4.5
「あれ、大尉きたのね!今ミルク出すわね」
慣れた様子で大尉にミルクをやるのは、喫茶店ポアロの店員梓だった。梓は大尉に飲みやすい皿にミルクを差し出す。しかし、大尉はいっこうに口つけない。すると大尉の隣に別の白猫が現れた。
大尉は現れた白猫に差し出すように頭で皿を押した。
白猫はさも当然のようにミルクを飲み始めた。
「もしかして、大尉の彼女かな?女の子に譲るなんて大尉も紳士だね〜」
梓は横にいた大尉に向けて言うと、大尉を撫でた。そして横でミルクを飲んでいる白猫を撫でようと手を向けた。しかし、白猫は察知すると梓の手をさらりと避けた。そして、大きな瞳でこちらを見つめ低い声を上げる。そんな白猫に再度触ろうと手を伸ばす梓。
「止めといたほうがいいですよ。」
「安室さん!」
「その白猫はあまりなつかない猫なので、ひっまかかれますよ。」
安室は堂々と梓に言う。
安室は梓と同じように白猫に向けて手を出すが、やはり白猫は引っ掻いた。
「大丈夫ですか、安室さん!?」
「大丈夫ですよ、慣れてますから。」
「慣れてるって、、、この猫のこと安室さん何か知ってるんですか」
「ええ、たまに近所に現れるのでよく餌を上げているのですが、まったくなつかない猫ですね。まぁ、そこにやりがいを感じるんですよね。」
「やりがい、、ですか?」
「ええ、なにがなんでもなつけて見せたくなりますね。」
白猫を相手に負けず嫌いを発揮する安室に梓は少々呆れながらも、安室らしさを感じた。
梓は白猫に向かい合い、白猫に呟いた。
「負けちゃダメだよ。」
果たして白猫に梓の言葉は届いたのか
答えは白猫のみぞ知る。
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