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「ちゃんとお話がしたいの。猫かぶりをした子どもではなく本当のあなたと、ね」

「・・・どーいう意味だ。」




コナンの質問に答えず、貼り付けた笑みだけを返す。

本当のコナンが知りたいのはこちらなのだから、答えられない、というのが本心なのだけれど。



あえて、言葉少なにし、誤解させる。

また、この子の怒りを買うような言葉をわざと選ぶ。




お互いが平静な状態では、嘘が混じるかもしれないからだ。




優はコナンに一つの心理作戦を仕掛ける。

尊敬するあの上司に教わった、相手を怒らせてボロを出させる、という手口だ。



シンプルだけれど、難しい。


的確に相手の焦る要素を並べ立て、追い詰める必要がある。加えて、こちらに確証がなくボロを出させようとしている下心を悟らせないことが絶対なのだ。

自信はないが、やるしかなかった。




「蘭ちゃんの名前を出したことに深い意味はないわよ。

・・・ただコナン君にとって居なくなったら困る大切な存在なんだと思って」


コナンにとって敏感にならざるをえない”蘭”の名を出してさらに心をつつく。



ふふっ、と優は緊張感漂う場に相応しくない笑みを浮かべる。

努めて怪しく、心のうちを見せないように。




「蘭に何かしたのかっ!?」

「してないわよ。事務所を出て、ずっと一緒にドライブしていたんだから私は何も出来ないわ」



本当のことも交えながら嘘を吐かなければ、この子には見破られてしまう。

出来ることなら逃げ出したいぐらいのプレッシャーを背負っているのは何もコナンだけではないのだった。



「・・・お前じゃなくて、仲間が何かした可能性だってあるだろ、」

「そんなに気になるなら、電話でもしたら?」



蘭の携帯は隙をみて電源を勝手に切って分かりづらい所に隠してきた。


優がコナンを追い詰める一つの布石だ。


『お掛けになった電話は現在・・・・・・』



その音声を聞きコナンの表情は見るからに硬くなる。



「やっぱりお前、ヤツ等の仲間かっ!!」


助手席のシートの上に立ち、コナンはこちらを睨み付けてくる




ヤツ等、仲間、

投げつけられる言葉には、優にとっていくつものヒントが散りばめられていた。
コナンは喋れば喋るだけ、自分の首を絞める状況になっていることに未だ気付いていないのだった。
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