つめ、ふとコナンが思ったのは、灰原も猫みたいだなと云うものだった。

そんなことを考えてるのが読まれたのか、白い体躯の子がコナンを引っ掻こうと手を振り上げたが、コナンはなんとかかわした。



「あっぶねぇ」

「あなたが良からぬことを考えてたのに気がついたんじゃない?」


「なんだよ、良からぬことって。そんな事考えてねぇーよ」

「ふーん、、、」


コナンの態度に胡散臭さを感じ灰原は乾いた笑いをするコナンに冷めた視線を向けた。

白い体躯の子は灰原の腕に収まっている。まるでここがお気に入りの場所であるように、寛いでいる。



「いいなぁ!哀ちゃん。」


「ちぇ、灰原だけずりぃ」


「羨ましいですね。」


「えぇ、とても羨ましいですね。」



灰原の腕に寛いでいる子を見つめて、手にしている救急箱が軋みの音を鳴らした。



「僕の時はなかなか、なつかなかったのに。」



沖矢は眉間に皺をよせ、嫉妬の眼差しを隠しもせずに灰原の腕にいる子に向けた。

灰原は己に向けられたように思い、背筋に寒気が走しる。目の前の眼鏡の男に恐怖を強く感じ顔を伏せる。


沖矢は変わらず、眼鏡を上げている。

そんな中で、白い子はまわりなど関係ないように灰原の腕の中で寛ぐ。












ことの成り行きは腕の中の子次第。














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